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番外編その2 在学時の出来事~叱責と反論と、~ 俯瞰視点(2)
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「今し方の言葉は貴族として以前に、人間として不適切な発言です。今すぐその前言を撤回してください」
これまで粛々と暴言を受け入れていたトリスタンの、態度が一変。その声には、鋭さが含まれるようになりました。
「貴方の内心がどうであれ、指定席となっている場所に座れなかったのは事実。そのため唯々諾々と全てを受け入れるつもりでしたが――。他者への暴言は看過できません」
「なっ、なぁ……っ。なっ、生意気だぞトリスタン!! 口を慎め!! 事実を言って何が悪い――」
「叔父上、前述した理由で口にしてはいませんでしたが。客観的に見て、俺は情けない男ではありません。ドナルドの息子は勿論こと、貴方よりも遥かに優れています」
彼は真正面から『事実』を突きつけ、続けます。
「ではそんな男がなぜ、今回2番手となっているのか? それはひとえに、先頭を走る者が――マリエット・リュシアという人が、素晴らしい人間だからなのですよ」
他者目線になって考えられる。どんな問題に対しても、他人事ではなく我が事のように取り組める。などなど。
現段階でも、トリスタンは長所をある程度理解していた――逆に言うとマリエットは、大して親しくしていなくても長所を理解できるような人間でした。そのため彼は彼女に敬意を払っており、自身が感じているものを言葉にしたのです。
「このように、支持率トップには理路整然とした理由があるのですよ。……分かりましたか、叔父上?」
「…………………………」
「そして――。貴方は、ロールド家に泥を塗る――自分への害を案じていましたが、それは心配ありませんよ。俺は、先人が積み上げてきたものを壊しはしません。俺のやり方で当主を勤め上げ、ロールド家を更なる高みへと押し上げる所存ですので」
「う、五月蠅い!! このっ、負け犬がぁっ!! 負け犬の分際でベラベラと喋りやがってぇっっ!!」
ドナルドは今日、兄である現当主がいないタイミングで訪れていました――誰にも止めることができないようにして、憂さを晴らすために訪れていました。
しかしながら反論をされて、おまけにそれは正論で――実際トリスタンには才能があり、間違いなくそれが実現してしまう。面白くない予想外が起きてしまったため、言葉で反撃することができなくなってしまったため、目を剥いて立ち上がりました。
「もういいっ!! お前と話していても有益なものは生まれないっ、時間の無駄だ!! 選挙の軌道修正に関しても、協力は求めん!! オレが個人的に行う!! もう帰るぞ!!」
「はい。では、お気をつけてお帰りください――と、言いたいところですが。お待ちください叔父上。軌道修正とは、何をされるおつもりですか?」
大股で――逃げるように扉へと向かっていた背中に声がかかり、トリスタンも立ち上がりました。
「もしや。学院の選挙に秘密裏に介入し、俺が当選するよう工作をなさるおつもり、なのでしょうか?」
「当たり前だろう!! 代々生徒会長を務めておかねば、来年入学する息子に『前生徒会長の従弟』という箔がつかないのだからな!! どんな手を使ってでも――…………」
大声を張り上げていたドナルドは、それ以降、言葉を紡げなくなってしまいました。
なぜならば――。彼の背後に突如2つの人影が現れ、首の両側に手刀がつきつけられていたからです。
これまで粛々と暴言を受け入れていたトリスタンの、態度が一変。その声には、鋭さが含まれるようになりました。
「貴方の内心がどうであれ、指定席となっている場所に座れなかったのは事実。そのため唯々諾々と全てを受け入れるつもりでしたが――。他者への暴言は看過できません」
「なっ、なぁ……っ。なっ、生意気だぞトリスタン!! 口を慎め!! 事実を言って何が悪い――」
「叔父上、前述した理由で口にしてはいませんでしたが。客観的に見て、俺は情けない男ではありません。ドナルドの息子は勿論こと、貴方よりも遥かに優れています」
彼は真正面から『事実』を突きつけ、続けます。
「ではそんな男がなぜ、今回2番手となっているのか? それはひとえに、先頭を走る者が――マリエット・リュシアという人が、素晴らしい人間だからなのですよ」
他者目線になって考えられる。どんな問題に対しても、他人事ではなく我が事のように取り組める。などなど。
現段階でも、トリスタンは長所をある程度理解していた――逆に言うとマリエットは、大して親しくしていなくても長所を理解できるような人間でした。そのため彼は彼女に敬意を払っており、自身が感じているものを言葉にしたのです。
「このように、支持率トップには理路整然とした理由があるのですよ。……分かりましたか、叔父上?」
「…………………………」
「そして――。貴方は、ロールド家に泥を塗る――自分への害を案じていましたが、それは心配ありませんよ。俺は、先人が積み上げてきたものを壊しはしません。俺のやり方で当主を勤め上げ、ロールド家を更なる高みへと押し上げる所存ですので」
「う、五月蠅い!! このっ、負け犬がぁっ!! 負け犬の分際でベラベラと喋りやがってぇっっ!!」
ドナルドは今日、兄である現当主がいないタイミングで訪れていました――誰にも止めることができないようにして、憂さを晴らすために訪れていました。
しかしながら反論をされて、おまけにそれは正論で――実際トリスタンには才能があり、間違いなくそれが実現してしまう。面白くない予想外が起きてしまったため、言葉で反撃することができなくなってしまったため、目を剥いて立ち上がりました。
「もういいっ!! お前と話していても有益なものは生まれないっ、時間の無駄だ!! 選挙の軌道修正に関しても、協力は求めん!! オレが個人的に行う!! もう帰るぞ!!」
「はい。では、お気をつけてお帰りください――と、言いたいところですが。お待ちください叔父上。軌道修正とは、何をされるおつもりですか?」
大股で――逃げるように扉へと向かっていた背中に声がかかり、トリスタンも立ち上がりました。
「もしや。学院の選挙に秘密裏に介入し、俺が当選するよう工作をなさるおつもり、なのでしょうか?」
「当たり前だろう!! 代々生徒会長を務めておかねば、来年入学する息子に『前生徒会長の従弟』という箔がつかないのだからな!! どんな手を使ってでも――…………」
大声を張り上げていたドナルドは、それ以降、言葉を紡げなくなってしまいました。
なぜならば――。彼の背後に突如2つの人影が現れ、首の両側に手刀がつきつけられていたからです。
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