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第4話 必ず、の理由~ラシェルの一か月間~ 俯瞰視点(2)

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「ラシェルっ、喜べっ! クジにミスがあったらしく、リヴィアが生贄ではなくなったんだっ!!」
「ねえラシェルっ、わたし死ななくてもよくなったのよっ! 奇跡が起きたのよっ!」
「だからねっ、これからパーティーをするのっ。今日はおめでたい日だから、さあ貴女もこっちに来て頂戴っ!」
「私が外出している間に、そんなことが……!? は、はい。分かりました」

 お屋敷に戻ったラシェルを待っていたのは、上機嫌な3人。まるで別人のようにニコニコしている3人によってラシャルは食堂へと案内され、

「「「かんぱいっ!」」」
「か、かんぱい」

 戸惑いながらもグラスを合わせ、3人に促されて豪華な食事を摂り始めました。

「うふふふふっ、うふふふふふ! 今日は最高の日だわっ!」
「うむっ、まったくだ! 今日は最高の日だな!」
「ね、最高よねぇっ。努力が報われたわ!!」
((お姉様もお父様もお母様も、ずっと祈りを捧げていました。その願いが届いて、よかった――の、ですが……。複雑ですね……))

 これまでそう感じたことがなかったのは、きっと実感が湧かなかったから――。
 錯乱する3人を見たことで、ラシェルは『新たに選ばれた人は明日生贄になる』『お別れする時間もロクにない……』と心配をしていました。

((どなたが選ばれたのか、分かりませんが……。明日のお昼に生贄になれというのは……。地獄のよう、ですよね……))

 心の準備だって出来ていないし、やりたいこともやれていない。
 対して自分は心の準備はできているし、一つだけやり残したものの、大体のやりたいことはやった。
 だから。だから……。

((生贄の身代わりは、許されていませんが……。うまく変装すれば、可能かもしれません…………。………………このパーティーが終わったら、その方のもとを訪ねて――))「ぁ、れ……?」

 そう思っていると突然意識がぼやけ始め、必死に抵抗したものの無意味。両方の瞼が簡単に降りてしまい、ラシェルは突っ伏して眠ってしまったのでした。

「ふふふ。上手く引っかかってくれてありがとうね、ラシェル」

 このパーティーは自然な形で、ラシェルに睡眠薬を飲ませるためのもの。そうして作戦その1が成功となったため3人はラシェルを別室へと運び、血液によって描かれた魔法陣のある椅子に縛り付けます。
 そして、

『お父、さま……。お母、さま……。お姉、さま……。これは、い、ったい……』
『決まってるだろう、この子を守るためだ。……ラシェル、お前には犠牲になってもらうぞ』

 朦朧となっているラシェルを嗤い、嬉々として残る2つの工程を実行。詠唱を行い丸薬を呑み込ませ――

『質問だ。お前は誰だ?』
『………………お父様は、おかしな質問をするのね。わたしは、リヴィア・ターザッカルよ』

 ――双子の妹・ラシェルは双子の姉・リヴィアとなり、3人の操り人形が誕生したのでした。

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