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第4話 はじめての天地村(4)
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タラの芽、たまねぎ、にんじんの天ぷら。お豆腐や油揚げ、サトイモなどがたっぷり入った野菜汁。アスパラガスと卵のピザ。エビフライ。白身魚版酢豚。アユの塩焼き。
テーブルの上には和洋中の、見るからに美味しそうなお料理が並んでいました。
「市街地からわざわざ、ボクたちの家――天地村のために来てくれるんだ。天地村で採れたもので歓迎したいと思って、腕によりをかけて作らせてもらったよ」
ニコニコしながら料理をぐるっと見回した、40代に見える小太りで温厚な男性。この方は、食事処『天地食堂』を切り盛りされている食楽(しょくらく)さん。
資料によると元々は畑などの野菜や果物を食べ回っていたあやかしで、人間の器に入るようになってからは自分でも美味しいものを作ってみたくなった。その時から今日まで何百年も料理を勉強し続けたことで、三ツ星シェフも真っ青なほどの技術と知識を身に着けたそうです。
「玉ねぎやニンジンは、ワタシが力を加えた自慢の土で育った野菜なのさ。味は保証するなのさ~」
わたしより年下――10代半ばに見える童顔三つ編みの女の子は、地栄(ちえい)さん。この方は元々土を人に投げつけて遊んでいたあやかしで、土を自在に創り出したり成分を自在に操れる力の持ち主。その能力や土の知識を活かし、天地村の農業分野のリーダーを務めているとのこと。
「そっちのエビや魚は、ワシが用意させてもらった。気に入ってくれると嬉しいのぅ」
「そこに並んでいる食器を作ったのはオレなんだぜ」
「ウチの力と経験は料理にてんで役に立たないから、装飾のプロデュースをさせてもらったよ」
お年寄りの姿をした水尾(みずお)さん、鉢巻を巻いた短髪姿の50代の男性・物造(ぶつぞう)さん、色素の薄いロングヘア―が目を引く20代後半の女性の照見(てるみ)さんなどなど。他の方々も続々と声をあげてくださり、皆さんが心から歓迎してくれているのがハッキリと分かった。
「一応、全員が喋ったな。これ以上やってるとせっかくの料理が覚めちまう。ほら席についたついた」
「清香ちゃんは、こっちよ。明彦ちゃんも」
「は、はい」「はい」
主役ということでわたしは所謂上座の一番良い席に案内され、支援課のトップである安倍さんはわたしの隣の椅子に座った。
「おし、みんな席についたな?」
「村長~。主役から離れすぎてて見えないんだが~?」
「席は公平にくじ引きで決めただろうが! 文句を言うなっての! さあ始めるぞ」
37人が座っているため、一番離れている方は確かに見にくい。そんな苦情を一喝して、
「こほん。……嬢ちゃ――」
「シン。こういう時は、嬢ちゃんじゃないでしょ?」
「おっといけねぇ。水前寺清香さんのお引越しを祝して、乾杯!!」
「「「「「かんぱいっ!」」」」」
「「「「「かんぱいっ!」」」」」
この場に居る全員でグラスを掲げ、有難いパーティーが幕を開けたのでした。
テーブルの上には和洋中の、見るからに美味しそうなお料理が並んでいました。
「市街地からわざわざ、ボクたちの家――天地村のために来てくれるんだ。天地村で採れたもので歓迎したいと思って、腕によりをかけて作らせてもらったよ」
ニコニコしながら料理をぐるっと見回した、40代に見える小太りで温厚な男性。この方は、食事処『天地食堂』を切り盛りされている食楽(しょくらく)さん。
資料によると元々は畑などの野菜や果物を食べ回っていたあやかしで、人間の器に入るようになってからは自分でも美味しいものを作ってみたくなった。その時から今日まで何百年も料理を勉強し続けたことで、三ツ星シェフも真っ青なほどの技術と知識を身に着けたそうです。
「玉ねぎやニンジンは、ワタシが力を加えた自慢の土で育った野菜なのさ。味は保証するなのさ~」
わたしより年下――10代半ばに見える童顔三つ編みの女の子は、地栄(ちえい)さん。この方は元々土を人に投げつけて遊んでいたあやかしで、土を自在に創り出したり成分を自在に操れる力の持ち主。その能力や土の知識を活かし、天地村の農業分野のリーダーを務めているとのこと。
「そっちのエビや魚は、ワシが用意させてもらった。気に入ってくれると嬉しいのぅ」
「そこに並んでいる食器を作ったのはオレなんだぜ」
「ウチの力と経験は料理にてんで役に立たないから、装飾のプロデュースをさせてもらったよ」
お年寄りの姿をした水尾(みずお)さん、鉢巻を巻いた短髪姿の50代の男性・物造(ぶつぞう)さん、色素の薄いロングヘア―が目を引く20代後半の女性の照見(てるみ)さんなどなど。他の方々も続々と声をあげてくださり、皆さんが心から歓迎してくれているのがハッキリと分かった。
「一応、全員が喋ったな。これ以上やってるとせっかくの料理が覚めちまう。ほら席についたついた」
「清香ちゃんは、こっちよ。明彦ちゃんも」
「は、はい」「はい」
主役ということでわたしは所謂上座の一番良い席に案内され、支援課のトップである安倍さんはわたしの隣の椅子に座った。
「おし、みんな席についたな?」
「村長~。主役から離れすぎてて見えないんだが~?」
「席は公平にくじ引きで決めただろうが! 文句を言うなっての! さあ始めるぞ」
37人が座っているため、一番離れている方は確かに見にくい。そんな苦情を一喝して、
「こほん。……嬢ちゃ――」
「シン。こういう時は、嬢ちゃんじゃないでしょ?」
「おっといけねぇ。水前寺清香さんのお引越しを祝して、乾杯!!」
「「「「「かんぱいっ!」」」」」
「「「「「かんぱいっ!」」」」」
この場に居る全員でグラスを掲げ、有難いパーティーが幕を開けたのでした。
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