5 / 29
第2話 失笑 マルグリット視点(1)
しおりを挟む
「…………ふふ、そういうことね。いきなり笑い出すからビックリしてしまったわ」
信じられない表情と言葉に驚いていたわたしは、短く息を吐いて小さく肩を竦めた。
この子が考えているもの。ソレがよ~く分かったわ。
「ティナ。貴方は、精一杯の反撃を試みているのよねぇ?」
わたし達によって、最悪の人生にされてしまった! このまま負けっぱなしは嫌! クロード様と共に去るまで一生懸命強がって戸惑わせる! そんな風に考えていて、この子はこうしているのよね。
「でも、残念でした。その考えはお見通し。わたしもお父様もお母様も、誰一人として戸惑っていないわ」
「うむ」「そうね」
「ぷぷっ、無駄な努力ご苦労様。ねえ、ねえねえ。決死の作戦をあっさり見破られた気分は? わたし達に教えて頂戴」
「…………おもわず失笑してしまう、そんな気分になっていますね。なぜならお姉様もお父様もお母様も、自分が正解をしていると思い込んでしまっているのですから」
お父様達と一緒にニヤニヤしていたら、黙っていたティナがプッと噴き出した。
「私が口にしたものは、すべて事実ですよ。私はクロード様を苦手だと感じたことは一度もなく、ずっとお慕いしておりました」
「ああそう、まだ続けるのね。じゃあお伺いするけど、どうしてずっとあんな風な反応をしていたのかしら?」
意見しすぎたせいで睨まれてしまうようになった――。いつも厳しく接されてしまう――。今一番苦手な人――。できれば顔を合わせたくない――。どうしよう――。などなど。わたし前で、頻繁に顔を曇らせていた。
そんな人なんて、慕えないと思うのだけれどねぇ。
「あれは、お姉様たちにそう思い込んでいただくためのお芝居ですよ。……実を言いますと私達は交際の約束をしておりまして、ですが正直にお伝えすると、当主の権限を使い阻止されてしまいます。ですので妨害をされずに交際、婚約、結婚をできるように、ずっと演じていたのですよ」
あれはわたし達に、嫌がらせによる政略結婚をさせるために作戦だったみたい。
この期に及んで、まだ嘘を貫き通そうとするだなんて。ティナってば、思っていた以上に負けず嫌いだったみたいね。憐れだわ――
「信じていただけないようですので、これからその証拠をお出ししますね。……実はこちらが、私達が相思相愛だったという証明になります」
心の中でも嗤っていたら、ティナはリングを取り出した。
? これが、証拠? それは前会長であるリリー様から、餞別の意味を込めて1年前くらいに贈られたもので――
「実を言いますとこちらはリリー様ではなく、リリー様のご友人であるクロード様にいただいたもの。ペアリングの片割れで、クロード様が対のリングをお持ちなのですよ」
贈られたもの、じゃない……!? これは、ペアリングだった!?
信じられない表情と言葉に驚いていたわたしは、短く息を吐いて小さく肩を竦めた。
この子が考えているもの。ソレがよ~く分かったわ。
「ティナ。貴方は、精一杯の反撃を試みているのよねぇ?」
わたし達によって、最悪の人生にされてしまった! このまま負けっぱなしは嫌! クロード様と共に去るまで一生懸命強がって戸惑わせる! そんな風に考えていて、この子はこうしているのよね。
「でも、残念でした。その考えはお見通し。わたしもお父様もお母様も、誰一人として戸惑っていないわ」
「うむ」「そうね」
「ぷぷっ、無駄な努力ご苦労様。ねえ、ねえねえ。決死の作戦をあっさり見破られた気分は? わたし達に教えて頂戴」
「…………おもわず失笑してしまう、そんな気分になっていますね。なぜならお姉様もお父様もお母様も、自分が正解をしていると思い込んでしまっているのですから」
お父様達と一緒にニヤニヤしていたら、黙っていたティナがプッと噴き出した。
「私が口にしたものは、すべて事実ですよ。私はクロード様を苦手だと感じたことは一度もなく、ずっとお慕いしておりました」
「ああそう、まだ続けるのね。じゃあお伺いするけど、どうしてずっとあんな風な反応をしていたのかしら?」
意見しすぎたせいで睨まれてしまうようになった――。いつも厳しく接されてしまう――。今一番苦手な人――。できれば顔を合わせたくない――。どうしよう――。などなど。わたし前で、頻繁に顔を曇らせていた。
そんな人なんて、慕えないと思うのだけれどねぇ。
「あれは、お姉様たちにそう思い込んでいただくためのお芝居ですよ。……実を言いますと私達は交際の約束をしておりまして、ですが正直にお伝えすると、当主の権限を使い阻止されてしまいます。ですので妨害をされずに交際、婚約、結婚をできるように、ずっと演じていたのですよ」
あれはわたし達に、嫌がらせによる政略結婚をさせるために作戦だったみたい。
この期に及んで、まだ嘘を貫き通そうとするだなんて。ティナってば、思っていた以上に負けず嫌いだったみたいね。憐れだわ――
「信じていただけないようですので、これからその証拠をお出ししますね。……実はこちらが、私達が相思相愛だったという証明になります」
心の中でも嗤っていたら、ティナはリングを取り出した。
? これが、証拠? それは前会長であるリリー様から、餞別の意味を込めて1年前くらいに贈られたもので――
「実を言いますとこちらはリリー様ではなく、リリー様のご友人であるクロード様にいただいたもの。ペアリングの片割れで、クロード様が対のリングをお持ちなのですよ」
贈られたもの、じゃない……!? これは、ペアリングだった!?
