どうやらこのパーティーは、婚約を破棄された私を嘲笑うために開かれたようです。でも私は破棄されて幸せなので、気にせず楽しませてもらいますね

柚木ゆず

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第15話 婚約 と こん、やく……? アリシア&ヴァイオレット視点

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((ペティノール卿がいらっしゃるのであれば、この場で明かしても問題はないわね))

 改めて現在の状況を確認した私はそう確信し、

 隣国ザラデイス男爵家のリヴィオと婚約が決まっていて、明後日書類を交わす予定になっている。

 こうして敢えて詳細をぼやかした状態で、白色の造花を受け取れない理由を説明したのだった。


 〇〇


『『『『『……………………』』』』』
『『『『『……………………』』』』』
「…………………………」

 あれから恐らく、1分ほどが経過しているのだと思う。だけどわたくしは――わたくし達は、未だに何一つ反応できずにいた。
 こん、やく……? アリシアが、リヴィオという…………隣国の男爵家の人間との、婚約が決まっている……?

((これって…………嘘……? 白いほうのユリを受け取りたくないから、ありもしないことを言っているだけですの……?))

 い、いいえ、それはあり得ませんわ……。そういった理由で故意に違う色のユリを受け取ってしまったら、のちのち大問題になりかねませんもの……。
 事実、なんですわ……。

((どうして…………。そんなことに、なっているんですの……?))

 だ、だってっ。アリシアは先週、ロイス様に婚約を解消されたばかりなんですのよ……っ? たった一週間と少々で、そんなことになるだなんて……。
 なにが起きていますの……!?

「…………あ、アリシア――あ、アリシア様。こ、婚約の経緯を、教えてくださいまし……」

 どうにか声を出し、アルマ様達と共に再度ブルーの瞳を見つめる。
 なにがどうなって、そんな話になりましたの……?

「申し訳ございません、ヴァイオレット様。そちらは諸事情により、お伝え出来ません」
「じゃ、じゃあ……。一つだけ、少しだけでも教えてくださいまし……。お相手の方は、こたびの解消を、ご存じなんですの……?」
「はい、知っております。全てを知った上で――婚約解消後すぐに連絡をもらい、お話が動いておりました」

 相手を騙した、のではなかった。しかも、『すぐ』……。そんなにも前から、婚約の話が始まっていて――っっっっ!?
 わたくしは――ううん。わたくしだけじゃない。

『『『『『っっ!!』』』』』
『『『『『っっ!!』』』』』

 アルマ様達、他の参加者も気が付いたみたい。

『はい、知っております。全てを知った上で――婚約解消後すぐに連絡をもらい、お話が動いておりました』

 アリシアは今、嬉しそうな顔をしてそう言った。
 それはつまり、その方との婚約を心から喜んでいるということで……。と、いうことは……。ということは…………っ!

((ロイス様の好物を揃えたビュッフェや、ボヌール管弦楽団による『蒼海』の生演奏。これらは全て、ノーダメージだったということになりますわ……!!))

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