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7話(4)
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「狩人のヤツは、気配に集中しろ。どんな些細な異変も逃すじゃねーぞっ」
「……お前、なに偉そうに言ってんだよ。それが人にものを頼む態度か?」
「ぁぁ? なに睨んでんだよ。何か文句あんのか――」
「コ・ラ。け・ん・か・は・し・な・い・で・ね?」
「――失礼いたしました。姉御すんません」
血の気が多いユージを大人しくさせ、スタスタ、トコトコ。2人いる狩人には主に死角になりそうな角度を警戒してもらって、私達は360度全ての方向を目視しながら草の上を進んでゆく。
「…………こちらは、現在異常なし。他はどうなっている?」
「あたしが見てる範囲にも、なにもないわね。狩人コンビはどう?」
「怪しい、或いは不自然な気配はなし。この辺りに潜んでいるヤツはいないと思うわ」
「そか。つーことは、何かあるのは先か……?」
他のメンバーが――『戦士』の男性(短髪の青年)と『格闘家(かくとうか)』の女性(ティルを誘惑したあの人)と『狩人』(小柄な女性)と『プリースト』(やせ気味の男性)が言葉を交わし、更に進んでゆく。
「んーむ……。ここら辺にも、何もなさそうだな」
「かれこれ三十分近く歩いたのに、手掛かり一つない。異変が起きてるのなら、そろそろ何かあってもいいはずなんだがなぁ……?」
「こりゃもしかして、単に魔物が仲間割れしただけなんじゃないか? なんかの拍子に争いが起きて、その結果全員滅んだんじゃないのか?」
「それは、有り得ないわ。これまで、魔物同士の殺し合いが起きたという記録はない。それにもしもそうなっているのなら、大量の魔石が転がってるはずだからね」
確かに、そう。どこにも魔石は落ちていないから、その推理はハズレよね。
「まあ答えは、歩いてりゃ嫌でも知る事になるだろうぜ。あれこれ考えててもしゃーねー。思案にエネルギーを回すのは止めとこうや」
「考えるだけ無駄、だもんな。俺も賛成だ」
私達は陣形を維持したまま時計回りに歩を進め、更に30分が経過。だいたい半分の範囲を調べて、しかしながら新たな発見はない。
「となると、今度こそこの先に何かあるようね。一層気を引き締めましょ」
「そうね、格闘家さん。私たち狩人も、もっともっと集中するわ」
全員が集中力を高め、用心に用心を重ねて前に進む。
ここからは、会話はなし。誰もが視覚や聴覚を研ぎ澄ませて探索を行い、やがて――
「お、おい。出発地点に戻ってきちまったぞ……!?」
――やがて私達は、何の発見もしないまま元の場所に戻ってきてしまったのだった。
「……お前、なに偉そうに言ってんだよ。それが人にものを頼む態度か?」
「ぁぁ? なに睨んでんだよ。何か文句あんのか――」
「コ・ラ。け・ん・か・は・し・な・い・で・ね?」
「――失礼いたしました。姉御すんません」
血の気が多いユージを大人しくさせ、スタスタ、トコトコ。2人いる狩人には主に死角になりそうな角度を警戒してもらって、私達は360度全ての方向を目視しながら草の上を進んでゆく。
「…………こちらは、現在異常なし。他はどうなっている?」
「あたしが見てる範囲にも、なにもないわね。狩人コンビはどう?」
「怪しい、或いは不自然な気配はなし。この辺りに潜んでいるヤツはいないと思うわ」
「そか。つーことは、何かあるのは先か……?」
他のメンバーが――『戦士』の男性(短髪の青年)と『格闘家(かくとうか)』の女性(ティルを誘惑したあの人)と『狩人』(小柄な女性)と『プリースト』(やせ気味の男性)が言葉を交わし、更に進んでゆく。
「んーむ……。ここら辺にも、何もなさそうだな」
「かれこれ三十分近く歩いたのに、手掛かり一つない。異変が起きてるのなら、そろそろ何かあってもいいはずなんだがなぁ……?」
「こりゃもしかして、単に魔物が仲間割れしただけなんじゃないか? なんかの拍子に争いが起きて、その結果全員滅んだんじゃないのか?」
「それは、有り得ないわ。これまで、魔物同士の殺し合いが起きたという記録はない。それにもしもそうなっているのなら、大量の魔石が転がってるはずだからね」
確かに、そう。どこにも魔石は落ちていないから、その推理はハズレよね。
「まあ答えは、歩いてりゃ嫌でも知る事になるだろうぜ。あれこれ考えててもしゃーねー。思案にエネルギーを回すのは止めとこうや」
「考えるだけ無駄、だもんな。俺も賛成だ」
私達は陣形を維持したまま時計回りに歩を進め、更に30分が経過。だいたい半分の範囲を調べて、しかしながら新たな発見はない。
「となると、今度こそこの先に何かあるようね。一層気を引き締めましょ」
「そうね、格闘家さん。私たち狩人も、もっともっと集中するわ」
全員が集中力を高め、用心に用心を重ねて前に進む。
ここからは、会話はなし。誰もが視覚や聴覚を研ぎ澄ませて探索を行い、やがて――
「お、おい。出発地点に戻ってきちまったぞ……!?」
――やがて私達は、何の発見もしないまま元の場所に戻ってきてしまったのだった。
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