愛する妹が理不尽に婚約破棄をされたので、これからお礼をしてこようと思う

柚木ゆず

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第3話 同時刻~二つの笑顔と、一つの異変~ 俯瞰視点(2)

「い、今のは……。聞き間違い…………じゃない、よな……?」
「え、ええ。わたくしも、聞こえましたわ……っ。大きな音が……っ!」

 室内にあった賑々しい雰囲気を、一瞬にして消し去ってしまったもの。それは、爆発音。
 突如あり得ない――聞こえるはずのない大音が屋敷内に響いたため、2人は激しく動揺していたのです。

「な、なんなんだ……!? トラブルか!? オードブルの手配をしていたからっ! 厨房で何かがあったのか!?」
「わっ、分かりませんわっ! た、ただ……。あの音はっ、お屋敷の中から聞こえてこなかったような気がしますっ!」
「そ、そういえばそうだなっ! それにしては、遠かった気がするなっ!」

 2人はアルコールがたっぷりと入っていて、おまけに大声を出していました。そのため細かく把握はできず、彼らは更にソワソワし始めます。

「だが違うとなれば、なんなんだ……!? 厨房――調理以外で、そうなりそうことはないぞ……!?」
「そ、そう、ですわね……」
「……異常事態、だ……。ニックっ! ニック来いっ!!」

 まずはとにかく、守り。守りを固めて安全を確保しなければ! そう感じたロビンは鈴を派手に鳴らし、剣の心得がある従者を呼ぼうと――しますが、手に持った鈴を落としてしまい招集は叶いませんでした。
 彼がぽとりと、鈴を落としてしまった理由。それは、酔いではなく――

「まっ、まただ! また聞こえたぞ!?」

 ――再び、大きな爆発音が響いたからです。

「こっ、今度は分かりましたわっ! ロビン様っ! 発生源は外ですわ!!」
「ああっ。今のはっ、門の方から聞こえたっ! なっ、何が起きているんだ!?」

 門の傍には、爆発音がするものなんてないぞ!? どうなっているんだ!?
 震える手で、今度こそ鈴を激しく鳴らした後――従者に合図を送ったあと、ロビンとイリアはたまらず窓へと駆け寄ります。
 そうして爆発音がした方向を揃って眺め――

「「………………」」

 そんな2人は、仲良く言葉を失ってしまいます。
 ロビンとイリアが、間抜けにパクパクと口を開閉させている理由。それは、

「「もえて、いる……」」

 広い広い敷地への入り口にある、豪奢かつ堅牢な造りになっている門。『家』自慢の門が、真っ黒い煙を吐いていたからです。

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