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第8話 大変なことになったみたいです マドゥレーヌ視点(1)
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「…………………………」
「…………………………」
わたくしはモアメッドくんと共に、呆然と顔を見合わせていました。
まさか……。まさか、あの時のあの言葉がこんなことになっていただなんて。
「マドゥレーヌ、どうか我々にかけた呪いを解いてください!」
「呪いによって熱が出て……! わたくし達、死ぬ寸前なの……!」
「お姉様! ごめんなさい!! 呪いを解いてください!!」
「お願いします、マドゥレーヌ! 俺達を、呪いから解放してください!!」
アルザルトルズラクス!! アルザルトルズラクス!! アルザルトルズラクス!! アルザルトルズラクス!!
あの時は四人全員が信じていなかったし、わたくし自身も信じられるとは思っていなかったあの呪文。
わたくしが追い出されたあと次々と不幸に襲われ、お父様達は『マドゥレーヌの呪いのせいだ』と思うようになっていました。
(…………ね、ねえ、モアメッドくん)
元家族だった人達の訴えを聞いたわたくしは、あの言葉の考案者の左耳に口を近づけました。
(は、はい。なんでしょう?)
(あの言葉に、誰かを呪う力って……)
(ありませんよっ。あるはずがありませんっ)
です、よね。
モアメッドくんは今まで何度も口にしたことがあると言っていて、その時は何も起きていません。そんな力は、ないですよね。
(なら……。どうしてあんなことが起きて、こんな状態になっているんでしょうね……?)
(う~ん……。…………………………思い込み、かもしれませんね)
(思い込み?)
(偶然不吉な出来事が発生して、それらを呪いと結び付けたのではないでしょうか? 思い込みの力って、想像以上にすごいんですよ)
モアメッドくんは護衛のイロハを学ぶべく有名な方に弟子入りをしていて、その際に習得した奥義が『思い込み』を利用したものだそう。
――自分は強いんだ――。
――自分はもっと速く動けるし、もっと強い力がある――。
そう自身に強く言い聞かせることで、身体能力を一時的に上げられるみたいなのです。
(高熱が出るタイミング的にも、的を射ていると思いますよ。自分で自分を苦しめているだけです)
(……なるほど。そういうことだったのですね――)
「もちろんっ、ただお願いするだけではありません!! 我々はマドゥレーヌが納得する条件を用意しております!」
モアメッドくんに頷いていたら、お父様が――他の三人も、わたくしの前で両膝をつきました。
納得する条件? なんなのでしょう……?
「我々は全員貴族籍を返上しっ、平民としてひっそりと暮らしてゆきます!! そして当主の座を、マドゥレーヌにお渡しいたします!! ですのでどうかっ! どうかっっ!! 呪いを解いてください!!」
「「「お願いします!!」」」
「…………………………」
わたくしはモアメッドくんと共に、呆然と顔を見合わせていました。
まさか……。まさか、あの時のあの言葉がこんなことになっていただなんて。
「マドゥレーヌ、どうか我々にかけた呪いを解いてください!」
「呪いによって熱が出て……! わたくし達、死ぬ寸前なの……!」
「お姉様! ごめんなさい!! 呪いを解いてください!!」
「お願いします、マドゥレーヌ! 俺達を、呪いから解放してください!!」
アルザルトルズラクス!! アルザルトルズラクス!! アルザルトルズラクス!! アルザルトルズラクス!!
あの時は四人全員が信じていなかったし、わたくし自身も信じられるとは思っていなかったあの呪文。
わたくしが追い出されたあと次々と不幸に襲われ、お父様達は『マドゥレーヌの呪いのせいだ』と思うようになっていました。
(…………ね、ねえ、モアメッドくん)
元家族だった人達の訴えを聞いたわたくしは、あの言葉の考案者の左耳に口を近づけました。
(は、はい。なんでしょう?)
(あの言葉に、誰かを呪う力って……)
(ありませんよっ。あるはずがありませんっ)
です、よね。
モアメッドくんは今まで何度も口にしたことがあると言っていて、その時は何も起きていません。そんな力は、ないですよね。
(なら……。どうしてあんなことが起きて、こんな状態になっているんでしょうね……?)
(う~ん……。…………………………思い込み、かもしれませんね)
(思い込み?)
(偶然不吉な出来事が発生して、それらを呪いと結び付けたのではないでしょうか? 思い込みの力って、想像以上にすごいんですよ)
モアメッドくんは護衛のイロハを学ぶべく有名な方に弟子入りをしていて、その際に習得した奥義が『思い込み』を利用したものだそう。
――自分は強いんだ――。
――自分はもっと速く動けるし、もっと強い力がある――。
そう自身に強く言い聞かせることで、身体能力を一時的に上げられるみたいなのです。
(高熱が出るタイミング的にも、的を射ていると思いますよ。自分で自分を苦しめているだけです)
(……なるほど。そういうことだったのですね――)
「もちろんっ、ただお願いするだけではありません!! 我々はマドゥレーヌが納得する条件を用意しております!」
モアメッドくんに頷いていたら、お父様が――他の三人も、わたくしの前で両膝をつきました。
納得する条件? なんなのでしょう……?
「我々は全員貴族籍を返上しっ、平民としてひっそりと暮らしてゆきます!! そして当主の座を、マドゥレーヌにお渡しいたします!! ですのでどうかっ! どうかっっ!! 呪いを解いてください!!」
「「「お願いします!!」」」
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