40 / 48
番外編その2 在学時の出来事~叱責と反論と、~ 俯瞰視点(3)
しおりを挟む
「な…………。気づかな、かった……。どこから、現れた……? な、なんだ……? なんなんだコイツらは……!?」
「彼らは、俺の影の一部。当主であり次期当主、そしてその側近2名にのみ存在の知得を許された、ロールド家の暗器なのですよ」
怒気が鳴りを潜め、青ざめるドナルド。そんな彼に対しトリスタンは、淡々と説明を行いました。
ロールド家は、正義を重んじる家系。しかしながらこの世で正義を貫くには、『力』であり『数』が必要不可欠となります。この影はその両方を併せ持つ、陰でロールド家を支えてきていた存在なのです。
「影の存在を明かした以上、ただでは済まない。そのため身内には使いたくなかったのですが、仕方ありません。貴方は、悪行に手を染めようとしたのですから」
「あっ、悪行ではない!! これはっ!! 他の貴族も――歴代の生徒会長の大多数が行ってきたものだ!! 極々当たり前のっ、力を持つ者にのみ許された特権で――」
「うぬぼれるなよ、ドナルド。我々の持つ地位は、力は、そんな事のためにあるのではない」
領民の暮らしを良くするため。そんな人達が暮らす世を良い方向へと導くため。平和を実現してゆくために与えられたもの、使うものだ。
他の貴族が、間違いを犯しているだけだ。
トリスタンははっきりと、そう告げました。
「自身の都合で出る杭を打つ、それは断じて許されるものではない。学院は次の世代を育てる場所で、なおさら、より良い環境の実現を阻止することは許されないんだ」
「ばっ、バカ言えっ!! 子爵家の女ごときに、そんな――」
「ついさっき言ったはずだ。彼女には、その実力があると。この結果は、俺が無様ゆえの敗北ではないと。マリエット・リュシア様の、実力の勝利なのだとな」
自分自身にも、優秀な生徒会長になる自信はある。されど彼女は、それ以上の器だった。
彼は嬉しそうにそれを語り、それが終わるや――。その視線は、再び冷たいものとなりました。
「彼らは、俺の影の一部。当主であり次期当主、そしてその側近2名にのみ存在の知得を許された、ロールド家の暗器なのですよ」
怒気が鳴りを潜め、青ざめるドナルド。そんな彼に対しトリスタンは、淡々と説明を行いました。
ロールド家は、正義を重んじる家系。しかしながらこの世で正義を貫くには、『力』であり『数』が必要不可欠となります。この影はその両方を併せ持つ、陰でロールド家を支えてきていた存在なのです。
「影の存在を明かした以上、ただでは済まない。そのため身内には使いたくなかったのですが、仕方ありません。貴方は、悪行に手を染めようとしたのですから」
「あっ、悪行ではない!! これはっ!! 他の貴族も――歴代の生徒会長の大多数が行ってきたものだ!! 極々当たり前のっ、力を持つ者にのみ許された特権で――」
「うぬぼれるなよ、ドナルド。我々の持つ地位は、力は、そんな事のためにあるのではない」
領民の暮らしを良くするため。そんな人達が暮らす世を良い方向へと導くため。平和を実現してゆくために与えられたもの、使うものだ。
他の貴族が、間違いを犯しているだけだ。
トリスタンははっきりと、そう告げました。
「自身の都合で出る杭を打つ、それは断じて許されるものではない。学院は次の世代を育てる場所で、なおさら、より良い環境の実現を阻止することは許されないんだ」
「ばっ、バカ言えっ!! 子爵家の女ごときに、そんな――」
「ついさっき言ったはずだ。彼女には、その実力があると。この結果は、俺が無様ゆえの敗北ではないと。マリエット・リュシア様の、実力の勝利なのだとな」
自分自身にも、優秀な生徒会長になる自信はある。されど彼女は、それ以上の器だった。
彼は嬉しそうにそれを語り、それが終わるや――。その視線は、再び冷たいものとなりました。
48
あなたにおすすめの小説
幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ
猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。
そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。
たった一つボタンを掛け違えてしまったために、
最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。
主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?
