私の宝物を奪っていく妹に、全部あげてみた結果

第15話 パーティー ミレーヌside～類は友を呼ぶ～ ミレーヌ視点（３）

「きゃぁっ!?　ぁ、ぁぅ……。ぃ、いたぃ……」
「どっ、どうされたんですの!?　なんなんですの今の奇声と物音はっ!?」
「大丈夫ですかっ!?　何があったのですか!?」
「み、ミレーヌ様に……。突然、ビンタを、されて……。頬は平気、なんですけど…………ぃたっ。転んだ拍子に、右足を捻ったみたいです……」

　しまった――。いっ、急いで言い訳をしないと――。

　少し冷静になって、そう思った時には、もう遅かった。
　騒ぎを聞きつけた参加者が集まってきていて、青ざめたリンダはどこかの令息に抱きかかえられて医務室へと運ばれて……。残されたわたくしは…………

「暴力だなんて……。最低ですわ……」
「しかも、こんな時に……。何を考えているんだ……」

　会場にいる全員から白目で見られて、非難の声をぶつけられる。
　そして……。更には…………。

「あの人って……。リュシア家の……」
「ええ。マリエット様の、妹ですわ」
「お姉様と同じく、立派な方だと思っていたのに……。まさか、こんな人だったんて……」
「お姉様は史上初の子爵家生徒会長で、妹はおめでたい日に暴力沙汰を起こす無作法者……。姉と妹は別人、とはいえ……。違いすぎますわ……」

　マリエットと比較が始まって、それによって――。わたくしの怒りに再び火が付き、止められなくなって、

「うるさい!!　あの女がなんなのよ!?　アイツは関係ないでしょ!!　あんなヤツと一緒くたにするなぁああああああああああああああああああ!!」

　持っていたグラスをカーペットに叩きつけて叫び、周囲を睨みつける。そうしていたら、今度は――

「……お前達。客人を外へと案内してくれ」
「「「「「はっ」」」」」

　――主催であるウィエンズ公爵が冷めた目で見てきて、顎をくぃっと引く。そうすれば、ガタイの良い男性達がわたくしを取り囲み……。どんなに暴れても、無駄だった……。

「はなせぇっ!!　ちがっ!!　リンダが悪いのよっ!!　マリエットが悪いのよ!!　比較したアイツらが悪いのよ!!　わたくしはっ、わるくなぃぃぃ!!　はなせぇええええええええええええええええ!!」

　必死に事実を伝えて・・・・・・も意味はなく、お屋敷の外へと連れ出されて……。そのまま、馬車に押し込まれて……。
　わたくしは……。家へと、送り返されたのだった………………。