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7話(3)

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「マジだ……。どこにも魔物がいねぇぞ……」
「信じられないわね。夢を見ているみたいだわ……」
「俺らも何十回と足を運んでるが、こんなのは初めてだ。おかしすぎる……」

 森に入ると、私達以外のメンバーに動揺が表れる。
 私が読んだ本では、この森は『大小の魔物が闊歩していて危険』とあった。なのに今はシーンとしていて、本での知識しかない私達でもさえも戸惑ってしまう。

「こりゃあ、絶対に何かある。パーティーごとに分かれて調査するつもりだったが、まとまって動いた方がいいかもな」
「オレも賛成だ。姉御と旦那も、よろしいっスかね?」
「うん。それでいいわ」

 この森の広さはそこそこで、固まって動いても2~2・5時間くらいで回れる。謎の正体が全然わからないから、念のため用心しておくべきよね。

(ミファ。ちょっといいか?)

 そんなことを考えていたら、耳元で囁きがあった。
 ??? どうしたんだろ?

(いいわよ。なに?)
(ここに来てから――……。いや、待てよ……)
(? ティル?)
(……その様子だと、なし、か……。だとするとこの問いかけは、先入観を植え付けてしまうか……)

 ティルは私の左耳から口を遠ざけ、一人でボソボソ言っている。しかもそのボソボソはその後二十秒近くも続いて、ようやく囁きが再開した。

(すまない、なんでもない。とにかく警戒して、少しでも違和感があったら伝えてくれ)
(う、うん、わかったわ。ティルも警戒をお願いね)

 私は首を傾げながら顎を引いて、他のメンバーとの会話に戻る。そうして渦のように時計回りで森を巡ると決まり、私達は固まって歩き始めたのでした。
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