わたくしのものを私物化するお姉様が、社交界で大変なことになってしまったそうです

柚木ゆず

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第5話 当日 エミーリラ視点(3)

「私達姉妹に――いえ、私に機会を与えてくださりありがとうございます。これより先日の件についてご説明をさせていただきます。……ミファレア、お願いできるかしら?」
「はいお姉様。…………皆様。この件はわたくしが発端となっておりますので、わたくしの口からご説明をさせていただきます」

 会場に戻って、5分ほど経ったタイミング。私達姉妹は前方にあるステージへと促され、予定通りミファレアを中心とした弁解が始まった。


「わたくしはくだんの出来事の三日前より、体調を崩しておりました」

「あんなことは初めてで……。わたくしは驚きと恐怖、不安に支配されました」
「ミファレアの不調は、原因不明でして……。お薬をいただいたものの効果は見られず、まったく回復してくれず……。姉として妹が心配であり、それと同時に、長女として次女が心配にもなりました」
「我が家にとって大事な用事が控えておりまして、そちらに対しては不参加という選択はありませんでした……。お父様、お母様、お姉様、もちろんわたくし自身も酷く焦りまして……」
「所謂オカルトに、頼らざるを得なくなったのです」

「わたくしの私物を身に着け、一定回数周囲に見せた上で、気付かれない状態で一日を過ごす。そちらを達成すれば病は消え去る、そう記されておりました」

「ですので私はあのような形で出席し、あのように振る舞っていたのでございます」

「お姉様はわたくしのために、やってくださりました。決して、わたくしの私物をとっていたのではありません」

「……気付かれてしまったあの時、ここで逃げればどうにか……。そう思ってあのような行動を取ってしまいました……。事情が事情とはいえ、明らかにおかしい言動……。猛省しております……」

「ただそのおかげで、わたくしは今こうしてこの場に立てております。お姉様には感謝しております」


 などなど。今日までの間にお父様達と相談をして変更を加えた台詞を口にして、姉妹揃ってのお辞儀で締めた。

((改良をして、振る舞いに関する部分にも説得力が出るようにした))

 おまけに、これは偶然の産物なのだけれど――。私は、タエアエス様が参加されることを知っている。
 プレゼントする姿を目にしている人間の前にわざわざ着けていくだなんて、それこそ自滅行為。切羽詰まっていてのミスという風に、利用させてもらうようにした。

((筋は通っているんだもの。修正前ならともかく、これならうまくいく……!!))

 変更の甲斐あって、しっかりとした手ごたえを感じられた。
 あの白い目や暴言とは、サヨナラ。もう、飛んでくることは――

『………………』
『………………信じられませんわ』

 ――なく、ない……!?


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