勇者になった幼馴染に婚約破棄された上に追放されたので、英雄になってざまぁしようと思います

柚木ゆず

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第2章

6話(11)

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「この魔術は魔物にのみ、絶大な威力を発揮するからな。人型魔物でさえ耐えられなかったものを凌げる道理はなく、この通りゲーランの企みは失敗に終わった」

 クロウ様とイノル様、それに遠くで暴れ回っていた人達も、糸が切れた操り人形のように倒れ込んでしまった。
 作った本人が、魔物が死んだら無効になる、と教えてくれたもんね。みんな無事解放されて、その反動で意識を失ったみたい。

「レルマ殿とテオ殿のおかげで、発動させる事ができた。お二人にはあとで、お礼を言わないといけないな」
「レルマさん達がいなくなってたのは、これの準備をしてくれてたのねっ。ようやく理解できたわ――って、ティルっ!?」

 クールに微笑んでいた彼は崩れ落ちるように膝をつき、そのままうつ伏せに倒れ込んでしまった。
 これは……。もしか、しなくても……。

「血の減少と、広範囲に魔術を使った、せい、だ。『祝福』が跳ね上げていても体内の魔力は空、血液不足で、暫くは動けそうにない」
「……ティルがこんな風になる、それが『死活問題』だったのね……。気付かずにお願いしてて、ごめんなさい……。無茶をしてくれて、ありがとう……っ」
「いや、謝罪も感謝も不要だ。ミファに奴の相手を、任せてしまうのだからな」

 奴――魔王ゲーランは相当苛立った様子で後方を親指でさし、そちらに飛んで行った。『こっちへ来い。相手をしてやるよ』、ってワケね。

「アイツは間違いなく、これまでで最も強い敵だ。……身勝手な事を言うが……」

 ろくに動けないはずなのに私の方に顔を動かし、左の手で私の手を握った。

「それでもどうにか、アレに勝ってくれ。ミファの力で、ねじ伏せてくれ。この戦いから必ず生きて帰ってきて、その顔をもう一度俺に見せてくれ」
「…………当たり前でしょ。『通過点』ごときに負けはしないわよ」

 それに。
 それにっ。

「大事な人がここまで頑張ってくれて、こんなにも心配と応援をしてくれてるんだもの。必ず戻ってくるわ」

 私はティルの手を握り返し、それから静かに歩き出す。
 バトンはしっかり、受け取った。これからこのバトンで、

 アイツをぶん殴ってくるわ。
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