300
あなたにおすすめの小説
【完結】姉の婚約者を奪った私は悪女と呼ばれています
春野オカリナ
恋愛
エミリー・ブラウンは、姉の婚約者だった。アルフレッド・スタンレー伯爵子息と結婚した。
社交界では、彼女は「姉の婚約者を奪った悪女」と呼ばれていた。
完結 貴族生活を棄てたら王子が追って来てメンドクサイ。
音爽(ネソウ)
恋愛
王子の婚約者になってから様々な嫌がらせを受けるようになった侯爵令嬢。
王子は助けてくれないし、母親と妹まで嫉妬を向ける始末。
貴族社会が嫌になった彼女は家出を決行した。
だが、有能がゆえに王子妃に選ばれた彼女は追われることに……
王太子様には優秀な妹の方がお似合いですから、いつまでも私にこだわる必要なんてありませんよ?
木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるラルリアは、優秀な妹に比べて平凡な人間であった。
これといって秀でた点がない彼女は、いつも妹と比較されて、時には罵倒されていたのである。
しかしそんなラルリアはある時、王太子の婚約者に選ばれた。
それに誰よりも驚いたのは、彼女自身である。仮に公爵家と王家の婚約がなされるとしても、その対象となるのは妹だと思っていたからだ。
事実として、社交界ではその婚約は非難されていた。
妹の方を王家に嫁がせる方が有益であると、有力者達は考えていたのだ。
故にラルリアも、婚約者である王太子アドルヴに婚約を変更するように進言した。しかし彼は、頑なにラルリアとの婚約を望んでいた。どうやらこの婚約自体、彼が提案したものであるようなのだ。
【完結】悪女を押し付けられていた第一王女は、愛する公爵に処刑されて幸せを得る
甘海そら
恋愛
第一王女、メアリ・ブラントは悪女だった。
家族から、あらゆる悪事の責任を押し付けられればそうなった。
国王の政務の怠慢。
母と妹の浪費。
兄の女癖の悪さによる乱行。
王家の汚点の全てを押し付けられてきた。
そんな彼女はついに望むのだった。
「どうか死なせて」
応える者は確かにあった。
「メアリ・ブラント。貴様の罪、もはや死をもって以外あがなうことは出来んぞ」
幼年からの想い人であるキシオン・シュラネス。
公爵にして法務卿である彼に死を請われればメアリは笑みを浮かべる。
そして、3日後。
彼女は処刑された。
手放してみたら、けっこう平気でした。
朝山みどり
恋愛
エリザ・シスレーは伯爵家の後継として、勉強、父の手伝いと努力していた。父の親戚の婚約者との仲も良好で、結婚する日を楽しみしていた。
そんなある日、父が急死してしまう。エリザは学院をやめて、領主の仕事に専念した。
だが、領主として努力するエリザを家族は理解してくれない。彼女は家族のなかで孤立していく。
醜い私は妹の恋人に騙され恥をかかされたので、好きな人と旅立つことにしました
つばめ
恋愛
幼い頃に妹により火傷をおわされた私はとても醜い。だから両親は妹ばかりをかわいがってきた。伯爵家の長女だけれど、こんな私に婿は来てくれないと思い、領地運営を手伝っている。
けれど婚約者を見つけるデェビュタントに参加できるのは今年が最後。どうしようか迷っていると、公爵家の次男の男性と出会い、火傷痕なんて気にしないで参加しようと誘われる。思い切って参加すると、その男性はなんと妹をエスコートしてきて……どうやら妹の恋人だったらしく、周りからお前ごときが略奪できると思ったのかと責められる。
会場から逃げ出し失意のどん底の私は、当てもなく王都をさ迷った。ぼろぼろになり路地裏にうずくまっていると、小さい頃に虐げられていたのをかばってくれた、商家の男性が現れて……
魔女見習いの義妹が、私の婚約者に魅了の魔法をかけてしまいました。
星空 金平糖
恋愛
「……お姉様、ごめんなさい。間違えて……ジル様に魅了の魔法をかけてしまいました」
涙を流す魔女見習いの義妹─ミラ。
だけど私は知っている。ミラは私の婚約者のことが好きだから、わざと魅了の魔法をかけたのだと。
それからというものジルはミラに夢中になり、私には見向きもしない。
「愛しているよ、ミラ。君だけだ。君だけを永遠に愛すると誓うよ」
「ジル様、本当に?魅了の魔法を掛けられたからそんなことを言っているのではない?」
「違うよ、ミラ。例え魅了の魔法が解けたとしても君を愛することを誓うよ」
毎日、毎日飽きもせずに愛を囁き、むつみ合う2人。それでも私は耐えていた。魅了の魔法は2年すればいずれ解ける。その日まで、絶対に愛する人を諦めたくない。
必死に耐え続けて、2年。
魅了の魔法がついに解けた。やっと苦痛から解放される。そう安堵したのも束の間、涙を流すミラを抱きしめたジルに「すまない。本当にミラのことが好きになってしまったんだ」と告げられる。
「ごめんなさい、お姉様。本当にごめんなさい」
涙を流すミラ。しかしその瞳には隠しきれない愉悦が滲んでいた──……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる