私の宝物を奪っていく妹に、全部あげてみた結果

柚木ゆず

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第6話 戸惑う3人~マリエットがのんびりしている時に、起きていたこと~ 俯瞰視点

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「お父様お母様っ! お姉様が貴重品を廊下に出した上に、部屋を開放して……っ。本当に、何もかもを手放すつもりでしたの……っ」
「……そう、なのか……。父さん達のもとには、茶会とパーティーに参加すると言ってきたよ……」
「しかも、付き合いとして1回だけの参加じゃないの。これからは招待されたもの全てに参加をして、それ以外の外出もするそうよ……」

 広々としたリビングルームの、中央付近。そこでは親子3人が集まっており、それぞれが経験したことを知り、更に唖然となっていました。

「どうなっているの、あの子は……。いったい、何があったというの……?」
「皆目見当がつかん。……なぜ、あのように振る舞えるのだ……?」
「わたくしに心をぽっきり折られて、泣き崩れていたのに……。まるで、何もなかったかのよう……。ワケがわかりませんわ……」

 3人は長い間マリエットの怯える姿を見てきていたため、この状況を受け入れることができません。
 夢ではないかと、それぞれが頬を抓ってみたり。やはり芝居なのではないかと考え、行動を振り返ってみたり。
 色々なことを試してみますが、そのどれもが無駄。ここは夢ではなく、演技をしている様子は微塵もなく、認めざるを得ませんでした。

「……ではなぜ、ああなる……? 一時間の間に、何があったというのだ……? …………いかん。堂々巡りとなってしまっている……」
「よく考えてみたら、ここでこうしていても答えなんて出せないわ。あなた、ミレーヌ。本人に問いただしてみましょう」
「お母様、それは無理ですわ。明かすつもりは、ないみたいですから……」

 祖父母の声は、マリエットにとって非常に大切な出来事。そんな大事なものを、こんな者達に話すつもりはありませんでした。

「くそ……っ。これでは、ミレーヌが心地よく過ごせなくなるではないか……! 力ずくで吐かせ、対策を練るか……?」
「……手荒な真似は駄目よ、あなた。あの子は、大事な『駒』なんですもの。逃げだすようなことになったり、体に傷が残ったりすれば計画が台無しよ」

 マリエットは顔も頭も良く、その上人望もあり、上級貴族も興味を持っています。そこで格上に嫁がせ、パイプを作る。自分達家族3人・・・・が、もっと良い暮らしをできるようにする。
 ドミニクとノエラは、そういった目的を持っていたのでした。

「……そう、だな……。ならば…………。仕方がない。ミレーヌの玩具とすることは、諦めるしかないか……」
「そうね……。ミレーヌ。その代わりに欲しい物は今まで以上に買ってあげるし、あんなマリエットは邪魔。家の中に居たら、ストレスを溜めるだけの邪魔者。早く嫁がせられるようにお父さんとお母さんが動くから、我慢して頂戴ね」
「…………分かり、ましたわ。最高の悦びを手放したくは、ないですが……。そうせざるを、得ないんですもの。我慢、しますわ」

 やりたいけど、できない。そのためドミニクとノエラは断念し、ミレーヌも手を引くことにしました。
 そうして3人の毎日もまた、大きく変化することになり――。

 やがてはそれが原因となって、ミレーヌの人生は一変。父ドミニクと母ノエラも巻き込み、暗い人生を歩む羽目になるのでした。

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