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第3話 翌日~パーティー~ エステェ視点(2)
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「? エステェ様? どうかなさいましたの?」
「あ、カーラ様。あっ、あちらっ。あちらにいらっしゃる方を、ご存じですかっ?」
たぶん、固まっていたから心配をして来てくれたのだと思う。背後から声をかけられた私はすぐさま振り返り、あの御方について尋ねてみた。
この人は、主催者の娘。関係者なのだから、パーティーの参加者のことは知っているに決まっている。
「??? なにを仰ってい――ああっ。そういえばエステェ様は、あの姿を目にするのは初めてでしたわね」
「え? あの姿を……? え……?」
「あそこにいるのは、エステェ様もよく存じ上げている人ですわ。彼は、サネベーク子爵家のピエールですわよ」
「ええっ!? ピエール様!?」
ひとりでに大声が出て、勝手に仰け反ってしまう。
だって……。だって……っ。
留学するまで通っていた学舎で3つ隣のクラスに籍を置いていた、ブクブクに太った『デブ令息』。
私が知っているピエール・サネベークは、豚のような男だったのだから!
「サネベーク卿は――ピエールのお父様はウチの商会の右腕で、2半年ほど前にその役割をいずれ担うと正式に決まりましたの。恐らくは、それが関係しているのでしょうね。ダイエットを始めてみるみる痩せ、同時にグングン背も伸び始めてあんな風に成長しましたのよ」
「だ、ダイエット……!? 痩せた結果、あのようなお姿になられた……!?」
「そうですの。彼はお父様に呼ばれて会場を出ていたから、すっかりお伝えし忘れていましたわ」
当時の面影は全くなくて、どう見ても別人。ピエールを名乗ってる全く違う人に見えるけど、ずっと見てきているカーラ様が仰るのだから間違いない。
あそこにいるのは、いつも内心嗤っていた『デブ令息』だった。
((まさかあの御方が、のろまな豚男だったなんて……))
帰国してから、1番のショック。後頭部をハンマーで思いきり殴られたような衝撃がやってきていて、そう知ったら、ちょっと戸惑い始めたけど……。
「エステェ様、難しい顔をされていますわね? どうかなさいましたの?」
「…………いえ、なんでもありません。ピエール様とも少なからずご縁がありましたし、ご挨拶に向かいます」
あの顔、あの容姿は魅力的。私が過去出会った異性の中で、一番素敵なんだもの。
過去は過去。今は今。
うずうずしてしまっている、是が非でも行動したくなっている私は、そんな精神で動き出し――
「ごきげんよう。私を覚えていらっしゃいますか?」
――精一杯綺麗で可愛らしく振る舞い、優雅な微笑みを浮かべてカーテシーを行ったのだった。
「あ、カーラ様。あっ、あちらっ。あちらにいらっしゃる方を、ご存じですかっ?」
たぶん、固まっていたから心配をして来てくれたのだと思う。背後から声をかけられた私はすぐさま振り返り、あの御方について尋ねてみた。
この人は、主催者の娘。関係者なのだから、パーティーの参加者のことは知っているに決まっている。
「??? なにを仰ってい――ああっ。そういえばエステェ様は、あの姿を目にするのは初めてでしたわね」
「え? あの姿を……? え……?」
「あそこにいるのは、エステェ様もよく存じ上げている人ですわ。彼は、サネベーク子爵家のピエールですわよ」
「ええっ!? ピエール様!?」
ひとりでに大声が出て、勝手に仰け反ってしまう。
だって……。だって……っ。
留学するまで通っていた学舎で3つ隣のクラスに籍を置いていた、ブクブクに太った『デブ令息』。
私が知っているピエール・サネベークは、豚のような男だったのだから!
「サネベーク卿は――ピエールのお父様はウチの商会の右腕で、2半年ほど前にその役割をいずれ担うと正式に決まりましたの。恐らくは、それが関係しているのでしょうね。ダイエットを始めてみるみる痩せ、同時にグングン背も伸び始めてあんな風に成長しましたのよ」
「だ、ダイエット……!? 痩せた結果、あのようなお姿になられた……!?」
「そうですの。彼はお父様に呼ばれて会場を出ていたから、すっかりお伝えし忘れていましたわ」
当時の面影は全くなくて、どう見ても別人。ピエールを名乗ってる全く違う人に見えるけど、ずっと見てきているカーラ様が仰るのだから間違いない。
あそこにいるのは、いつも内心嗤っていた『デブ令息』だった。
((まさかあの御方が、のろまな豚男だったなんて……))
帰国してから、1番のショック。後頭部をハンマーで思いきり殴られたような衝撃がやってきていて、そう知ったら、ちょっと戸惑い始めたけど……。
「エステェ様、難しい顔をされていますわね? どうかなさいましたの?」
「…………いえ、なんでもありません。ピエール様とも少なからずご縁がありましたし、ご挨拶に向かいます」
あの顔、あの容姿は魅力的。私が過去出会った異性の中で、一番素敵なんだもの。
過去は過去。今は今。
うずうずしてしまっている、是が非でも行動したくなっている私は、そんな精神で動き出し――
「ごきげんよう。私を覚えていらっしゃいますか?」
――精一杯綺麗で可愛らしく振る舞い、優雅な微笑みを浮かべてカーテシーを行ったのだった。
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