上 下
2 / 27

第1話 嘘だった妹~作戦は順調に始まっ――え……?~ ニノン視点(1)

しおりを挟む
((やったねっ。作戦その1、大成功っ!))

 お姉ちゃんに協力をお願いして、サンティラス様が頷いてくださった瞬間。わたしは心の中で、パチンッと指を鳴らした。

 不気味なことが起きる。
 あれは、ぜーんぶ嘘っ。

 サンティラス様との距離を近づけるための、作り話だったのでしたっ。

((だって。わたし、サンティラス様を好きになっちゃったんだもん))

 お姉ちゃんが夜会で交際を申し込まれて、交際が始まってウチにいらっしゃることが多くなった。そうしたらお会いする機会が増えて、お喋りしていると素敵に感じるようになったの。
 1か月前に婚約が決まって、そうしたらもっとウチにいらっしゃることが多くなって。もっともっとお会いする機会が増えて、大好きになっちゃったの。

((でも。サンティラス様は、お姉ちゃんが好き))

 予定がない日はずっと一緒にいるくらい、お姉ちゃんを愛している。

((でもでも。わたしは、サンティラス様と結婚したい))

 だからこうして嘘をついて、わたしと一緒にいてもらえる時間を作れるようにしたの。


 だってわたしはこんなにも可愛くって、リリィみたいに綺麗な心を持っているんだもんっ!


 わたしと2人きりの時間を過ごしたら、心変わりをしてくれるに決まってる!

((サンティラス様が心変わりされたのなら、仕方がないもんね))

 お姉ちゃんから、奪い取ったんじゃないんだもん。カミーユお父様もアメニスお母様も、認めるしかないもんね。わたしは堂々とサンティラス様と一緒になれて、幸せいっぱいの毎日を過ごせるようになるのです!

((不気味なことが起きるなら、その目でしっかり確認しなきゃいけない。だから、どんな時も一緒))

 朝も昼も夜も、傍にはサンティラス様。おはようと言ってくれたりお休みと言ってくれたり、同じベッドで眠るっ、なんてこともできちゃうかもしれない……っ。

((幸せな気持ちになりながら、誘惑できるなんて……っ。最高っ、幸せ……っ))

 サンティラス様に霊感があって、よかった~っ。詳しくは知らないけど、除霊? みたいなことをしたって聞いていて、よかった~っ。
 わたしは、心の中でぴょんぴょん跳んで――

「でははじめに、霊に憑かれているのかを確認しよう。……ニノン。まずは、これを飲み干してくれ」

 ――大喜びしていたら、サンティラス様がドロドロした緑の液体を持ってきた。
 ……え……? これ、なに……?

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

悪役令嬢は断罪され禿げた青年伯爵に嫁ぎました。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:1,725

攻略対象5の俺が攻略対象1の婚約者になってました

BL / 完結 24h.ポイント:383pt お気に入り:2,623

青丘純愛記

歴史・時代 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

腹黒上司が実は激甘だった件について。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:138

処理中です...