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第2話 生贄……? ミシュリーヌ視点(1)
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「うばわ、ない……? わたしは、りゅうじんさまの、生贄、なのに……? な、なぜ、なの……でしょうか……?」
竜神様は竜の姿と人の姿と持たれていると、本や言い伝えを見聞きして知っていました。わたしはこれから、竜の姿となった竜神様に食べられるのだと思っていました。
でも、違う……?
「順を追って説明しよう。まずこの『竜神への生贄』は、対象の供物になるための存在ではないのだ。あちらの国の人間の、感謝と罪悪感を――膨大な『プラスのエネルギー』と『マイナスのエネルギー』を集めるための存在なのだ」
「ぷらすのエネルギーと、まいなすのエネルギー……?」
「なにゆえそうするのか? それは、あちらの国を天災から守るためだ」
…………。竜神様は戸惑うわたしに、丁寧に説明をしてくださりました。
わたしが暮らしていた国は『龍脈』と呼ばれるものが特殊な形で地面の中を走っていて、その龍脈は人の『負の感情』と――恨みや妬みなどの感情と混ざり合い、それによって変質をして天変地異を引き起こしてしまうそうです。
そこで100年に1度の周期で龍脈の中心にプラスのエネルギーをぶつけて『負』を相殺させないといけないものの、中心以外の部分にプラスのエネルギーがぶつかるとプラスとマイナスのエネルギーが激しく反応し合って大爆発してしまう――国が跡形もなく消し飛んでしまう。そこでぶつからないようマイナスのエネルギーでプラスのエネルギーを包み、反応しないようにした状態で中心まで送り込み、目的を達成させる。
そうするために、生贄を差し出させているようです。
「誰かを犠牲にして自分は生きる。そう認識させることが、最も二種のエネルギーを生みだせるのだ。そしてもう一点。現地民が異世界に移動する際に発生する『空間の乱れ』を利用するため、100年に1度生贄を要求するのだよ」
「…………そう、だったのですね……。そのような事実が、あったのですね……」
「……人も神も千差万別で、感謝も罪悪感も覚えない者はある程度いる。あくまで過去の平均だが、毎回全国民の20パーセント前後は存在するようだな」
わたしの周りにも父と母と姉、そしてローナ以外の使用人、合わせて十数人いました。お屋敷内でその人数なのですから、そのくらいの数字になるのは不思議ではありません。
「したがって万が一の不足を防ぐべく、誰にも明かすことはできないのだ。不安にさせてしまい、すまなかったな。そして……自由を奪ってしまい、すまない」
「じゆう、ですか……?」
「あちらの人間がこちらの世界に移動すると『こちらの住人』となり、元の世界に行くと異物と捉えられ肉体が消滅するのだ。それを防ぐには膨大な魔力を宿す俺が傍にいる必要があり、あいにくと俺は竜神――この世界の王であるがために、あちらの世界への移動は滅多に叶わない。要するに今後はこの世界で暮らしてもらわねばならないのだ」
死にはしないけれど元の環境には戻れない。竜神様はそちらを慮ってくださっていました。
「竜神様、ご配慮痛み入ります。ですがご安心くださいませ。わたしは現状にそこまでの悲しみを感じてはおりません」
「……その瞳、すべて本音のようだな。詳細を聞いても?」
「はい。お伝えさせていただきます」
わたしがそう思っている理由。それは――
竜神様は竜の姿と人の姿と持たれていると、本や言い伝えを見聞きして知っていました。わたしはこれから、竜の姿となった竜神様に食べられるのだと思っていました。
でも、違う……?
「順を追って説明しよう。まずこの『竜神への生贄』は、対象の供物になるための存在ではないのだ。あちらの国の人間の、感謝と罪悪感を――膨大な『プラスのエネルギー』と『マイナスのエネルギー』を集めるための存在なのだ」
「ぷらすのエネルギーと、まいなすのエネルギー……?」
「なにゆえそうするのか? それは、あちらの国を天災から守るためだ」
…………。竜神様は戸惑うわたしに、丁寧に説明をしてくださりました。
わたしが暮らしていた国は『龍脈』と呼ばれるものが特殊な形で地面の中を走っていて、その龍脈は人の『負の感情』と――恨みや妬みなどの感情と混ざり合い、それによって変質をして天変地異を引き起こしてしまうそうです。
そこで100年に1度の周期で龍脈の中心にプラスのエネルギーをぶつけて『負』を相殺させないといけないものの、中心以外の部分にプラスのエネルギーがぶつかるとプラスとマイナスのエネルギーが激しく反応し合って大爆発してしまう――国が跡形もなく消し飛んでしまう。そこでぶつからないようマイナスのエネルギーでプラスのエネルギーを包み、反応しないようにした状態で中心まで送り込み、目的を達成させる。
そうするために、生贄を差し出させているようです。
「誰かを犠牲にして自分は生きる。そう認識させることが、最も二種のエネルギーを生みだせるのだ。そしてもう一点。現地民が異世界に移動する際に発生する『空間の乱れ』を利用するため、100年に1度生贄を要求するのだよ」
「…………そう、だったのですね……。そのような事実が、あったのですね……」
「……人も神も千差万別で、感謝も罪悪感も覚えない者はある程度いる。あくまで過去の平均だが、毎回全国民の20パーセント前後は存在するようだな」
わたしの周りにも父と母と姉、そしてローナ以外の使用人、合わせて十数人いました。お屋敷内でその人数なのですから、そのくらいの数字になるのは不思議ではありません。
「したがって万が一の不足を防ぐべく、誰にも明かすことはできないのだ。不安にさせてしまい、すまなかったな。そして……自由を奪ってしまい、すまない」
「じゆう、ですか……?」
「あちらの人間がこちらの世界に移動すると『こちらの住人』となり、元の世界に行くと異物と捉えられ肉体が消滅するのだ。それを防ぐには膨大な魔力を宿す俺が傍にいる必要があり、あいにくと俺は竜神――この世界の王であるがために、あちらの世界への移動は滅多に叶わない。要するに今後はこの世界で暮らしてもらわねばならないのだ」
死にはしないけれど元の環境には戻れない。竜神様はそちらを慮ってくださっていました。
「竜神様、ご配慮痛み入ります。ですがご安心くださいませ。わたしは現状にそこまでの悲しみを感じてはおりません」
「……その瞳、すべて本音のようだな。詳細を聞いても?」
「はい。お伝えさせていただきます」
わたしがそう思っている理由。それは――
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