上 下
15 / 27

第6話 4つの絶望 コルベット視点(3)

しおりを挟む
「このようにわたし――我々は非道な手段を用いており、ジゼル嬢を操っていました。こちらは罪、大罪ゆえに、殿下。わたし達の拘束をお願い致します」
「………………あ、ああ。そうだな。この者達を捕えろ!」

 そうして俺達はあっという間に拘束され、大勢の前で連行されてしまう。そうして――


「わたしが自白した!? バカな!! そんなことなどするはずがない!!」

「なぜならわたしはっ、そんな真似などしていないからだ!! 何かの間違いだ!!」

「実際にこの手で証明した!? そんな……!? あれは、夢ではなかったのか……!?」


 大方、いざ連行が始まると怖くなったのだろう。元凶父ノリスが否定を始めたが、コイツが言及しているように体現してみせた。
 なので結果が変わることはなく、やがて裁判が始まり、今日ついに判決が言い渡されることとなった。

((どうせ、三十数年なんだろ? 分かってるんだから、さっさと宣告しろよ))

 俺には『魅了を自力で解く』という、大事なやるべきことがあるんだ。そっちに集中したいから、さっさと告げてさっさと牢屋に入れろよ。

「………ぁぁ……。時よ、もどってくれぇぇ……」
「……父上……。ノリス……! 出所したら、またキスをしようね……!!」

 青ざめている元凶に対して、熱い視線を注ぐ。こんな異常な状態から、一秒でも早く出したい。だから、早く言えよ裁判長。

「被告ノリスとコルベットに、強制労働を伴う30年の懲役を科す!」

 よし、これで終わりだ。
 今日は朝から、移動などで全然集中できてなかったからな。ようやく、集中して――

「そしてもう一つ。ノリス、コルベットは、同室での服役を命ずる!」

 なにっ!?
 同室で――同じ牢で、だって!?

「さっ、裁判長!! 発言を許してもろう!! わたしと息子が同室!? そんな話は聞いたことがない!! なぜそんなことになっておるのだ!?」
「貴族法、第21条。それを適用した結果だ」

 魅了にかかりきりで、すっかり抜け落ちていた……! 大きな問題が発生した際は、被害者側が『罰』に注文をつけられるんだ……!!

((魅了がかかった状態で、アイツと同室だって!? そんなことになれば――))

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

龍の寵愛

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:816pt お気に入り:2

わたしはお払い箱なのですね? でしたら好きにさせていただきます

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:30,213pt お気に入り:2,528

王太子の「結婚しない」宣言から始まる秘書官の受難

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:35

ただ、あなただけを愛している

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,301pt お気に入り:260

口は禍の元・・・後悔する王様は王妃様を口説く

恋愛 / 完結 24h.ポイント:248pt お気に入り:684

処理中です...