お久しぶりですね、元婚約者様。わたしを捨てて幸せになれましたか?

柚木ゆず

文字の大きさ
11 / 24

第8話 2日後 レオナルド視点(1)

しおりを挟む
 ※この国の通貨ファーラルは、1ファーラル1円の価値を持つものとなります。




「……………………」
「……………………」
「……………………」

 あれから2日後。俺達は、屋敷内食堂で頭を抱えていた。

『そうだ! 金を借りよう! 知人からかき集めたらある程度の額になるぞ!』

 そんな父上の提案で、俺らはそれぞれ知り合いを当たった。
 だが……。

『申し訳ない。君に貸すお金はないよ』
『卿、貴方は我々が縋った時に鼻で笑ったではありませんか。そんな方にお貸しするはずがありませんよ』
『わたくしも、貴女様には協力できませんわ。いつも内心見下していたこと、よ~く存じ上げておりますから』

 俺も、父上も、母上も、駄目。
 どいつもこいつも、商会の景気が良かった時はペコペコしていたくせに……! こちらの勢いがなくなるや、態度をガラッと変えやがった……!!

「確かに我々は嘲っていたが、それでもパーティーに招待してご馳走を振る舞ってやったことだってあるのに……! 恩知らずどもが……!」
「地獄に落ちなさい……! 落ちろ……!! 今すぐに……!!」
「くそっ! くそがっ! どうすればいいんだ……!!」

 今の『ラインメーズ家』とハピンズ商会は、ロクな融資を受けられない……。大した額じゃないから経営に回せず、利息の発生によって損をするだけだ……。

「ロヴィック家の土地と製造所を使えたら上手くいったが、あれは使えない……。アイツらはもう、いない……」
「地獄に落ちなさい……! 落ちろ……!! 今すぐに……!!」
「くそっ! くそがっ! どうすればいいんだ……!!」
「この際、家宝を貴族御用達の質屋店主イヴァンに預けたら…………駄目だ……。それでも、勝負するだけの額は得られない」

 家宝は手放せなくて、半年後に借りた額に1割を上乗せして返済をする契約を選ばないといけない。その契約の場合、借りられるのは預けた物の10分の1の価値にあたる金額――1000万となる。
 今の俺達にとっては大金だが、商会をどうこうできる額ではない。

「地獄に落ちなさい……! 落ちろ……!! 今すぐに……!!」
「くそっ! くそがっ! どうすればいいんだ……!!」
「このままだと、ミントとフィルベールに一泡吹かせられない……! そんなこと認められない……!! 考えろ……!! 諦めるな……! 考えろ、俺……!」

 今の父上と母上は、絶望と怒りに塗(まみ)れて使い物にならなくなっている。
 屋敷内にいる他の連中も、まるで頼りにならなかった。
 だから、頼れるのは自分自身の頭脳しかない。

「必ず……どこかに、手はあるはずだ……。レオナルド、お前は有能な会頭様だろ……! 小さな光りを掴み取るんだ……!!」

 己を鼓舞して、思考を巡らせる。

 考えて。考えて。考えて。考えて。

 かつてないほどに、頭部から煙が出そうなほどに脳味噌を働かせて――


「……あった。みつけたぞ……!」


 ――およそ、6時間が過ぎた頃だった。
 不意に俺の中に、起死回生の名案が降り立ったのだった。

しおりを挟む
感想 39

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

王妃ですが都からの追放を言い渡されたので、田舎暮らしを楽しみます!

藤野ひま
ファンタジー
 わたくし王妃の身でありながら、夫から婚姻破棄と王都から出て行く事を言い渡されました。  初めての田舎暮らしは……楽しいのですが?!  夫や、かの女性は王城でお元気かしら?   わたくしは元気にしておりますので、ご心配御無用です!  〔『仮面の王と風吹く国の姫君』の続編となります。できるだけこちらだけでわかるようにしています。が、気になったら前作にも立ち寄っていただけると嬉しいです〕〔ただ、ネタバレ的要素がありますのでご了承ください〕

「最高の縁談なのでしょう?なら、かわってあげたら喜んでくれますよね!」

みっちぇる。
恋愛
侯爵令嬢のリコリスは20歳。立派な嫁きおくれである。 というのも、義母がなかなかデビューさせてくれないのだ。 なにか意図を感じつつも、周りは義母の味方ばかり。 そん中、急にデビュタントの許可と婚約を告げられる。 何か裏がある―― 相手の家がどういうものかを知り、何とかしようとするリコリス。 でも、非力なリコリスには何も手段がない。 しかし、そんな彼女にも救いの手が……?

