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5 予想外のイタズラ(3)

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「こんなことはしたくなかったけど……しょうがないわね。ダーリンを洗脳するわ」

 ため息をついて、急に怖い顔になったダリア。
 ダリアは牢屋の中にいるヒロに、肉球型の杖を向けました。

「せんのう……? せんのうって、なに……?」
「頭の中を操って、アタシの言うことをなんでも聞いてくれるようにすることよ。ダーリンにはちゃんとアタシを好きになって欲しかったけど、言うことを聞いてくれないんだもん。アタシの言うことを聞きたくて仕方がないようにしちゃうのよ」
「いっ、嫌だっ! そんなのボクじゃなくなっちゃうよ! やっ、やめろ! その杖を向けるなあああああ!!」

 ヒロは首を左右に大きく振りながら、足元にあった石をダリアへ蹴った。
 でも――

「無駄よダーリン。普段は目に見えないようにしてるだけで、アタシはどんな時でも体の周りに魔法のバリアーを張ってるの。どんな攻撃も効かないわ」

 ――その石はダリアを覆う半透明の球体に弾かれて、ぽとりと地面に落ちてしまいました。

「ほらね、何をやっても無駄なのよ。――。――――。――――――」
「なっ、なに!? なに言ってるの!?」
「ダーリンを洗脳する魔法をかけたのよ。よかったわねダーリン。5分後に魔法が効いて、ダーリンはアタシの言うことを聞きたくなるダーリンになっちゃうのよっ!」
「そ、そんな……。いやだよ! やめてぇぇぇぇ!!」
「い・や。あのね、ダーリン。あっちの世界に一緒に行くには、ダーリンが『行く』って言ってくれないといけないのっ。魔法がかかったらすぐ行きましょうねっ!」
「…………クイーン、困ったことになりましたね」

 2匹の話しを聞いていたレオンさんが、眉を寄せながら牢屋とダリアのバリアーを順番に見ました。
 5分たったら別の世界に行っちゃうけど、あたし達には別の世界に行く方法がありません。
 だからそれまでにバリアーと牢屋を壊してヒロを助けたいんだけど、どっちも壊せそうにない。

「イタズラをしたあやかし殿が用意しているであろう、『このトラブルを乗り越える助け』も起きる気配はありませんし……。それを利用できないとなると、こちらの部分の修正は時間がかかりそうですね」
「いえ、大丈夫ですよレオンさん。この部分は、実はすぐ解決できちゃうんです」

 わたしなら――ううん。『猫の大冒険』の大ファンの人だったら、すごく簡単に解決できちゃうんです。
 どうしてかと言うと――

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