11 / 37
第6話 お屋敷に戻ったあとは エステェ視点
しおりを挟む
「おかえり、エステェ。…………む? やけに機嫌がいいじゃないか。なにか良いことがあったのか?」
「ええお父様。とっても良いことがあったの」
お屋敷に戻ったあと。エントランスを歩いているとお父様がやって来て、私は即座に大きく頷いた。
「おお、それはよかったな。一体なにがあったのだ?」
「ごめんなさいお父様。そちらは内緒なの」
コンタンお父様は『侯爵家とのパイプができた!』と大喜びで、ピエール様の件を話したら絶対に反対してくる。だから今は秘密にしておいて、明かすのは全ての準備が整ってから。
「そうか、気にはなるが仕方がないな。エステェ、わたしは丁度これからひと休憩入れるつもりなんだよ。一緒に紅茶でも飲まないか?」
「ありがとうございます。けど今日は――しばらくは、どうしてもやらなければならないことがありますの。なのでご遠慮しておきます」
今の私には、『アドン様と円満に別れる』という大きなミッションがある。のんびりしている暇なんてないから急いで着替えて、急いで自室にあるデスクについた。
((さあ、考えましょう。あの方との縁を、ノーダメージで切る方法を))
あちらは侯爵家で、こちらは伯爵家。しかもオーテラング家は商会を持っていて、地位も財力も圧倒的に『上』。少しでも反感を買えば大変なことになってしまうから、そうならずに済むアイディアを出さないといけない。
((はぁ。分かってはいたことだけど、難問よね。メリッサからアドン様を奪わなければよかったわ))
あの子があんな風に紹介しなければ、私は興味を持たなかった。ホント、余計な真似をしてくれるわ。
((メリッサがあんなことをしなければ、今頃ピエール様と心置きなく過ごせていたのに――って言ってても、どうにもならわないわね。モヤモヤは追い出して、ちゃんと考えましょ))
できるだけ早く片を付けないと、ピエール様に不審がられてしまう。そこでかぶりを振ってイライラを消して、集中する。
((エステェ。貴方は留学までした、とっても優秀な子。貴方が本気になれば、どんなに難しい問題であっても最高の策を捻り出せるわ))
実際に、その通りだから。私は自分に言い聞かせて思考を巡らせてゆき――
ほらね。言った通りになった。
あれから5日後。多くの熟考――37回のボツを経て、ついにノーダメージで縁を切れるアイディアが閃いたのだった。
((完璧。どこからどう見ても完璧だわ……っ。これを使えば、明後日必ずアドン様とバイバイできる))
できることならすぐに動き出したいけど、アドン様はお忙しい。だから次に会った時に、終わらせる。
((アドン様ごめんなさい、私は真実の愛を見つけたの。……大好きな人の我が儘なんだから、許してくださいね?))
そうして私は、元恋人の来訪を嬉々としながら待って――
「ええお父様。とっても良いことがあったの」
お屋敷に戻ったあと。エントランスを歩いているとお父様がやって来て、私は即座に大きく頷いた。
「おお、それはよかったな。一体なにがあったのだ?」
「ごめんなさいお父様。そちらは内緒なの」
コンタンお父様は『侯爵家とのパイプができた!』と大喜びで、ピエール様の件を話したら絶対に反対してくる。だから今は秘密にしておいて、明かすのは全ての準備が整ってから。
「そうか、気にはなるが仕方がないな。エステェ、わたしは丁度これからひと休憩入れるつもりなんだよ。一緒に紅茶でも飲まないか?」
「ありがとうございます。けど今日は――しばらくは、どうしてもやらなければならないことがありますの。なのでご遠慮しておきます」
今の私には、『アドン様と円満に別れる』という大きなミッションがある。のんびりしている暇なんてないから急いで着替えて、急いで自室にあるデスクについた。
((さあ、考えましょう。あの方との縁を、ノーダメージで切る方法を))
あちらは侯爵家で、こちらは伯爵家。しかもオーテラング家は商会を持っていて、地位も財力も圧倒的に『上』。少しでも反感を買えば大変なことになってしまうから、そうならずに済むアイディアを出さないといけない。
((はぁ。分かってはいたことだけど、難問よね。メリッサからアドン様を奪わなければよかったわ))
あの子があんな風に紹介しなければ、私は興味を持たなかった。ホント、余計な真似をしてくれるわ。
((メリッサがあんなことをしなければ、今頃ピエール様と心置きなく過ごせていたのに――って言ってても、どうにもならわないわね。モヤモヤは追い出して、ちゃんと考えましょ))
できるだけ早く片を付けないと、ピエール様に不審がられてしまう。そこでかぶりを振ってイライラを消して、集中する。
((エステェ。貴方は留学までした、とっても優秀な子。貴方が本気になれば、どんなに難しい問題であっても最高の策を捻り出せるわ))
実際に、その通りだから。私は自分に言い聞かせて思考を巡らせてゆき――
ほらね。言った通りになった。
あれから5日後。多くの熟考――37回のボツを経て、ついにノーダメージで縁を切れるアイディアが閃いたのだった。
((完璧。どこからどう見ても完璧だわ……っ。これを使えば、明後日必ずアドン様とバイバイできる))
できることならすぐに動き出したいけど、アドン様はお忙しい。だから次に会った時に、終わらせる。
((アドン様ごめんなさい、私は真実の愛を見つけたの。……大好きな人の我が儘なんだから、許してくださいね?))
そうして私は、元恋人の来訪を嬉々としながら待って――
4
あなたにおすすめの小説
立派な王太子妃~妃の幸せは誰が考えるのか~
矢野りと
恋愛
ある日王太子妃は夫である王太子の不貞の現場を目撃してしまう。愛している夫の裏切りに傷つきながらも、やり直したいと周りに助言を求めるが‥‥。
隠れて不貞を続ける夫を見続けていくうちに壊れていく妻。
周りが気づいた時は何もかも手遅れだった…。
※設定はゆるいです。
失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた
しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。
すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。
早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。
この案に王太子の返事は?
王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。
やめてくれないか?ですって?それは私のセリフです。
あおくん
恋愛
公爵令嬢のエリザベートはとても優秀な女性だった。
そして彼女の婚約者も真面目な性格の王子だった。だけど王子の初めての恋に2人の関係は崩れ去る。
貴族意識高めの主人公による、詰問ストーリーです。
設定に関しては、ゆるゆる設定でふわっと進みます。
そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。
しげむろ ゆうき
恋愛
男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない
そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった
全五話
※ホラー無し
夫に愛想が尽きたので離婚します
しゃーりん
恋愛
次期侯爵のエステルは、3年前に結婚した夫マークとの離婚を決意した。
マークは優しいがお人好しで、度々エステルを困らせたが我慢の限界となった。
このままマークがそばに居れば侯爵家が馬鹿にされる。
夫を捨ててスッキリしたお話です。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる