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第5話 父と母への話~これまでできなかったことを、私はする~ 完全版
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「「…………は? お茶会と夜会に参加をする、だと(ですって)……?」」
1階にある、この家のリビングスペース。ちょうど揃っていたのでその旨を伝えたら、父と母はぽかんとしながらオウム返しをした。
そうよね。私はミレーヌの影に怯えて、参加が義務づけられているもの以外は――学舎を卒業してからは、ずっと断ってきたんだもの。驚くのも無理はないわ。
「今でも頻繁にお誘いがあって、これ以上お断りをするのは失礼ですので。これからは全てのお誘いに応じるつもりで、早速3日後にあるお茶会と4日後にある夜会に参加することにしました」
私が籍を置いている『白百合の会』のお茶会と、学舎時代の恩人――かつて副会長として支えてくださったロールド侯爵家の嫡男、現在はロールド侯爵家の若き当主となられたトリスタン様が主催される、友人知人を対象としたパーティー。実を言うとその両方から何度もお誘いを受けていて、ようやくお気持ちに応えることができる。
「お、お前……。あんな出来事があったばかりなのに……」
「それに、長年家を空けたがらなかったのに……。行くと、言うの……?」
「はい。このままですとリュシア家の評判を落としかねませんし、あのように家に居る理由がなくなりましたので。これからはそういったものに必ず参加しますし、しばしば出掛けることになります」
侯爵家令嬢のハティナ様や、伯爵家のニナ様などなど。在学時の同級生から、お食事などのお誘いも受けている。
そういったものを阻止して姉の露出を適度に下げ、逆に妹の露出を増やしてイメージアップを図る。それもこの人たちの狙いの一つだったのだけれど、そんな悪巧みができたのもさっきまで。
これからは全部、やりたいことはやる。
「お父様お母様。このあとその内容で手紙をしたため、そちらはキトリーが送ってくれることになっています。3日後の午前9時と4日後の午後4時半に、馬車の手配をお願いいたします」
「「……………………」
「「お父様、お母様。馬車を、よろしくお願いいたします」」
「……………………わ、分かった。御者達を、用意しておく」
2人は私を参加させたくないのだけれど、下手に押さえつけてしまえば、今の私なら家庭内の秘密が露見しかねない。そして、ある企みも、台無しになってしまう。
この人達にはそういった懸念があって、父ドミニクはしぶしぶ承諾。母ノエラもまた、不承不承頷いた。
「お父様お母様。お時間を取ってしまい、申し訳ありませんでした。それでは失礼致します」
2人が何か聞きたそうにしているけど、今はもう午後の4時過ぎ。相手をしていると陽が落ちてしまうので、気にせず退室してキッチンスペースへと向かう。そして、
「今日は記念すべき日だしね。ロイヤルミルクティーにしておきましょうか」
雇われている人達は全員がミレーヌ派となっているので、キトリーと2人でポットやカップ、ソーサーを用意。手早く準備をして庭にあるガーデンテーブルへと運び、本当に、久しぶりに。そこでのんびりと、おじい様とおばあ様が大好きだった飲み物を味わったのでした――。
〇〇〇
そうしてマリエットが、優雅にミルクティーを味わっている頃。リビングスペースでは、妹ミレーヌ、父ドミニク、母ノエラが、目を見開きながら顔を突き合わせていて――
皆様。昨日(さくじつ)は、本当にご迷惑をおかけしました。
まだ熱はあるものの、順調によくなってきておりまして。明日はいつも通りの時間に、投稿をさせていただきます(明日はしっかりと、1話分を投稿させていただきます)。
1階にある、この家のリビングスペース。ちょうど揃っていたのでその旨を伝えたら、父と母はぽかんとしながらオウム返しをした。
そうよね。私はミレーヌの影に怯えて、参加が義務づけられているもの以外は――学舎を卒業してからは、ずっと断ってきたんだもの。驚くのも無理はないわ。
「今でも頻繁にお誘いがあって、これ以上お断りをするのは失礼ですので。これからは全てのお誘いに応じるつもりで、早速3日後にあるお茶会と4日後にある夜会に参加することにしました」
私が籍を置いている『白百合の会』のお茶会と、学舎時代の恩人――かつて副会長として支えてくださったロールド侯爵家の嫡男、現在はロールド侯爵家の若き当主となられたトリスタン様が主催される、友人知人を対象としたパーティー。実を言うとその両方から何度もお誘いを受けていて、ようやくお気持ちに応えることができる。
「お、お前……。あんな出来事があったばかりなのに……」
「それに、長年家を空けたがらなかったのに……。行くと、言うの……?」
「はい。このままですとリュシア家の評判を落としかねませんし、あのように家に居る理由がなくなりましたので。これからはそういったものに必ず参加しますし、しばしば出掛けることになります」
侯爵家令嬢のハティナ様や、伯爵家のニナ様などなど。在学時の同級生から、お食事などのお誘いも受けている。
そういったものを阻止して姉の露出を適度に下げ、逆に妹の露出を増やしてイメージアップを図る。それもこの人たちの狙いの一つだったのだけれど、そんな悪巧みができたのもさっきまで。
これからは全部、やりたいことはやる。
「お父様お母様。このあとその内容で手紙をしたため、そちらはキトリーが送ってくれることになっています。3日後の午前9時と4日後の午後4時半に、馬車の手配をお願いいたします」
「「……………………」
「「お父様、お母様。馬車を、よろしくお願いいたします」」
「……………………わ、分かった。御者達を、用意しておく」
2人は私を参加させたくないのだけれど、下手に押さえつけてしまえば、今の私なら家庭内の秘密が露見しかねない。そして、ある企みも、台無しになってしまう。
この人達にはそういった懸念があって、父ドミニクはしぶしぶ承諾。母ノエラもまた、不承不承頷いた。
「お父様お母様。お時間を取ってしまい、申し訳ありませんでした。それでは失礼致します」
2人が何か聞きたそうにしているけど、今はもう午後の4時過ぎ。相手をしていると陽が落ちてしまうので、気にせず退室してキッチンスペースへと向かう。そして、
「今日は記念すべき日だしね。ロイヤルミルクティーにしておきましょうか」
雇われている人達は全員がミレーヌ派となっているので、キトリーと2人でポットやカップ、ソーサーを用意。手早く準備をして庭にあるガーデンテーブルへと運び、本当に、久しぶりに。そこでのんびりと、おじい様とおばあ様が大好きだった飲み物を味わったのでした――。
〇〇〇
そうしてマリエットが、優雅にミルクティーを味わっている頃。リビングスペースでは、妹ミレーヌ、父ドミニク、母ノエラが、目を見開きながら顔を突き合わせていて――
皆様。昨日(さくじつ)は、本当にご迷惑をおかけしました。
まだ熱はあるものの、順調によくなってきておりまして。明日はいつも通りの時間に、投稿をさせていただきます(明日はしっかりと、1話分を投稿させていただきます)。
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