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7話(1)
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「っ。……どうしてシャ――君が、僕の部屋に来ているんだ? 君との関係は解消したはずだぞ?」
国王様に頼んで会いに行くと、殿下は一瞬驚いたあと冷たい目を作りました。
故意に邪険にして追い返そうとしているようですが、そうはいきません。今回は、教えていただくまでは退きませんよ。
「ノルベルト様。モリワール様のおかげで、私は全て把握しているんです。もう、辛いお芝居はおやめください」
「……僕は芝居なんてしていないが、副会長のおかげ、という点は気になるな。一体彼女から何を聞いたんだ?」
「昨夜、一昨日の出来事全てです。貴方が彼女にお話しした内容すべてを、教えていただきました」
謝罪したこと。浮気の捏造をしたこと。そして、モリワール様の病欠を知らなかったこと。
殿下の発言と矛盾している真実を、しっかりとお伝えしました。
「私だけではなく、モリワール様も心配されています。私達のために、正直に打ち明けてくださいませんか?」
「…………………っっ。そうか……。そっちに、働いてしまったのか……」
私の話を聞いたノルベルト様は顔を歪め、そのあと――。崩れ落ちるようにして、座り込んでしまいました。
「の、ノルベルト様……? ノルベルトさま……っ?」
「どうりで、何を言っても君が来るわけだ……っ。僕がどう動こうが、意味はなかったんだな……っっ」
肩を震わせ、乾いた笑いが浮かびます。
どう動こうが、意味がない? そっちに、働いてしまった?
「違う……。違うんだ……っ。彼女は、心配をしているんじゃない……。心配をする、をさせられているだけなんだ……っ」
「させられて、いる? いいえ、そうではありませんっ。モリワール様は――」
「彼女に何が起きているかは、僕が一番知っている! そう、なんだよ……。そうなんだよ……っ」
殿下は絨毯に両方の拳を叩きつけ、その手を忌々しげに睨みつけます。
「彼女は偽りの本能に従い、動いてしまっているだけ……。今の彼女に、自分の意思なんてないんだ……」
「そ、そんなことはありませんよっ。だって――」
「恐らく君が最初に問い詰めた時、彼女は否定をしただろう? 僕の言い分が真実だ、と即答しただろう?」
私の言葉は、力ない声に遮られました。
「そのあとは『無実の罪を背負う羽目になる』など、君が説得しようとしただろう? そうして彼女はようやく、昨夜と一昨日の話をしたんだろう?」
「は、はい。その通り、です」
「ね? 僕は、分かってるんだよ。その際に彼女が、僕のために必死になって打ち明けてくれた事もね」
ノルベルト様は力なく告げ、「他にもね」と続けた――ところで、今度は私が言葉を遮ります。
どうしても、言わないといけないことがあるので。しゃがみ込んで、顔を近づけました。
国王様に頼んで会いに行くと、殿下は一瞬驚いたあと冷たい目を作りました。
故意に邪険にして追い返そうとしているようですが、そうはいきません。今回は、教えていただくまでは退きませんよ。
「ノルベルト様。モリワール様のおかげで、私は全て把握しているんです。もう、辛いお芝居はおやめください」
「……僕は芝居なんてしていないが、副会長のおかげ、という点は気になるな。一体彼女から何を聞いたんだ?」
「昨夜、一昨日の出来事全てです。貴方が彼女にお話しした内容すべてを、教えていただきました」
謝罪したこと。浮気の捏造をしたこと。そして、モリワール様の病欠を知らなかったこと。
殿下の発言と矛盾している真実を、しっかりとお伝えしました。
「私だけではなく、モリワール様も心配されています。私達のために、正直に打ち明けてくださいませんか?」
「…………………っっ。そうか……。そっちに、働いてしまったのか……」
私の話を聞いたノルベルト様は顔を歪め、そのあと――。崩れ落ちるようにして、座り込んでしまいました。
「の、ノルベルト様……? ノルベルトさま……っ?」
「どうりで、何を言っても君が来るわけだ……っ。僕がどう動こうが、意味はなかったんだな……っっ」
肩を震わせ、乾いた笑いが浮かびます。
どう動こうが、意味がない? そっちに、働いてしまった?
「違う……。違うんだ……っ。彼女は、心配をしているんじゃない……。心配をする、をさせられているだけなんだ……っ」
「させられて、いる? いいえ、そうではありませんっ。モリワール様は――」
「彼女に何が起きているかは、僕が一番知っている! そう、なんだよ……。そうなんだよ……っ」
殿下は絨毯に両方の拳を叩きつけ、その手を忌々しげに睨みつけます。
「彼女は偽りの本能に従い、動いてしまっているだけ……。今の彼女に、自分の意思なんてないんだ……」
「そ、そんなことはありませんよっ。だって――」
「恐らく君が最初に問い詰めた時、彼女は否定をしただろう? 僕の言い分が真実だ、と即答しただろう?」
私の言葉は、力ない声に遮られました。
「そのあとは『無実の罪を背負う羽目になる』など、君が説得しようとしただろう? そうして彼女はようやく、昨夜と一昨日の話をしたんだろう?」
「は、はい。その通り、です」
「ね? 僕は、分かってるんだよ。その際に彼女が、僕のために必死になって打ち明けてくれた事もね」
ノルベルト様は力なく告げ、「他にもね」と続けた――ところで、今度は私が言葉を遮ります。
どうしても、言わないといけないことがあるので。しゃがみ込んで、顔を近づけました。
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