幼馴染と婚約者を裏切った2人の末路

柚木ゆず

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第6話 お屋敷に戻ったあとは エステェ視点

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「おかえり、エステェ。…………む? やけに機嫌がいいじゃないか。なにか良いことがあったのか?」
「ええお父様。とっても良いことがあったの」

 お屋敷に戻ったあと。エントランスを歩いているとお父様がやって来て、私は即座に大きく頷いた。

「おお、それはよかったな。一体なにがあったのだ?」
「ごめんなさいお父様。そちらは内緒なの」

 コンタンお父様は『侯爵家とのパイプができた!』と大喜びで、ピエール様の件を話したら絶対に反対してくる。だから今は秘密にしておいて、明かすのは全ての準備が・・・・・・・整ってから。

「そうか、気にはなるが仕方がないな。エステェ、わたしは丁度これからひと休憩入れるつもりなんだよ。一緒に紅茶でも飲まないか?」
「ありがとうございます。けど今日は――しばらくは、どうしてもやらなければならないことがありますの。なのでご遠慮しておきます」

 今の私には、『アドン様と円満に別れる』という大きなミッションがある。のんびりしている暇なんてないから急いで着替えて、急いで自室にあるデスクについた。

((さあ、考えましょう。あの方との縁を、ノーダメージで切る方法を))

 あちらは侯爵家で、こちらは伯爵家。しかもオーテラング家は商会を持っていて、地位も財力も圧倒的に『上』。少しでも反感を買えば大変なことになってしまうから、そうならずに済むアイディアを出さないといけない。

((はぁ。分かってはいたことだけど、難問よね。メリッサからアドン様を奪わなければよかったわ))

 あの子があんな風に紹介しなければ、私は興味を持たなかった。ホント、余計な真似をしてくれるわ。

((メリッサがあんなことをしなければ、今頃ピエール様と心置きなく過ごせていたのに――って言ってても、どうにもならわないわね。モヤモヤは追い出して、ちゃんと考えましょ))

 できるだけ早く片を付けないと、ピエール様に不審がられてしまう。そこでかぶりを振ってイライラを消して、集中する。

((エステェ。貴方は留学までした、とっても優秀な子。貴方が本気になれば、どんなに難しい問題であっても最高の策を捻り出せるわ))

 実際に、その通りだから。私は自分に言い聞かせて思考を巡らせてゆき――


 ほらね。言った通りになった。


 あれから5日後。多くの熟考――37回のボツを経て、ついにノーダメージで縁を切れるアイディアが閃いたのだった。

((完璧。どこからどう見ても完璧だわ……っ。これを使えば、明後日必ずアドン様とバイバイできる))

 できることならすぐに動き出したいけど、アドン様はお忙しい。だから次に会った時に、終わらせる。

((アドン様ごめんなさい、私は真実の愛を見つけたの。……大好きな人の我が儘なんだから、許してくださいね?))

 そうして私は、元恋人・・・の来訪を嬉々としながら待って――

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