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第13話 連続する予想外 セルジュ視点
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「……………………」
「……………………」
口づけを交わし、大きな拍手に包まれていた僕達。照れながら破顔をしていた僕達は、言葉を失い固まっていた。
なぜなら……。
『セルジュ、おめでとう。よかったな。……かねてから愛していた人と、恋人になることができて』
レティシア……。オディロン……。リステルズ家当主夫妻……。父上母上……。会場にいるはずのない人間がいて……。
父上が青筋を立てて、満面の笑みを浮かべたのだから……。
「ど、どうしてここに……!? かねて、から……!? なにをして……っ!? なにを仰られているのですか……!?」
「…………この期に及んでしらを切るか。いいだろう。ならばしっかりと、教えてやろうじゃないか」
まさか、全てバレている……!?
いっ、いいやそれはあり得ない! だって深夜に移動し夜明け前に帰っていていたっ! いつも! おまけに毎日会いたいのを我慢して定期的にしていたんだ! クロエ様の全面的なバックアップを受けているんだ! バレるはずがな――
「貴様は何かしらの理由で、レティシア嬢ではなくエレーヌ・ロレアル嬢を愛するようになった。だが交際も婚約もお前からのもので、正直に話すとノーダメージでは済まない。そこで記憶喪失のフリをし、自然な形で再スタートを切れるようにしていたのだよ」
――…………。バレて、いる……!?
な、なぜ……。こんなことに……!? 窓からの出入りは気付かれていないんだ!! クロエ様の手の者が上手く動いてくれてるんだぞっ! あり得ないことがどうして起きてしまっているんだ――おっ、落ち着けっ! 落ち着くんだセルジュ・ガ―レンド!
((取り乱してしまえば、あの日の二の舞だ))
レティ―――。うっかりそう言ってしまった直後のように、状況を酷く悪化させてしまう羽目になる。
それでいいのか? 駄目だろう! だったら冷静に振る舞いこの場を乗り切ってみせろっ!
「…………父上。それは事実無根でございます。僕の記憶は確かに失っていますし、レティシア様との解消は回復はないと痛感したからのこと。どこかで妙なものを吹き込まれたようですが――。すべて的外れですよ」
「…………そうか。ならば手を取り合っている彼女とは、今夜初めて出会ったのだな?」
「ええ、そうでございます。……記憶を失う前に、一度か二度、どこかでお見掛けしたことはあるのかもしれません。ですが失ってからは、ありません」
パーティーなどで同席とならないよう、スケジュールを調整してきた。だから一切証拠はなく、完璧に反論でき――
「そうなのか。では昨夜、『ライネルス』という宿で会っていたのはどう説明するのだ?」
な……!?
なぜそれを……。知っている……!?
「……………………」
口づけを交わし、大きな拍手に包まれていた僕達。照れながら破顔をしていた僕達は、言葉を失い固まっていた。
なぜなら……。
『セルジュ、おめでとう。よかったな。……かねてから愛していた人と、恋人になることができて』
レティシア……。オディロン……。リステルズ家当主夫妻……。父上母上……。会場にいるはずのない人間がいて……。
父上が青筋を立てて、満面の笑みを浮かべたのだから……。
「ど、どうしてここに……!? かねて、から……!? なにをして……っ!? なにを仰られているのですか……!?」
「…………この期に及んでしらを切るか。いいだろう。ならばしっかりと、教えてやろうじゃないか」
まさか、全てバレている……!?
いっ、いいやそれはあり得ない! だって深夜に移動し夜明け前に帰っていていたっ! いつも! おまけに毎日会いたいのを我慢して定期的にしていたんだ! クロエ様の全面的なバックアップを受けているんだ! バレるはずがな――
「貴様は何かしらの理由で、レティシア嬢ではなくエレーヌ・ロレアル嬢を愛するようになった。だが交際も婚約もお前からのもので、正直に話すとノーダメージでは済まない。そこで記憶喪失のフリをし、自然な形で再スタートを切れるようにしていたのだよ」
――…………。バレて、いる……!?
な、なぜ……。こんなことに……!? 窓からの出入りは気付かれていないんだ!! クロエ様の手の者が上手く動いてくれてるんだぞっ! あり得ないことがどうして起きてしまっているんだ――おっ、落ち着けっ! 落ち着くんだセルジュ・ガ―レンド!
((取り乱してしまえば、あの日の二の舞だ))
レティ―――。うっかりそう言ってしまった直後のように、状況を酷く悪化させてしまう羽目になる。
それでいいのか? 駄目だろう! だったら冷静に振る舞いこの場を乗り切ってみせろっ!
「…………父上。それは事実無根でございます。僕の記憶は確かに失っていますし、レティシア様との解消は回復はないと痛感したからのこと。どこかで妙なものを吹き込まれたようですが――。すべて的外れですよ」
「…………そうか。ならば手を取り合っている彼女とは、今夜初めて出会ったのだな?」
「ええ、そうでございます。……記憶を失う前に、一度か二度、どこかでお見掛けしたことはあるのかもしれません。ですが失ってからは、ありません」
パーティーなどで同席とならないよう、スケジュールを調整してきた。だから一切証拠はなく、完璧に反論でき――
「そうなのか。では昨夜、『ライネルス』という宿で会っていたのはどう説明するのだ?」
な……!?
なぜそれを……。知っている……!?
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