見知らぬ子息に婚約破棄してくれと言われ、腹の立つ言葉を投げつけられましたが、どうやら必要ない我慢をしてしまうようです
珠宮さくら
恋愛
両親のいいとこ取りをした出来の良い兄を持ったジェンシーナ・ペデルセン。そんな兄に似ずとも、母親の家系に似ていれば、それだけでもだいぶ恵まれたことになったのだが、残念ながらジェンシーナは似ることができなかった。
だからといって家族は、それでジェンシーナを蔑ろにすることはなかったが、比べたがる人はどこにでもいるようだ。
それだけでなく、ジェンシーナは何気に厄介な人間に巻き込まれてしまうが、我慢する必要もないことに気づくのが、いつも遅いようで……。
地味で器量の悪い公爵令嬢は政略結婚を拒んでいたのだが
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
心優しいエヴァンズ公爵家の長女アマーリエは自ら王太子との婚約を辞退した。幼馴染でもある王太子の「ブスの癖に図々しく何時までも婚約者の座にいるんじゃない、絶世の美女である妹に婚約者の座を譲れ」という雄弁な視線に耐えられなかったのだ。それにアマーリエにも自覚があった。自分が社交界で悪口陰口を言われるほどブスであることを。だから王太子との婚約を辞退してからは、壁の花に徹していた。エヴァンズ公爵家てもつながりが欲しい貴族家からの政略結婚の申し込みも断り続けていた。このまま静かに領地に籠って暮らしていこうと思っていた。それなのに、常勝無敗、騎士の中の騎士と称えられる王弟で大将軍でもあるアラステアから結婚を申し込まれたのだ。
姉の代わりになど嫁ぎません!私は殿方との縁がなく地味で可哀相な女ではないのだから─。
coco
恋愛
殿方との縁がなく地味で可哀相な女。
お姉様は私の事をそう言うけど…あの、何か勘違いしてません?
私は、あなたの代わりになど嫁ぎませんので─。
(完結)妹の婚約者である醜草騎士を押し付けられました。
ちゃむふー
恋愛
この国の全ての女性を虜にする程の美貌を備えた『華の騎士』との愛称を持つ、
アイロワニー伯爵令息のラウル様に一目惚れした私の妹ジュリーは両親に頼み込み、ラウル様の婚約者となった。
しかしその後程なくして、何者かに狙われた皇子を護り、ラウル様が大怪我をおってしまった。
一命は取り留めたものの顔に傷を受けてしまい、その上武器に毒を塗っていたのか、顔の半分が変色してしまい、大きな傷跡が残ってしまった。
今まで華の騎士とラウル様を讃えていた女性達も掌を返したようにラウル様を悪く言った。
"醜草の騎士"と…。
その女性の中には、婚約者であるはずの妹も含まれていた…。
そして妹は言うのだった。
「やっぱりあんな醜い恐ろしい奴の元へ嫁ぐのは嫌よ!代わりにお姉様が嫁げば良いわ!!」
※醜草とは、華との対照に使った言葉であり深い意味はありません。
※ご都合主義、あるかもしれません。
※ゆるふわ設定、お許しください。
婚約破棄を兄上に報告申し上げます~ここまでお怒りになった兄を見たのは初めてでした~
ルイス
恋愛
カスタム王国の伯爵令嬢ことアリシアは、慕っていた侯爵令息のランドールに婚約破棄を言い渡された
「理由はどういったことなのでしょうか?」
「なに、他に好きな女性ができただけだ。お前は少し固過ぎたようだ、私の隣にはふさわしくない」
悲しみに暮れたアリシアは、兄に婚約が破棄されたことを告げる
それを聞いたアリシアの腹違いの兄であり、現国王の息子トランス王子殿下は怒りを露わにした。
腹違いお兄様の復讐……アリシアはそこにイケない感情が芽生えつつあったのだ。
完結 王子は貞操観念の無い妹君を溺愛してます
音爽(ネソウ)
恋愛
妹至上主義のシスコン王子、周囲に諌言されるが耳をを貸さない。
調子に乗る王女は王子に婚約者リリジュアについて大嘘を吹き込む。ほんの悪戯のつもりが王子は信じ込み婚約を破棄すると宣言する。
裏切ったおぼえがないと令嬢は反論した。しかし、その嘘を真実にしようと言い出す者が現れて「私と婚約してバカ王子を捨てないか?」
なんとその人物は隣国のフリードベル・インパジオ王太子だった。毒親にも見放されていたリリジュアはその提案に喜ぶ。だが王太子は我儘王女の想い人だった為に王女は激怒する。
後悔した王女は再び兄の婚約者へ戻すために画策するが肝心の兄テスタシモンが受け入れない。
「いらない」と捨てられた令嬢、実は全属性持ちの聖女でした
ゆっこ
恋愛
「リリアーナ・エヴァンス。お前との婚約は破棄する。もう用済み
そう言い放ったのは、五年間想い続けた婚約者――王太子アレクシスさま。
広間に響く冷たい声。貴族たちの視線が一斉に私へ突き刺さる。
「アレクシスさま……どういう、ことでしょうか……?」
震える声で問い返すと、彼は心底嫌そうに眉を顰めた。
「言葉の意味が理解できないのか? ――お前は“無属性”だ。魔法の才能もなければ、聖女の資質もない。王太子妃として役不足だ」
「無……属性?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる