私の宝物を奪っていく妹に、全部あげてみた結果

柚木ゆず

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番外編その1 3人の1年後 俯瞰視点(3)

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「……繰り返しますが、当主殿。我々が行っているコレは、慈善事業ではないのですよ」
「ですので。要望が通らないのであれば、当然、契約の更新はできません」
「1年と、2か月間ですかね。ドミニク様、ノエラ様、ミレーヌ様。長いような、短いようなお付き合いでし――」
「まっ、待ってくれっ!!」「待って頂戴っ!!」「待ってくださいっっ!!」

 丁寧なお辞儀をして、リビングスペースを出ていこうとした10人。その背中に、ドミニク達の大声がぶつかりました。
 3人にとって10人は、希望の光。安息を手に入れるには、必要不可欠な存在となっています。
 そのため契約解除は死活問題で、その声には必死さが宿っていました。

「現在の報酬は、相場より少し上っ、感謝の気持ちをプラスしているんだっ! だからっ、頼むっ! 頼むっ!! これで手を打ってくれ!!」
「わたし達は、出来る限りの精一杯の事をやっているの……!!」
「皆様……っ!! どうか……っ。どうか…………っ。お願い致します……!!」

 毎月200×10で、2000万の出費。それが痛くないはずがなく、彼は様々なものを切り崩して生きてきました。
 すでに懐事情は厳しくなってきており、いつ終わるか分からない戦いの中で先の見えない戦いの中で、各50万アップは大ダメージ。大きな痛手となってしまうのでした。

「その契約を受け入れてしまうと、先に財力が尽きてしまう可能性が高いのだ……。頼む……っ。現状維持に、してくれ――してください……!!」
「その代わりに、無事成功した際には別にお礼をさせていただくからっ! 満足できるようにするから……っ! お願いします……っっ!!」
「わたくし達の人生が、かかっていますの……っ!! 皆様……っ。わたくし達が頼れるのは、もう、皆様しかいませんの……っ。この通り、ですわ……!!」

 3人は揃って、カーペットに額をつけて懇願します。
 長年長女マリエットをいたぶり、愉しみ、悦び、平民を見下しゴミのように思っていた、ミレーヌ、ノエラ、ドミニク。
 そんな彼女達は今、そんなゴミである平民に対し、土下座を行いました。

 
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