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第5話 だから 俯瞰視点(1)

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「…………すごいよ。ラシェルちゃんって……。すごい人だ……」
「ああ。今日まで193年間の時を生きてきたが、こんなにも温かい心の持ち主と出会ったことはない」

 一か月間のラシェル行動と、内心。それらを聞いたゴーチェは鼻を啜り、それらを伝えたセレスティンはラシェルへと向き直りました。

「だから俺は今、彼女に敬意と好意を抱いている。心から彼女を敬い、愛している」

 異性――恋愛対象としてではなく、一人の存在として。ラシェルを思い、想っていました。

「であるから、俺の中にある気持ちは強くなったんだ。ますます、彼女を救いたいと思うようになったんだ」
「…………セレ様、ボクもおんなじです。ボクも絶対に、元に戻してあげたいって思ってます!」

 瞳を飽和状態にしながらコクコクと頷き、ゴーチェはセレスティンの顔を覗き込みました。

「手伝えるコトがあったら、全力でお手伝いしますっ! ボクにできるコトってありませんかっ?」
「ゴーチェ。実は、お前に頼みたい――お前にしか頼めないものがあるんだ」

 頷きに穏やかな頷きを返したあと、セレスティンは南の方角を一瞥しました。その先にあるのは、祭壇。先ほどラシェルが人間界からやって来た、2つの世界を繋ぐ通り道です。

「さっき消滅させた黒魔術のアレ・・が、そろそろ動き出すはずだ。しかしこのタイミングでそうなってしまっては、これからの行動に支障が出てしまう」
「だからボクは、それを止めていればいいんですね? お任せあれっ」

 ゴーチェは身体ごと祭壇がある方角を向き、その状態でパンッと胸の前で両手を合わせました。そうすれば彼の両手から虹色の光が勢いよく飛び出し、それは南へと伸びてゆき、やがては祭壇を囲む直径20メートルもの大きな輪となりました。

「セレ様、これで精霊と人以外は通過できなくなりましたよっ。ボクがここで発動させている限り、永遠にねっ」
「さすがだ。やはりお前は、10000年に1人の逸材だな」

 精霊補佐担当の精霊、ゴーチェ51歳。100歳で成人となる精霊の中ではまだまだ子どもな存在。そんな彼が重要なポジションを任されている理由は、『真っすぐな心』と『類まれなるサポート力』があるから。ゴーチェはラシェルの前に現れた際の『光化(ひかりか)』などサポートに特化した力を持っているため、過去最年少で――これまでの記録を200歳以上も上回る若さで、抜擢されていたのです。
 そうしてゴーチェに頼み、『仕込み』を行ったセレスティンは――











 ※本日はこのあと、午後6時~7時の間に1話投稿をさせていただきます。
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