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第13話 祈った結果は エステェ視点

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「…………。そういった御事情があるのでしたら、仕方がありませんな」
「ええ、父上。……承知いたしました。僕は本日をもって、身を引くことを宣言いたします」

 神様、お願い……! 奇跡を起こして……!! そんな願いが叶うことは、なかった……。
 初めて訪れた、ずっと来たかった場所サネベーク邸内……。その中にある応接室で私達はピエール様とピエール様のお父様当主と向かい合っていて、正面からは絶対に聞きたくない返事がやって来たのだった……。

((ぁぁ……。ぁぁぁ…………))

 きっと、ううん絶対にそう。ピエール様も、この関係を維持したかった。
 でも相手は侯爵家で、子爵家は強く出られない相手。それにサネベーク家は商会で右腕を務めていて、下手をするとカーラ様にも迷惑がかかってしまうから……。こうせざるを、えなかった…………。

「娘が手紙でのみやり取りを行っていた裏には、オーテラング侯爵家の存在がありまして……。どうにかならぬものかと模索しておりましたが、力不足故に叶いませんでした……」
((違う! 違うのピエール様!! お父様は嘘を吐いてるの!!))

 そう叫びたいけど、そうしたら追い出されてしまうからできなくって……。私は、お父様の言い分をただただ聞いていることしかできなくって…………。


「サネベーク卿、ピエール殿。侯爵様は気難しい御方ゆえに、交際の件はご内密にお願い致します」

「当然そちらのお礼も含め、慰謝料を用意させいただきます」


 嫌な話がトントン拍子に進んでしまって…………。ついに、この場で話すべき問題が全て片付いてしまった…………。
 ピエール様と、お別れする時が来てしまった…………。

「ピエールさま……。ピエール様……!」
「今日ほど、自分の実力不足を痛感した日はありません。……ですが来世では、こんな終わり方にはしませんよ。必ずや貴方様を幸せにしてみせますので……。必ずや、お迎えに上がりますので……っ! どうか、どうか信じて待っていてください!!」

 別れ際に力強く抱き締めてくれて、私はピエール様の胸に顔を埋めて涙して……。そうして私達は来世での再会を約束して別れ、

((……誘惑に負けたお父様……! お父様を誘惑したおじ様……! メリッサから心変わりしたアドン様……! アドン様を夢中にさせられなかった、メリッサ……! 全員の来世は――ううん。この人生でも、幸せになることなんて許さない。全員に大きな大きな不幸が訪れますように……!!))

 馬車から偶然見えた流れ星に向けて、4人の『元凶』への罰を願ったのでした――。


 〇〇


「……ふぅん。相手はあの、オーテラング侯爵家だったのか。これなら、もっと面白いことになりそうだ」

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