俺はお前ではなく、彼女を一生涯愛し護り続けると決めたんだ! そう仰られた元婚約者様へ。貴方が愛する人が、夜会で大問題を起こしたようですよ?

柚木ゆず

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番外編 親子のその後~息子ジェラールside~ 俯瞰視点(5)

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「ジェラール様、今日もとっても幸せでしたわっ。おやすみなさいませっ!」
「ああ、俺もとても幸せだったよ。こんな気持ちにしてくれてありがとう。おやすみ、また明日ね」

 あの日から、一週間後。ジェラールとマリエットは、彼女曰く『2人の愛の聖域』で――夫婦の寝室内にあるダブルベッドで口づけを交わし、マリエットは幸せそうに眠りにつきました。
 そんな彼女の隣にいるジェラールもまた幸せそうに眠りにつき、

((うぁぁぁぁ……。こんなことに、なってしまうなんて……。あんなことを、しなければよかった……))

 心の中では頭を抱え、呻いていました。

((あの日、クラリスとの婚約を解消しなければ……。あのまま、アイツと夫婦になればよかった……))

 そうしておけば、こうなってはいなかったのに――。
 返済で慌てふためくことも。貴族籍を捨てることも。隣国に移住することもなかったのに――。
 あの広い屋敷で伯爵として、何不自由なく優雅に生きられていたのに――。
 もう極僅かの失敗も許されず、起きている時は常に全神経を使う……。前よりもひどい、生き地獄が続くこともなかったのに――。

 ジェラールは過去の出来事を何度も何度も思い出し、何度も何度も激しく後悔をします。
 ですが――。時間の流れは、常に一方通行。どんなに悔やんでも、後ろへは進んでくれません。

((ぁぁ、ぁぁ……。最悪な選択を、してしまった……。ぁぁぁぁぁぁぁ……!!))

 ですので今日も嘆き疲れて眠りの世界に落ち、翌朝起床。日中はマリエットのためにお金を稼ぎ、夜はマリエットが喜ぶことを懸命に考え、最優先で実行して、その後絶望する。
 こんな生活が繰り返され、

((嫌だ……。もう嫌だぁぁ……。頼む……。お願いです……! この女を目の前から消してくださぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ……!!))

 毎日このように願いますが、こちらも叶うはずがありません。


『俺はお前ではなく、彼女を一生愛し護り続けると決めたんだ!』


 かつて自身が、胸を張って宣言したこと。彼はそれを生涯、守り続けることとなったのでした――。








 ※ご報告になります。
 明日より最後の番外編として、マリエット親子のその後(ざまぁに関するお話)を投稿させていただきます。
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