わたしを追い出した人達が、今更何の御用ですか?

柚木ゆず

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エピローグ マリオン、ローク、リリアン編~2つ目の因果応報~ 俯瞰視点(1)

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「わ、わんわんっ。わんわんわんっ」
「わ、わんっ。わぉーんっ」
「わんっ。わんっ。わんっ」

 とある場所にある、大きなお屋敷。その中にある豪奢な空間――食堂では、3つの声が響いていました。

「く、くぅ~ん。わんっ。わんわんっ。わんっ」
「わんっ。わぉーんっ。わんっ」
「わんっ。わんわんっ。わんっ」

 少し幼めの声で鳴く、アン。少しばかり高い声で鳴く、ドゥ。低めの声で鳴くトロワ。
 そんな3つの声が空間内に響いており、ですが――この声を発しているのは、犬ではありません。
 このように鳴いているのは、人。かつては『マリオン』『リリアン』『ローク』と呼ばれていた元貴族の親子が、四つん這いになりながら出している声のだったのです。

『これからお前らを、とある場所に連れて行く。そこは俺達にとっては天国となる場所だが、お前らにとっては真逆。屈辱と絶望溢れる地獄なんだよなぁ』

 1週間前に、かつて自分達が陥れ嗤った相手――マイクとロビンによって馬車に放り込まれた3人は、その後このお屋敷に運ばれました。

『『『こ、ここは……?』』』
『ここはオレ、人生の勝ち組様の『城』だ。……マイク、ロビン。コレが、以前言っていたアレか?』
『はっ。お気に召されましたでしょうか?』
『……子爵家の当主、当主夫人、次女だった人間だったな? ああ、悪くない。むしろ、この上ないものだ』
『では』
『こんなヤツらは滅多にお目にかかれない。いいだろう、言い値で買い取ってやる』

 満足げにうなづく、この屋敷の持ち主リューカ。
 彼は所謂『成金』であり、かつ、非常に悪趣味な性質を持つ男。

 ――かつて高い地位を持っていた者が落ちぶれた姿を見ることが好き――。
 ――落ちぶれた者が生きるために必死になり、プライドを捨てて縋る姿を見るのが好き――。
 ――かつて高い地位を持っていたものを服従させることが好き――。

 このようなことに、愉悦を覚える人間でした。

『成金共にしっぽ振って、金を恵んでもらったこともあったよなぁ。生きるためとはいえ情けなくて情けなくて、揃って悔し涙を流したもんだが――ははっ。何がどこで役立つか分からないもんだな』。
 かつてマイク達は偶然リューカに声をかけられ、靴の裏を舐めるなどする代わりにお金をもらっていました。
 その関係で復讐者達は3人を捕えたらリューカのもとに連れて行き、自分達はマリオン達を売って大金をもらい、マリオン達にはリューカのもとで屈辱的な毎日を過ごさせようとしていたのです。






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