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6話(2)
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「??? モリワール、様?」
「たっ、大変だよシャルロッテ様っ! ノルベルト会長は、ありもしない罪を背負おうとしてるっ!!」
少しの間呟いていたモリワール様は、振り返ると顔面が蒼白になっていました。
……先程まではずっと、口を噤んでいたのに……。どうして……?
あまりに予想外で私も戸惑い、若干声を震わせつつ瞳を見つめます。
「知っていることを、お教えください。一昨日と昨日の夜、何があったのですか?」
「一昨日は夜中に突然やってきて、『ごめん。僕のせいで、君を酷い目に遭わせてしまった』って何度も何度も頭を下げてきたんだよ。それであたしはなぜか『会長になら、何をされても構いませんよ。許します』って微笑んでいて、そうしたら会長は『やはり、駄目か……。また明日、同じ時間に来させてもらうよ』と難しい顔をして帰っていったの」
婚約破棄をしたその日に謝罪をしに行って、モリワール様の反応を見たら辛そうな様子でお城に戻った……。モリワール様の反応も含め、理解に苦しむ行動ですね。
「次の日は、『昨夜弟に見つかってしまった可能性が高く、どうしても言い訳を考えないといけなくなってしまった』。『その言い訳に真実味を持たせる材料が他にはなく、君と浮気をしていることにさせてもらう』『原因は露見によるものだけれど、おかげでより大きな償いができるようになった。なにを聞かれても話を合わせておいてください』。そうお願いしてきて、あたしはまた『いいですよ』って迷わず答えてた」
「……やっぱり……。浮気は、殿下の捏造だったのですね」
昨夜のお話は、全部ウソ。あの場に来ることは想定内で、全ては私達に間違いないと認識させるための法螺でした。
「会長が言ってたコトもあたしが言ってたコトも、訳が分からない。自分が自分じゃないみたいだよ」
「………………」
「ノルベルト会長は尊敬してるし信頼もしてるけど、あの時のあたしは何が何でも会長のサポートをしようとしちゃってた。シャルロッテ様は、何か知ってるの?」
「いえ、私も情報は何一つ持っていません。ですがモリワール様が教えてくださったおかげで、情報が得られるようになりました」
接触したご本人から、口裏合わせの証言が得られました。これを使えば、殿下も観念して教えてくださいます。
「モリワール様、ありがとうございます。私はこれから殿下に会い、真実を尋ねてみます」
「会長はお城で謹慎中だから、あとはシャルロッテ様に任せるよ。必ず何もかも聞き出して、会長を助けてあげてね」
「はいっ。行ってまいります」
私はすぐさま職員室に走って早退を申請し、馬車に乗って『ヤトラル城』を目指しました。
ノルベルト様、待っていてください。ここからは、私も一緒です。
一人ではなく二人で、殿下を苦しめる問題と戦いましょうっ。
「たっ、大変だよシャルロッテ様っ! ノルベルト会長は、ありもしない罪を背負おうとしてるっ!!」
少しの間呟いていたモリワール様は、振り返ると顔面が蒼白になっていました。
……先程まではずっと、口を噤んでいたのに……。どうして……?
あまりに予想外で私も戸惑い、若干声を震わせつつ瞳を見つめます。
「知っていることを、お教えください。一昨日と昨日の夜、何があったのですか?」
「一昨日は夜中に突然やってきて、『ごめん。僕のせいで、君を酷い目に遭わせてしまった』って何度も何度も頭を下げてきたんだよ。それであたしはなぜか『会長になら、何をされても構いませんよ。許します』って微笑んでいて、そうしたら会長は『やはり、駄目か……。また明日、同じ時間に来させてもらうよ』と難しい顔をして帰っていったの」
婚約破棄をしたその日に謝罪をしに行って、モリワール様の反応を見たら辛そうな様子でお城に戻った……。モリワール様の反応も含め、理解に苦しむ行動ですね。
「次の日は、『昨夜弟に見つかってしまった可能性が高く、どうしても言い訳を考えないといけなくなってしまった』。『その言い訳に真実味を持たせる材料が他にはなく、君と浮気をしていることにさせてもらう』『原因は露見によるものだけれど、おかげでより大きな償いができるようになった。なにを聞かれても話を合わせておいてください』。そうお願いしてきて、あたしはまた『いいですよ』って迷わず答えてた」
「……やっぱり……。浮気は、殿下の捏造だったのですね」
昨夜のお話は、全部ウソ。あの場に来ることは想定内で、全ては私達に間違いないと認識させるための法螺でした。
「会長が言ってたコトもあたしが言ってたコトも、訳が分からない。自分が自分じゃないみたいだよ」
「………………」
「ノルベルト会長は尊敬してるし信頼もしてるけど、あの時のあたしは何が何でも会長のサポートをしようとしちゃってた。シャルロッテ様は、何か知ってるの?」
「いえ、私も情報は何一つ持っていません。ですがモリワール様が教えてくださったおかげで、情報が得られるようになりました」
接触したご本人から、口裏合わせの証言が得られました。これを使えば、殿下も観念して教えてくださいます。
「モリワール様、ありがとうございます。私はこれから殿下に会い、真実を尋ねてみます」
「会長はお城で謹慎中だから、あとはシャルロッテ様に任せるよ。必ず何もかも聞き出して、会長を助けてあげてね」
「はいっ。行ってまいります」
私はすぐさま職員室に走って早退を申請し、馬車に乗って『ヤトラル城』を目指しました。
ノルベルト様、待っていてください。ここからは、私も一緒です。
一人ではなく二人で、殿下を苦しめる問題と戦いましょうっ。
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