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第6話 理由 マルグリット視点(3)
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「僕の最愛の人ティナはずっと馬車の中に居たのに、ティナの首筋にナイフを突きつけると言ったりティナを失血死させると言ったりしていた。だからさっき『おかしい』と言い、ああしておもわず噴き出していたのさ」
馬車から降りてきて、隣までやって来たティナ。クロードはそんなティナに微笑みを向けた後、今度はこちらに向けて大仰に肩を竦めてきた。
…………。………………。どう、なってるの? どうなってるの!?
「わ、我々は、屋敷でティナと再会し……。1時間以上も会話をし……。応接室で、拘束した……」
「確かに会って、話しをして、一緒に紅茶を飲んだわ! なのに……」
「目の前に、ティナがいる……。じゃっ、じゃあ!! ここにいるのはなんなの!?」
睡眠薬を飲んで眠っていて、わたしが首筋にナイフを当てているティナ!! さっきまでお屋敷で過ごしていたこの子はなんなの!?
「そこにいるのは、ウチの影。その中に変装が得意な人間がいてね、その者にティナのフリをしてもらっていたのさ」
「「「……………………」」」
「信じられないだろう? けれどそれは事実。君達がティナだと思っていたのは、精巧なマスクをつけた赤の他人なんだよ」
見た目も言動も何一つ不自然な点はなくて、どこからどう見てもティナ。わたしの妹だった。そうとしか思えなかった。
でも顔に触れてみると本当にマスクで、剥がしたら知らない顔が出てきたから……。わたし達はずっと、勘違いをさせられていた……。
「君達がティナをおびき寄せ、ティナを人質にしようとすると分かっていた。とはいえ企んでいるだけでは、罪には問えないからね。問えるようにするべく、代わりをしてもらっていたのさ」
「……ぐ……。はなから、見破られていたなんて……」
「こんなことができるだなんて……。やら、れた……。おわった、わ…………」
「………………お母様。終わり、じゃないわ」
今にも消えそうな声。まるで消える寸前のろうそくみたいな声に向けて、わたしはしっかりとした口調で否定を返した。
「マルグリット……」「マル、グリット……」
「お父様お母様、これは強がりなんじゃない。ショックでおかしくなってもいないわ。本当に、まだ終わりじゃないの」
だって――
馬車から降りてきて、隣までやって来たティナ。クロードはそんなティナに微笑みを向けた後、今度はこちらに向けて大仰に肩を竦めてきた。
…………。………………。どう、なってるの? どうなってるの!?
「わ、我々は、屋敷でティナと再会し……。1時間以上も会話をし……。応接室で、拘束した……」
「確かに会って、話しをして、一緒に紅茶を飲んだわ! なのに……」
「目の前に、ティナがいる……。じゃっ、じゃあ!! ここにいるのはなんなの!?」
睡眠薬を飲んで眠っていて、わたしが首筋にナイフを当てているティナ!! さっきまでお屋敷で過ごしていたこの子はなんなの!?
「そこにいるのは、ウチの影。その中に変装が得意な人間がいてね、その者にティナのフリをしてもらっていたのさ」
「「「……………………」」」
「信じられないだろう? けれどそれは事実。君達がティナだと思っていたのは、精巧なマスクをつけた赤の他人なんだよ」
見た目も言動も何一つ不自然な点はなくて、どこからどう見てもティナ。わたしの妹だった。そうとしか思えなかった。
でも顔に触れてみると本当にマスクで、剥がしたら知らない顔が出てきたから……。わたし達はずっと、勘違いをさせられていた……。
「君達がティナをおびき寄せ、ティナを人質にしようとすると分かっていた。とはいえ企んでいるだけでは、罪には問えないからね。問えるようにするべく、代わりをしてもらっていたのさ」
「……ぐ……。はなから、見破られていたなんて……」
「こんなことができるだなんて……。やら、れた……。おわった、わ…………」
「………………お母様。終わり、じゃないわ」
今にも消えそうな声。まるで消える寸前のろうそくみたいな声に向けて、わたしはしっかりとした口調で否定を返した。
「マルグリット……」「マル、グリット……」
「お父様お母様、これは強がりなんじゃない。ショックでおかしくなってもいないわ。本当に、まだ終わりじゃないの」
だって――
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