私の宝物を奪っていく妹に、全部あげてみた結果

柚木ゆず

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第16話 2日後 ミレーヌ達3人の、その後 俯瞰視点

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「マリエットっ。有名店のブラウニーを買ってきたんだっっ! お父さん達と一緒に食べないかっ?」

 ミレーヌの強制送還があった日の、2日後。リュシア邸内では、大きな変化が起きていました。

「貴方に食べて欲しくて、1時間も並んで購入してきたの。美味しい紅茶も用意しているから、ねっ? お母さん達と一緒に食べましょっ?」
「お姉様っ!久しぶりに、家族4人・・・・で過ごしたいんですのっ。どうか、中庭にいらしてください……っ」

 あんなにもマリエットを見下し、蔑んでいた父ドミニク、母ノエラ、妹ミレーヌ。彼ら3人はマリエットの自室の前に集い、必死になって呼びかけていたのです。

 ――大きな粗相を犯してしまったことにより、ミレーヌの立場は激変。当分公の場に立つことはできなくなり、あの件によって縁談が舞い込んでくる可能性は0になった――。
 ――娘が行ったことであっても、それは家の恥。現在リュシア家の評判は、日に日に落ちていっている状況――。

 そのため先日、ロールド侯爵家の当主トリスタンと婚約した――侯爵夫人となることが決まったマリエットは、3人に残された唯一の希望。
 ロールド侯爵家の支援を受けられるように、媚を売り続けていたのです。

「お姉様……っ。わたくし一昨日の事で多くの方にお叱りを受け、今更ですけれど…………これまでの過ちを、反省しましたの。今までわたくしがやって来たことは、最低で滅茶苦茶ですわ……」
「「マリエットっ。この馬鹿娘は、心から反省しているんだ!(いるの!)」」
「今まで奪ってきたお姉様の宝物は、全てお返しいたします。お詫びとして、お姉様の仰る命令を何でも聞きますから……っ。どうか、どうか……っ。許して、ください……」
「私は、貴方達と関係を戻すつもりはないの。そんなお詫びも要らないし、ブラウニーや紅茶も必要ないわ」

 室内にいるマリエットは当然、3人の魂胆を把握しています。そのためミレーヌ達の懇願は間髪をいれず撥ね付けられ、3人は今回もガックリと肩を落とします。

 そして――。

 その直後に3人は、これまでとは違う反応も取る羽目になってしまいます。
 なぜならば――。まもなくやって来るトリスタンと部屋から出てきたマリエットの口から、予想外の言葉が出るのだから。

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