上 下
19 / 24

第10話 カジノ レオナルド視点(4)

しおりを挟む
「ぐあっ!? なっ、なにをする!?」

 後ろから声がした。そう思った瞬間床に組み伏せられ、屈強な大男によって後ろ手に拘束されてしまった!

「当カジノへのいわれなき暴言、台の破壊およびディーラーへの暴力は、強く禁止されている行為となっております。したがってハウスルールに則り、お客様の身を一時的に拘束させていただきました」

 ハウスルールっ、思い出した! そういえばココに入る時そんなことを言っていた!

「お客様にはルールに従い、罪(ざい)に問うことはありませんが――先の行動に対する請求を行わせていただきます。まずは治安機関に通報後改めて拘束していただき、所在地に送還させていただいたあと、その場で全額をお支払い――そちらが不可能となった場合は、その金額の『物』をいただくこととなります」
「ふっ、ふざけるな! 俺があんなことをしたのはお前らがイカサマをしたからだ! 治安機関を呼びたければ呼ぶがいい! イカサマをバラされてもいいならな!!」
「ええ、呼ばせていただきます。わたくしどもに、後ろめたいものはなにもございませんゆえ」

 ……え?
 なんだって……?

「当カジノは、王家の承認を受けたクリーンなものとなっております。王家の名を使用させていただくからには、常にクリーンでなければなりません。当カジノの恥は、王家の――国の恥となってしまいますゆえ」
「……………………」
「したがってディーラーを含めたカジノ全体が、常時第三者によって監視されております。それ故に仮に不正を行う意思があったとしても、行うことなどできないのでございます。絶対に」

 そ、そんな……。
 じゃあ……。

「じゃあ、俺が負け続けたのは……。運が、なかった、から……?」
「さようでございます。そちらが真実となります」

 …………。
 なら、俺は……。俺がやったことは、正当化されない……。

「すっ、すまない! 反省している! 悪かった! 許してくれ!! せっ、請求だけはやめてくれ! ただでさえ大変で――そうだ! 大変なんだ!! ああああああああああああああああああああああああああああああ!! 1000万がぁあああ! 1000万がぁあああああああああああああ――」
「どのような事情も弁明も、考慮は出来かねます。お諦めくださいませ」

 今はそれどころじゃないのに……。
 俺は、駆け付けた治安局員に取り押さえられ……。
 手錠をはめられた状態で馬車に乗せられ、やがて自国への強制送還が始まって――

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

王女殿下に婚約破棄された、捨てられ悪役令息を拾ったら溺愛されまして。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:27,180pt お気に入り:7,099

私の初恋の人に屈辱と絶望を与えたのは、大好きなお姉様でした

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:4,511pt お気に入り:98

悪女と言ったのは貴方です

恋愛 / 完結 24h.ポイント:191pt お気に入り:1,189

契約結婚しましょうか!~元婚約者を見返すための幸せ同盟~

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:40,393pt お気に入り:1,199

皇妃になりたくてなったわけじゃないんですが

恋愛 / 完結 24h.ポイント:511pt お気に入り:5,293

私が王女です

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:18,133pt お気に入り:174

契約妃は隠れた魔法使い

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:839pt お気に入り:90

悪徳令嬢はヤンデレ騎士と復讐する

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:1,405pt お気に入り:259

初恋の王女殿下が帰って来たからと、離婚を告げられました。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:57,488pt お気に入り:6,936

処理中です...