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第8話 その結果 俯瞰視点(1)
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「フロリアン。貴男との婚約は、今日を以て解消しますわ」
快復計画の現状や年齢など、計8項目を熟考した結果――。エリア―ヌはフロリアンとジェロームを応接室に呼び出し、婚約解消を宣告しました。
「「かいしょう⁉ ど、どうしてっ!? なぜですか!?」」
「コブに関する問題は、まるで好転する気配がない。コブだらけな貴男に価値はない。このタイミングで『損切』しておかないと、わたくしの人生が取り返しのつかないものになってしまう。以上が理由ですわ」
揃って悲鳴をあげた二人に淡々と説明し、「お父様が公務から戻り次第、書類にサインしてもらいますわ」と続けます。そして更に口を開こうとしていると、それよりも早く二人の口が同時に大きく開きました。
「そんな!? どうかお考え直しを」「なっ、なにとぞお考え直しを!!」
エリア―ヌに関係を絶たれてしまうと有力侯爵家に婿入りができなくなる上に、その様子なら解消後は快復計画もストップしてしまいます。何もかもが、『最悪』へと転がってしまいます。
ですのでフロリアンとジェロームは言下、たまらずソファーから立ち上がりました。
「きっ、きっと! そこにあるこのコブはっ、もうまもなく好転すると思うのです!! そっ、そんな気配を感じております!!」
「俺にとってエリア―ヌ様は、世界で一番の女性なんです!! 俺に希望を与えてくださる、唯一無二の存在なんです!! どうかっ、どうかっ! お考え直しを!!」
「わたしはっ、間違いなくコブ消失の気配を感じております!! きっともうすぐっ、息子の顔は元に戻ると思うのです!! も、もう少しお時間をっ!! くださいっ!!」
「1年経っても、その顔はこれっぽっちも変わらないんですもの。そんな気配があるはずないでしょう」
「えっ、エリア―ヌ様!! 俺はっ、わたくしはっ、貴方様を誰よりも幸せにできる男と自負しております!!」
「むっ、息子はとても優秀な男でございます!! 体現できる実力を持つ男でございますっっ!! 故にどうかっ! どうかお考え直しをっ!!」
「……貴男に、そんな実力はありませんわ。フロリアン・フィアファークの長所は、容姿だけ。唯一の長所がない貴男なんて、脂身だけのステーキなんですのよ」
だから、考え直しはしない――。しつこく食い下がるのなら、侯爵家の力で潰す――。エリア―ヌはそう紡いで二人を黙らせ、優雅に紅茶を飲んで父の帰りを待って――いると、ちょうど良いタイミングで応接室の扉が開きました。
「お父様、お帰りなさい。今、彼らにこんやくの――」
「家令から聞いたぞ!! 婚約を解消しようとしているそうだなっ!? その件は白紙だ!!」
そのため詳説を始めようとしていたエリア―ヌでしたが、父モリスからは、予想外の言葉が返って来たのでした。
娘の幸せを最優先とする、重度の親バカ。そんな彼が即座に却下をした理由、それは――
快復計画の現状や年齢など、計8項目を熟考した結果――。エリア―ヌはフロリアンとジェロームを応接室に呼び出し、婚約解消を宣告しました。
「「かいしょう⁉ ど、どうしてっ!? なぜですか!?」」
「コブに関する問題は、まるで好転する気配がない。コブだらけな貴男に価値はない。このタイミングで『損切』しておかないと、わたくしの人生が取り返しのつかないものになってしまう。以上が理由ですわ」
揃って悲鳴をあげた二人に淡々と説明し、「お父様が公務から戻り次第、書類にサインしてもらいますわ」と続けます。そして更に口を開こうとしていると、それよりも早く二人の口が同時に大きく開きました。
「そんな!? どうかお考え直しを」「なっ、なにとぞお考え直しを!!」
エリア―ヌに関係を絶たれてしまうと有力侯爵家に婿入りができなくなる上に、その様子なら解消後は快復計画もストップしてしまいます。何もかもが、『最悪』へと転がってしまいます。
ですのでフロリアンとジェロームは言下、たまらずソファーから立ち上がりました。
「きっ、きっと! そこにあるこのコブはっ、もうまもなく好転すると思うのです!! そっ、そんな気配を感じております!!」
「俺にとってエリア―ヌ様は、世界で一番の女性なんです!! 俺に希望を与えてくださる、唯一無二の存在なんです!! どうかっ、どうかっ! お考え直しを!!」
「わたしはっ、間違いなくコブ消失の気配を感じております!! きっともうすぐっ、息子の顔は元に戻ると思うのです!! も、もう少しお時間をっ!! くださいっ!!」
「1年経っても、その顔はこれっぽっちも変わらないんですもの。そんな気配があるはずないでしょう」
「えっ、エリア―ヌ様!! 俺はっ、わたくしはっ、貴方様を誰よりも幸せにできる男と自負しております!!」
「むっ、息子はとても優秀な男でございます!! 体現できる実力を持つ男でございますっっ!! 故にどうかっ! どうかお考え直しをっ!!」
「……貴男に、そんな実力はありませんわ。フロリアン・フィアファークの長所は、容姿だけ。唯一の長所がない貴男なんて、脂身だけのステーキなんですのよ」
だから、考え直しはしない――。しつこく食い下がるのなら、侯爵家の力で潰す――。エリア―ヌはそう紡いで二人を黙らせ、優雅に紅茶を飲んで父の帰りを待って――いると、ちょうど良いタイミングで応接室の扉が開きました。
「お父様、お帰りなさい。今、彼らにこんやくの――」
「家令から聞いたぞ!! 婚約を解消しようとしているそうだなっ!? その件は白紙だ!!」
そのため詳説を始めようとしていたエリア―ヌでしたが、父モリスからは、予想外の言葉が返って来たのでした。
娘の幸せを最優先とする、重度の親バカ。そんな彼が即座に却下をした理由、それは――
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