VTuberデビュー! ~自分の声が苦手だったわたしが、VTuberになることになりました~ 

柚木ゆず

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第20話 その夜の夢

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「佐倉ちゃんの声って、変だよね」
「美月ちゃんの声って、わたし達と全然違うよね~。高すぎてちょっと気持ち悪い」

 ……え?
 え?

 この声……。ケラケラ笑ってるのは……。
 翔子ちゃんと、心愛ちゃん?

「た、高い……。じゃ、じゃあ……。声をすごく低くしてみたら、変じゃなくなる……? ど、どう、かな……?」

 それと、わたし……?
 わたしは、ここにいるのに……。
 どうしてわたしは、そこにいるの……?

「た、高い……。じゃ、じゃあ……。声をすごく低くしてみたら、変じゃなくなる……? ど、どう、かな……?」
「「「「「ぷっ。なにその声!」」」」」
「もっとおかしくなってるよ。ちょっとじゃなくて、すっごく気持ち悪い」

 なに、これ……?
 わたしじゃないわたしが一生懸命色んな声を出して、周りにいる人達が笑ってる……。

「だったら……。これ、とか……。これ、はどう……? 気持ち悪く、なくなった?」
「「「「「ぶぷっ!」」」」」
「やめてっ、笑いすぎて死んじゃうからっ。ホントやめてっ! お願いっ!」
「もっとおかしくなってるからっ!」
「ちょっとじゃなくって、すっごく気持ち悪い。その声、どっから出てるんだろうね?」
「ね~」
「………………。……………………」

 おかしなわたしは、俯いて……。
 教室から、ひとりで出て行っちゃった……。

「今日は嫌なことがあったから、思いっきり笑いたいの。ねえ美月ちゃん、またあの声やってよ」
「…………………………………………」
「? 美月ちゃん? 美月ちゃん、聞こえてるの?」
「…………………………………………」
「ねえ、ねえってばっ。美月ちゃん、ウチの声聞こえてるっ?」
「…………………………………………」

 そんなわたしは、いつの間にか教室の席に戻っていて……。
 また、俯いて……。

「……………………………………ぐす……」

 俯いて、泣いていて……。
 わいわいしている賑やかな教室から、またひとりで出ていって……。
 今度はそのまま、学校から出ていっちゃった……。




 ………………なに? なんなの、これ……?
 わたしはここにいるのに、どうしてそこにいるの……?
 どうして、そんな風になってるの……?
 そんなわたしの姿を見ちゃったら、わたしも……………………。

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