地味で無才な私を捨てたことを、どうぞ一生後悔してください。

有賀冬馬
恋愛
「お前のような雑用女、誰にでも代わりはいる」 そう言って私を捨てたディーン様。でも、彼は気づいていなかったのです。公爵家の繁栄を支えていたのは、私の事務作業と薬草の知識だったということに。 追放された辺境の地で、私はようやく自分らしく生きる道を見つけました。無口な辺境伯様に「君がいなければダメだ」と熱烈に求められ、凍っていた心が溶けていく。 やがて王都で居場所をなくし、惨めな姿で私を追いかけてきた元婚約者。 「もう、私の帰る場所はここしかありませんから」 絶望する彼を背に、私は最愛の人と共に歩み出します。

義母と義妹に虐げられていましたが、陰からじっくり復讐させていただきます〜おしとやか令嬢の裏の顔〜

有賀冬馬
ファンタジー
貴族の令嬢リディアは、父の再婚によりやってきた継母と義妹から、日々いじめと侮蔑を受けていた。 「あら、またそのみすぼらしいドレス? まるで使用人ね」 本当の母は早くに亡くなり、父も病死。残されたのは、冷たい屋敷と陰湿な支配。 けれど、リディアは泣き寝入りする女じゃなかった――。 おしとやかで無力な令嬢を演じながら、彼女はじわじわと仕返しを始める。 貴族社会の裏の裏。人の噂。人間関係。 「ふふ、気づいた時には遅いのよ」 優しげな仮面の下に、冷たい微笑みを宿すリディアの復讐劇が今、始まる。 ざまぁ×恋愛×ファンタジーの三拍子で贈る、スカッと復讐劇! 勧善懲悪が好きな方、読後感すっきりしたい方にオススメです!

【完結】私から全てを奪った妹は、地獄を見るようです。

凛 伊緒
恋愛
「サリーエ。すまないが、君との婚約を破棄させてもらう!」 リデイトリア公爵家が開催した、パーティー。 その最中、私の婚約者ガイディアス・リデイトリア様が他の貴族の方々の前でそう宣言した。 当然、注目は私達に向く。 ガイディアス様の隣には、私の実の妹がいた── 「私はシファナと共にありたい。」 「分かりました……どうぞお幸せに。私は先に帰らせていただきますわ。…失礼致します。」 (私からどれだけ奪えば、気が済むのだろう……。) 妹に宝石類を、服を、婚約者を……全てを奪われたサリーエ。 しかし彼女は、妹を最後まで責めなかった。 そんな地獄のような日々を送ってきたサリーエは、とある人との出会いにより、運命が大きく変わっていく。 それとは逆に、妹は── ※全11話構成です。 ※作者がシステムに不慣れな時に書いたものなので、ネタバレの嫌な方はコメント欄を見ないようにしていただければと思います……。

ありふれた聖女のざまぁ

雨野千潤
ファンタジー
突然勇者パーティを追い出された聖女アイリス。 異世界から送られた特別な愛し子聖女の方がふさわしいとのことですが… 「…あの、もう魔王は討伐し終わったんですが」 「何を言う。王都に帰還して陛下に報告するまでが魔王討伐だ」 ※設定はゆるめです。細かいことは気にしないでください。

お姉様は嘘つきです! ~信じてくれない毒親に期待するのをやめて、私は新しい場所で生きていく! と思ったら、黒の王太子様がお呼びです?

朱音ゆうひ@『桜の嫁入り』発売中です
恋愛
男爵家の令嬢アリシアは、姉ルーミアに「悪魔憑き」のレッテルをはられて家を追い出されようとしていた。 何を言っても信じてくれない毒親には、もう期待しない。私は家族のいない新しい場所で生きていく!   と思ったら、黒の王太子様からの招待状が届いたのだけど? 別サイトにも投稿してます(https://ncode.syosetu.com/n0606ip/)

処理中です...