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第2話 事件翌日の出来事~知らせ~ ジェラール視点(2)
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「ひ、平手打ち……!? マリエットが暴力を振るったというのか……!?」
「ああ、そうなのだよ。……その件はすでに国中に広がっていて、大騒ぎになっているのだよ……」
幸い傷は残らないものの、理不尽な理由で激昂して顔を傷付けてしまったこと。相手の厚意によって示談という形で片が付いたものの、悪評は止まらなくなっていること。評判が急落してしまったこと。
それらを聞かされて……。その影響で彼女の到着が遅れているのだと、知った……。
「今は認めているものの、発生直後は『悪口を言われた』と言い訳を繰り返したらしくてな……。加害者が被害者面をした、そういった部分も不評の原因となっているそうだ……」
「…………いや、違うっ。それらは事実だ! きっとマリエットは実際に被害者なんだ!! 信用されないから仕方なく認めただけなんだ!!」
マリエットがライバル視していた、その噂は耳にしているっ。だが本人は否定していたしっ、なによりっ、彼女は常識をしっかりと持ち合わせている人! 手を出せばどうなるかは、当然熟知している!
にもかかわらず行ったということは、それらは事実だということ。そういうものが飛んできてつい、たまらず、手を上げてしてしまっただけだ!
「……残念だがジェラール、それこそが間違いだ……。目撃者の証言により、エルミーヌ・リーフェアに非は一切ないと証明されているのだよ」
「な……っ。…………いいやっ、目撃者が嘘を吐いている可能性だってある! 示談で片がついたとされているがっ、終わりじゃない!! マリエットは冤罪だと証明するべく、ウチが独自に調査を行って――」
「エルミーヌ・リーファは婚約によって、ハネットス侯爵家の庇護を受けているそうだ。……『一度だけやり直すチャンスを』というエルミーヌの善意によって、腰を下ろしたままだそうだが……。そんなことをしてしまうと、今度こそ動き出してしまう。本来は無関係な我々が、あのハネットス家に目をつけられてしまうのだよ……」
ハネットス侯爵家は、侯爵家の中でも上位の存在。『双璧』と称される侯爵家の一つで、明らかに格上の存在。こんな家の反感を買えば、大変な目に遭いかねない……。
「繰り返すぞ、ジェラール。第三者の判断によって罪は確定しており、その出来事は周知の事実となっている。したがって――このまま関係を持ち続けてしまったら、我々まで大きなダメージを受けてしまう。……この意味が、分かるな?」
「ああ、分かっているさ」
その問いかけに、即座に頷く。そして手に持っていた、小さな箱を――指輪が入ったプレゼントを従者に投げ渡し、今一度父上に頷きを返したのだった。
「今のマリエットは、危険な爆弾。そんな女との婚約は破棄し、アイツとの縁をしっかりと断つ」
「ああ、そうなのだよ。……その件はすでに国中に広がっていて、大騒ぎになっているのだよ……」
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「今は認めているものの、発生直後は『悪口を言われた』と言い訳を繰り返したらしくてな……。加害者が被害者面をした、そういった部分も不評の原因となっているそうだ……」
「…………いや、違うっ。それらは事実だ! きっとマリエットは実際に被害者なんだ!! 信用されないから仕方なく認めただけなんだ!!」
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にもかかわらず行ったということは、それらは事実だということ。そういうものが飛んできてつい、たまらず、手を上げてしてしまっただけだ!
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「な……っ。…………いいやっ、目撃者が嘘を吐いている可能性だってある! 示談で片がついたとされているがっ、終わりじゃない!! マリエットは冤罪だと証明するべく、ウチが独自に調査を行って――」
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「ああ、分かっているさ」
その問いかけに、即座に頷く。そして手に持っていた、小さな箱を――指輪が入ったプレゼントを従者に投げ渡し、今一度父上に頷きを返したのだった。
「今のマリエットは、危険な爆弾。そんな女との婚約は破棄し、アイツとの縁をしっかりと断つ」
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