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第10話 それは不意に アリア視点(2)
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「……………………レイオン、さま……?」
銀色の髪を肩にかかる程度に伸ばした、落ち着きと優しさを纏った男性。外にいるはずのない方が、敷地内を歩いていたのです。
「レイオン様? アリア、なにを言っているんだ……?」
「…………い、いらっしゃるんです……。レイオン様が……。あそこに……。あそこを歩いているんです……」
何度目を擦ってみても、そのお姿は消えません。
幻覚ではありません。
見間違いではありません。
レイオン様が、歩いているんです……!
「なんだって……!? レイオン様が……!? そんなことがあるはずが――…………」
目を丸くしながらわたしの視線を追いかけたお父様が、固まりました。
そう、なんです。
そこに、レイオン様がいらっしゃるんです……。
「バカな……! どうなっているのだ……!? レイオン様は眠っていらっしゃる――お祈りが届いて目を覚まされた!? し、しかし、だとしたら……」
すぐに、連絡が入るはずです。バーダ様やルーナ様――おふたりが動けない場合は、リベイル家の方がウチにいらっしゃるはずです。
実際、そういうお約束になっていました。
「で、では……。あれは、レイオン様、ではない……? そっくりな……親族にあたる方、なのか……?」
「……それはあり得ません。レイオン様にそっくりな方は、いらっしゃらないそうですから……」
滞在中ゲインさん達から色々なお話を伺い、その中でそんなお話は出ませんでした。
それに――わたしはずっとあの方を見てきた、想ってきましたので、分かります。あちらにいらっしゃるのは、本物のレイオン様です。
「だとしたら……。なんなのだ……?」
「げ、ゲインさんっ、お教えください。どうなっているのですか……!?」
「…………………………」
「ゲインさんっ。お教えください!」
「…………………………アリア様には、御恩がある……。ならば……」
「ゲインさん? お願いしますっ。お教えください!」
「実は――っ、話している時間はないかもしれない。アリア様っ、とにかくお入りください! そして坊ちゃまにお声をおかけください!! そうすればうまくいくかもしれませんっっ!!」
「え――しょっ、承知いたしました!! 失礼致します!!」
焦っている理由や言葉の意味は分かりませんが、急がなければならない状況であることは分かりました。ですのでわたしのみ急いで門を潜り、
「レイオン様っ! レイオン様!!」
大切な、愛する方のお名前を繰り返しながら、走り寄りました。
すると、レイオン様は――
「……失礼。どちら様でしょうか……?」
――おかしなことを、仰られたのでした。
銀色の髪を肩にかかる程度に伸ばした、落ち着きと優しさを纏った男性。外にいるはずのない方が、敷地内を歩いていたのです。
「レイオン様? アリア、なにを言っているんだ……?」
「…………い、いらっしゃるんです……。レイオン様が……。あそこに……。あそこを歩いているんです……」
何度目を擦ってみても、そのお姿は消えません。
幻覚ではありません。
見間違いではありません。
レイオン様が、歩いているんです……!
「なんだって……!? レイオン様が……!? そんなことがあるはずが――…………」
目を丸くしながらわたしの視線を追いかけたお父様が、固まりました。
そう、なんです。
そこに、レイオン様がいらっしゃるんです……。
「バカな……! どうなっているのだ……!? レイオン様は眠っていらっしゃる――お祈りが届いて目を覚まされた!? し、しかし、だとしたら……」
すぐに、連絡が入るはずです。バーダ様やルーナ様――おふたりが動けない場合は、リベイル家の方がウチにいらっしゃるはずです。
実際、そういうお約束になっていました。
「で、では……。あれは、レイオン様、ではない……? そっくりな……親族にあたる方、なのか……?」
「……それはあり得ません。レイオン様にそっくりな方は、いらっしゃらないそうですから……」
滞在中ゲインさん達から色々なお話を伺い、その中でそんなお話は出ませんでした。
それに――わたしはずっとあの方を見てきた、想ってきましたので、分かります。あちらにいらっしゃるのは、本物のレイオン様です。
「だとしたら……。なんなのだ……?」
「げ、ゲインさんっ、お教えください。どうなっているのですか……!?」
「…………………………」
「ゲインさんっ。お教えください!」
「…………………………アリア様には、御恩がある……。ならば……」
「ゲインさん? お願いしますっ。お教えください!」
「実は――っ、話している時間はないかもしれない。アリア様っ、とにかくお入りください! そして坊ちゃまにお声をおかけください!! そうすればうまくいくかもしれませんっっ!!」
「え――しょっ、承知いたしました!! 失礼致します!!」
焦っている理由や言葉の意味は分かりませんが、急がなければならない状況であることは分かりました。ですのでわたしのみ急いで門を潜り、
「レイオン様っ! レイオン様!!」
大切な、愛する方のお名前を繰り返しながら、走り寄りました。
すると、レイオン様は――
「……失礼。どちら様でしょうか……?」
――おかしなことを、仰られたのでした。
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