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第9話 予想外 ミシュリーヌ視点(1)
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「ふがっ!? ふがが!? ふがっ!?」((竜神様!? どうなされたのですか!?))
(……この家の鍵は、鍵ではない方法で――所謂ピッキングで開けられた痕跡がある。少しばかり厄介な状態となっているようだ)
突然のことに戸惑っていると、もっと戸惑ってしまうことが小声で聞こえてきました。
こじ開けられた……!? ローナが暮らしている家が……!?
(泥棒が入った、今も入っているのでしょうか……!?)
(…………俺でなければ気付かない程に、極僅かの痕跡しかない。単なる賊とは思えない手際だな)
(そ、それは、どういう、ことなのでしょうか……?)
(分からない。考えても結論が出ないのなら、実際に見てみるしかないな)
わたしを背中側に回したあと、竜神様が静かにドアノブを握る。そうしてスゥッと、無音で扉を開けると――
(ひぃっ!)
――そこに、ローナはいなくて……。その代わりに床で、衣類や書類が散乱していました……。
(床に人が転がった形跡はあるが、血の匂いはないな。となるとローナ嬢を拘束した上で何かしらを探し、そのあと拉致したか。足跡はないが――埃の変化を見るに、侵入者は2人といったところだな)
(い、いつこんなことに……。ろ、ローナはどこに……)
(最後に居場所を確認をした時――こちらに転移する直前に、彼女はちょうどこの建物に戻って来たところだった。となれば問題が発生したのは長くとも5分前。捜索を考慮すると、連れ出されたのは2分前くらいか)
2分……。それなら、ローナはまだ近くにいる……!?
「りゅっ、竜神様っ!」
「すでにローナ嬢の所在を確認している。彼女はこちらの方角にいるようだ」
竜神様は素早くわたしを抱きかかえ、認識阻害の術をかけつつ翼で空へと飛びあがります。
空に上がったわたし達は、ものすごい速さで宙を駆け抜け――
「いたぞ、ミシュリーヌ」
――すぐに、ローナは見つかりました。
久しぶりに見るローナは……。布で口を塞がれ縄で後ろ手に縛られ、やせ型の男性の肩に担がれていました。
「運ばれているのに、動かない……。まさか……」
「死体を拘束し口を塞ぐメリットなどない。大丈夫だ、彼女はちゃんと生きている。意識を失っているだけだ」
そ、そうですよね。そうでした。
よかった。ローナは、生きています。
(……この家の鍵は、鍵ではない方法で――所謂ピッキングで開けられた痕跡がある。少しばかり厄介な状態となっているようだ)
突然のことに戸惑っていると、もっと戸惑ってしまうことが小声で聞こえてきました。
こじ開けられた……!? ローナが暮らしている家が……!?
(泥棒が入った、今も入っているのでしょうか……!?)
(…………俺でなければ気付かない程に、極僅かの痕跡しかない。単なる賊とは思えない手際だな)
(そ、それは、どういう、ことなのでしょうか……?)
(分からない。考えても結論が出ないのなら、実際に見てみるしかないな)
わたしを背中側に回したあと、竜神様が静かにドアノブを握る。そうしてスゥッと、無音で扉を開けると――
(ひぃっ!)
――そこに、ローナはいなくて……。その代わりに床で、衣類や書類が散乱していました……。
(床に人が転がった形跡はあるが、血の匂いはないな。となるとローナ嬢を拘束した上で何かしらを探し、そのあと拉致したか。足跡はないが――埃の変化を見るに、侵入者は2人といったところだな)
(い、いつこんなことに……。ろ、ローナはどこに……)
(最後に居場所を確認をした時――こちらに転移する直前に、彼女はちょうどこの建物に戻って来たところだった。となれば問題が発生したのは長くとも5分前。捜索を考慮すると、連れ出されたのは2分前くらいか)
2分……。それなら、ローナはまだ近くにいる……!?
「りゅっ、竜神様っ!」
「すでにローナ嬢の所在を確認している。彼女はこちらの方角にいるようだ」
竜神様は素早くわたしを抱きかかえ、認識阻害の術をかけつつ翼で空へと飛びあがります。
空に上がったわたし達は、ものすごい速さで宙を駆け抜け――
「いたぞ、ミシュリーヌ」
――すぐに、ローナは見つかりました。
久しぶりに見るローナは……。布で口を塞がれ縄で後ろ手に縛られ、やせ型の男性の肩に担がれていました。
「運ばれているのに、動かない……。まさか……」
「死体を拘束し口を塞ぐメリットなどない。大丈夫だ、彼女はちゃんと生きている。意識を失っているだけだ」
そ、そうですよね。そうでした。
よかった。ローナは、生きています。
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