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第5話 新しい作戦と、 ニノン視点(1)
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「サンティラス様っ! また声がしましたっ! 耳元で聞こえましたぁ……っ」
扉を開けたわたしは涙を零しながら叫んで、あぁあっ! 2人はベッドの縁に仲良く座っていたから、駆け寄ってサンティラス様の胸に飛び込んだ。
「安心して眠っていたら、不気味な笑い声が聞こえてきたんです……っ。怖かった……っ。怖かったです……っ」
「そっか……。ニノン、よく頑張った。よくここまで逃げてこられたね」
この方はとっても優しい人だから、優しく抱き締めて褒めてくれたっ!
ふっふっふ~。作戦、大成功っ。お姉ちゃん、残念でしたっ。2人きりは、もうおしまいだよっ。
「…………ねえ、ニノン。寝ぼけていたとか、空耳だとか。そういった可能性はないの?」
心の中でピースをしていたら、そんなお姉ちゃんがわたしを見つめてきた。信じられないって感じの目で、わたしを見てくる。
「あの粉末は効果が覿面で、必ず効いているそうなの。ちゃんと意識があって、間違いなく聞いたの?」
「だってあんなに臭いんだよっ? なかなか眠れなくって、起きてたよっ。そしたら急に聞こえてきたのっ。『邪魔をするな……!』って低い怖い声がっ」
お姉ちゃんはわたしの本心に気付いていないと思うけど、念のために霊の台詞もプラスしておいた。
状況に合わせて、咄嗟に思い付けるだなんて。さすがニノンちゃんっ。
「間違いないのっ。……サンティラス様っ。サンティラス様は、信じてくれますよね?」
「極めて稀なのだけれど。霊の中には遠隔的に仕掛けてくるタイプもいて、その場合は室内の除霊では効果がないからね。信じるよ」
ラッキーっ。運よくピッタリなパターンがあるみたいで、バッチリ信じてもらえましたっ。
「……明らかにこの部屋にいるという状況だったから、決めつけてしまっていた。ごめんよ、ニノン」
「サンティラス様っ、謝らないでくださいっ。悪いのは霊と、お願いをしているわたしですからっ」
目の前にある両手を取って、ふるふると首を振る。そうしてさり気なく印象アップしておいて、次のステップに進みますっ。否定をしたわたしは物音が聞こえたタイミングで、ビクッと身体を震わせた。
「あの声、かなり怒っているみたいでした……っ。そんな相手が、何をしてくるか分からないので……。お願いします……っ。解決するまでずっと、お傍にいてください……」
サンティラス様は、優しくて責任感のある人だもんね。ウルウル目で見上げたら、
「当然だよ。その霊を無力化できるまで、傍に居ると約束しよう」
やったねっ。力強く頷いてくれて、優しく手を握ってくれた。
そ~そ~、これこれ~っ。わたしはこういう、お姫様みたいな扱いを待ってたんだよね――
「このタイプの霊は僕ではなく、ニノンの力で祓わないといけないんだ。そのためニノンにはやってもらわないといけないことがあって、それは辛くきついものになる。でも、最後まで傍に居て支えるから。安心して欲しい」
――え……?
え……⁉
扉を開けたわたしは涙を零しながら叫んで、あぁあっ! 2人はベッドの縁に仲良く座っていたから、駆け寄ってサンティラス様の胸に飛び込んだ。
「安心して眠っていたら、不気味な笑い声が聞こえてきたんです……っ。怖かった……っ。怖かったです……っ」
「そっか……。ニノン、よく頑張った。よくここまで逃げてこられたね」
この方はとっても優しい人だから、優しく抱き締めて褒めてくれたっ!
ふっふっふ~。作戦、大成功っ。お姉ちゃん、残念でしたっ。2人きりは、もうおしまいだよっ。
「…………ねえ、ニノン。寝ぼけていたとか、空耳だとか。そういった可能性はないの?」
心の中でピースをしていたら、そんなお姉ちゃんがわたしを見つめてきた。信じられないって感じの目で、わたしを見てくる。
「あの粉末は効果が覿面で、必ず効いているそうなの。ちゃんと意識があって、間違いなく聞いたの?」
「だってあんなに臭いんだよっ? なかなか眠れなくって、起きてたよっ。そしたら急に聞こえてきたのっ。『邪魔をするな……!』って低い怖い声がっ」
お姉ちゃんはわたしの本心に気付いていないと思うけど、念のために霊の台詞もプラスしておいた。
状況に合わせて、咄嗟に思い付けるだなんて。さすがニノンちゃんっ。
「間違いないのっ。……サンティラス様っ。サンティラス様は、信じてくれますよね?」
「極めて稀なのだけれど。霊の中には遠隔的に仕掛けてくるタイプもいて、その場合は室内の除霊では効果がないからね。信じるよ」
ラッキーっ。運よくピッタリなパターンがあるみたいで、バッチリ信じてもらえましたっ。
「……明らかにこの部屋にいるという状況だったから、決めつけてしまっていた。ごめんよ、ニノン」
「サンティラス様っ、謝らないでくださいっ。悪いのは霊と、お願いをしているわたしですからっ」
目の前にある両手を取って、ふるふると首を振る。そうしてさり気なく印象アップしておいて、次のステップに進みますっ。否定をしたわたしは物音が聞こえたタイミングで、ビクッと身体を震わせた。
「あの声、かなり怒っているみたいでした……っ。そんな相手が、何をしてくるか分からないので……。お願いします……っ。解決するまでずっと、お傍にいてください……」
サンティラス様は、優しくて責任感のある人だもんね。ウルウル目で見上げたら、
「当然だよ。その霊を無力化できるまで、傍に居ると約束しよう」
やったねっ。力強く頷いてくれて、優しく手を握ってくれた。
そ~そ~、これこれ~っ。わたしはこういう、お姫様みたいな扱いを待ってたんだよね――
「このタイプの霊は僕ではなく、ニノンの力で祓わないといけないんだ。そのためニノンにはやってもらわないといけないことがあって、それは辛くきついものになる。でも、最後まで傍に居て支えるから。安心して欲しい」
――え……?
え……⁉
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