幼馴染と婚約者を裏切った2人の末路

柚木ゆず

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第1話 お屋敷に戻ったあと メリッサ&俯瞰視点

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「……なんてことだ……。まさか、そんなことになっていたとは……」

 婚約者であるアドン様と、幼馴染であるエステェの裏切り。さっき知った事実を伝えると、エタンお父様はエントランスで頭を抱えられた。

「内密に関係を進めていた上に、そのような形で切り出すなんて……。常識が著しく欠落している……! …………メリッサ、辛かっただろう……」

 一つの深呼吸。それによって歪んでいた顔がもとに戻り、代わりに気遣いの色だけが含まれるようになった。

「あとのことは、わたしが処理しよう。お前はゆっくり休み、当分は好きなことを自由に行い悲しみを癒してくれ」
「お父様、配慮痛み入りますわ。ですがわたくし、悲しみを抱いてはおりませんの」

 十三年来の幼馴染とアドン様が秘密裏に交際をしていたのは、確かにショックでしたわ。けれどそういったものは、すぐに消えてしまっていますの。

「……メリッサ……」
「お父様、こちらは強がりなどではありませんわ。あのような裏切りを平然と行えてしまえる人と、結婚をしなくてよかった。仲の良かった幼馴染でありおじ様は、あんなことを平気で行えてしまう心を秘めていた人達だと知れてよかった。そういった理由で、むしろホッとしていますの」

 あんな性質を持っている人と結婚していたら、いずれは似たような事態となり取り返しのつかないことになっていた。全員に対して心底『冷めた』上に、大きな悲劇を回避できたのだから、今はもう安堵しかありませんの。

「ですから、所謂静養なども必要ありませんわ。わたくしはこれまで通り毎日を過ごします」
「そ、そうか。それはよかった――が、それでもわたしはヤツら関係者全員を許せんよ」

 お母様は出産後まもなく他界し、お父様はお母様の分までわたくしを愛し大事に育ててくださった。なのでいつも温厚なお父様は拳を震わせていて、わたくしはそんなお父様の両手をそっと握りしめた。

「娘として、これ以上の幸せはありませんわ。ですがお父様、そういったものも不要ですわ。あんな人達に目くじらを立てるのは時間の無駄ですし、なにより、こちらが何もしなくても独りでに崩壊してしまうでしょうしね」
「む? なんだって……? アドンやエステェ、侯爵やコンタンエステェの父が、ひとりでに崩壊してしまうのか……?」
「ええ。あの4人のああいった性質が合わされば、いずれその時が訪れますわ」

 当分は、アドン様とエステェは幸せな時間を過ごすでしょうね。けれど一つ『ほころび』が生じたら、そんな日常は一変することになってしまう。

「ですからお父様、婚約解消に関する処理が終わったら一切を忘れましょう。彼ら彼女らの存在は頭から追い出し、新たな毎日を楽しみましょう」


 〇〇


 そうしてメリッサはすっきりとした様子で前を向き、そんな言及をされたエステェとアドンたちは――

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