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第8話 2日後 レオナルド視点(1)
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※この国の通貨ファーラルは、1ファーラル1円の価値を持つものとなります。
「……………………」
「……………………」
「……………………」
あれから2日後。俺達は、屋敷内で頭を抱えていた。
『そうだ! 金を借りよう! 知人からかき集めたらある程度の額になるぞ!』
そんな父上の提案で、俺らはそれぞれ知り合いを当たった。
だが……。
『申し訳ない。君に貸すお金はないよ』
『卿、貴方は我々が縋った時に鼻で笑ったではありませんか。そんな方にお貸しするはずがありませんよ』
『わたくしも、貴女様には協力できませんわ。いつも内心見下していたこと、よ~く存じ上げておりますから』
俺も、父上も、母上も、駄目。
どいつもこいつも、商会の景気が良かった時はペコペコしていたくせに……! こちらの勢いがなくなるや、態度をガラッと変えやがった……!!
「確かに我々は嘲っていたが、それでもパーティーに招待してご馳走を振る舞ってやったことだってあるのに……! 恩知らずどもが……!」
「地獄に落ちなさい……! 落ちろ……!! 今すぐに……!!」
「くそっ! くそがっ! どうすればいいんだ……!!」
今の『ラインメーズ家』とハピンズ商会は、ロクな融資を受けられない……。大した額じゃないから経営に回せず、利息の発生によって損をするだけだ……。
「ロヴィック家の土地と製造所を使えたら上手くいったが、あれは使えない……。アイツらはもう、いない……」
「地獄に落ちなさい……! 落ちろ……!! 今すぐに……!!」
「くそっ! くそがっ! どうすればいいんだ……!!」
「この際、家宝を貴族御用達の質屋店主に預けたら…………駄目だ……。それでも、勝負するだけの額は得られない」
家宝は手放せなくて、半年後に借りた額に1割を上乗せして返済をする契約を選ばないといけない。その契約の場合、借りられるのは預けた物の10分の1の価値にあたる金額――1000万となる。
今の俺達にとっては大金だが、商会をどうこうできる額ではない。
「地獄に落ちなさい……! 落ちろ……!! 今すぐに……!!」
「くそっ! くそがっ! どうすればいいんだ……!!」
「このままだと、ミントとフィルベールに一泡吹かせられない……! そんなこと認められない……!! 考えろ……!! 諦めるな……! 考えろ、俺……!」
今の父上と母上は、絶望と怒りに塗(まみ)れて使い物にならなくなっている。
屋敷内にいる他の連中も、まるで頼りにならなかった。
だから、頼れるのは自分自身の頭脳しかない。
「必ず……どこかに、手はあるはずだ……。レオナルド、お前は有能な会頭様だろ……! 小さな光りを掴み取るんだ……!!」
己を鼓舞して、思考を巡らせる。
考えて。考えて。考えて。考えて。
かつてないほどに、頭部から煙が出そうなほどに脳味噌を働かせて――
「……あった。みつけたぞ……!」
――およそ、6時間が過ぎた頃だった。
不意に俺の中に、起死回生の名案が降り立ったのだった。
「……………………」
「……………………」
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あれから2日後。俺達は、屋敷内で頭を抱えていた。
『そうだ! 金を借りよう! 知人からかき集めたらある程度の額になるぞ!』
そんな父上の提案で、俺らはそれぞれ知り合いを当たった。
だが……。
『申し訳ない。君に貸すお金はないよ』
『卿、貴方は我々が縋った時に鼻で笑ったではありませんか。そんな方にお貸しするはずがありませんよ』
『わたくしも、貴女様には協力できませんわ。いつも内心見下していたこと、よ~く存じ上げておりますから』
俺も、父上も、母上も、駄目。
どいつもこいつも、商会の景気が良かった時はペコペコしていたくせに……! こちらの勢いがなくなるや、態度をガラッと変えやがった……!!
「確かに我々は嘲っていたが、それでもパーティーに招待してご馳走を振る舞ってやったことだってあるのに……! 恩知らずどもが……!」
「地獄に落ちなさい……! 落ちろ……!! 今すぐに……!!」
「くそっ! くそがっ! どうすればいいんだ……!!」
今の『ラインメーズ家』とハピンズ商会は、ロクな融資を受けられない……。大した額じゃないから経営に回せず、利息の発生によって損をするだけだ……。
「ロヴィック家の土地と製造所を使えたら上手くいったが、あれは使えない……。アイツらはもう、いない……」
「地獄に落ちなさい……! 落ちろ……!! 今すぐに……!!」
「くそっ! くそがっ! どうすればいいんだ……!!」
「この際、家宝を貴族御用達の質屋店主に預けたら…………駄目だ……。それでも、勝負するだけの額は得られない」
家宝は手放せなくて、半年後に借りた額に1割を上乗せして返済をする契約を選ばないといけない。その契約の場合、借りられるのは預けた物の10分の1の価値にあたる金額――1000万となる。
今の俺達にとっては大金だが、商会をどうこうできる額ではない。
「地獄に落ちなさい……! 落ちろ……!! 今すぐに……!!」
「くそっ! くそがっ! どうすればいいんだ……!!」
「このままだと、ミントとフィルベールに一泡吹かせられない……! そんなこと認められない……!! 考えろ……!! 諦めるな……! 考えろ、俺……!」
今の父上と母上は、絶望と怒りに塗(まみ)れて使い物にならなくなっている。
屋敷内にいる他の連中も、まるで頼りにならなかった。
だから、頼れるのは自分自身の頭脳しかない。
「必ず……どこかに、手はあるはずだ……。レオナルド、お前は有能な会頭様だろ……! 小さな光りを掴み取るんだ……!!」
己を鼓舞して、思考を巡らせる。
考えて。考えて。考えて。考えて。
かつてないほどに、頭部から煙が出そうなほどに脳味噌を働かせて――
「……あった。みつけたぞ……!」
――およそ、6時間が過ぎた頃だった。
不意に俺の中に、起死回生の名案が降り立ったのだった。
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