上 下
4 / 23

第3話 真の恋人と過ごす時間は シブリアン視点(1)

しおりを挟む
「こうして会うのは、2週間ぶりだね。元気だった?」
「はいっ。でも……」
「???」
「シブリアン様にお会いできなくて、ずっと寂しかったです……」
「クロエ……! 俺も、おんなじ気持ちだよ。今日は会えなかった分、たっぷり楽しい時間を過ごそうね!」

 クロエはアドリエンヌと違い、俺と会えない日々に寂しさを感じてくれていたり。

「ああそうそう。クロエにプレゼントだ。受け取って欲しい」
「わぁ……! こんな素敵なものを……いただいてもよろしいのですか……?」
「もちろん。君に受け取ってもらいたい」
「ありがとうございます……!! 本当に、素敵……! 綺麗……!」

「それと、もう一つ。デザートも用意しているよ」
「え!? こちらのお店は、平民のわたしでも知っています……! しかも、わぁっ、オペラっ! わたし、オペラが大好きなんですっ!」
「ふふ。そう言っていたから、セレクトしたんだよ」
「っ。わたしに、合わせてくださったんですね……! ありがとうございますっ! 幸せですっっ!」

 クロエはアドリエンヌと違い、目をキラキラさせて喜んでくれたり。

「…………うん。今日のコースもなかなかの味だ」
「はい、お上手ですよね。それに」
「ん?」
「大好きな人が目の前に居てくださるので、余計に美味しく感じます。……本当に、おいしい」
「クロエ……!!」

 クロエはアドリエンヌと違い、俺を見つめながら赤面をしてくれたり。

 クロエと会ってからまだ1時間と少しなのに、いくつもの喜びを俺にくれた。
 ……邪魔者婚約者のアドリエンヌ……。
 アイツもまあ俺に会うと喜ぶし、プレゼントをしても喜ぶし、俺を持ち上げもする。ただアドリエンヌは、人形みたい――同じ18歳とは思えないほどに落ち着き過ぎているから、対して感動もしないしあげ甲斐もないんだよな。
 クロエはすべての面において、素晴らしい。アドリエンヌを遥かに超えている。

((ふふ。ふふふふふ。こんな時間がいつまでも続けばいいのに))

 心からそう願うが、世の中は残酷だ。
 もうそろそろ帰路につかないと、家族に怪しまれてしまう。なので、しぶしぶ……本当に、しぶしぶだ。締めのコーヒーを飲んで少し喋ったあと、俺は椅子から立ち上がり――

「シブリアン様。実は、お願いがありまして……。聞いていただけないでしょうか……?」

 解散しようとしていたら、可愛らしいウルウル目が注がれた。
 お願い? なんだ?


しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

婚約破棄された公爵令嬢 アンジェリカ様

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:213pt お気に入り:265

〖完結〗妹は病弱を理由に私のものを全て欲しがります。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:163pt お気に入り:1,855

ガラスの靴をもらわなかった方は

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:461pt お気に入り:1,069

結婚の約束は破ったり棄てたりしない

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,470pt お気に入り:1

婚約者が愛していたのは、わたしじゃない方の幼馴染でした

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:262pt お気に入り:1,220

俺に従わないのならこの屋敷から追い出すぞ! と叫んだ結果

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:35pt お気に入り:466

【完結】婚約解消? 俺に女遊び教えたの、そいつだけど?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:390pt お気に入り:445

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:220pt お気に入り:1,798

処理中です...