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番外編その2 在学時の出来事~叱責と反論と、~ 俯瞰視点(3)

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「な…………。気づかな、かった……。どこから、現れた……? な、なんだ……? なんなんだコイツらは……!?」
「彼らは、俺の影の一部。当主であり次期当主、そしてその側近2名にのみ存在の知得を許された、ロールド家の暗器なのですよ」

 怒気が鳴りを潜め、青ざめるドナルド。そんな彼に対しトリスタンは、淡々と説明を行いました。
 ロールド家は、正義を重んじる家系。しかしながらこの世で正義を貫くには、『力』であり『数』が必要不可欠となります。この影はその両方を併せ持つ、陰でロールド家を支えてきていた存在なのです。

「影の存在を明かした以上、ただでは済まない。そのため身内には使いたくなかったのですが、仕方ありません。貴方は、悪行に手を染めようとしたのですから」
「あっ、悪行ではない!! これはっ!! 他の貴族も――歴代の生徒会長の大多数が行ってきたものだ!! 極々当たり前のっ、力を持つ者にのみ許された特権で――」
「うぬぼれるなよ、ドナルド・・・・。我々の持つ地位は、力は、そんな事のためにあるのではない」

 領民の暮らしを良くするため。そんな人達が暮らす世を良い方向へと導くため。平和を実現してゆくために与えられたもの、使うものだ。
 他の貴族が、間違いを犯しているだけだ。
 トリスタンははっきりと、そう告げました。

「自身の都合で出る杭を打つ、それは断じて許されるものではない。学院は次の世代を育てる場所で、なおさら、より良い環境の実現を阻止することは許されないんだ」
「ばっ、バカ言えっ!! 子爵家の女ごときに、そんな――」
「ついさっき言ったはずだ。彼女には、その実力があると。この結果は、俺が無様ゆえの敗北ではないと。マリエット・リュシア様の、実力の勝利なのだとな」

 自分自身にも、優秀な生徒会長になる自信はある。されど彼女は、それ以上の器だった。
 彼は嬉しそうにそれを語り、それが終わるや――。その視線は、再び冷たいものとなりました。

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