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第2話 ステラ・回想~予想外の反応な理由~ ステラ視点(4)
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『ステラちゃん。新しい調律師を探しているそうですね?』
『は、はい。現在担当してくださっている方が、近々引退されることになりまして。その方にお弟子さんはいらっしゃらないので、現在様々な方にお会いしております』
『そう。それはよかった――こほん。なんでもありませんわ』
『? 先生?』
『ステラちゃん。次に貴方とお話しをする時に、紹介したい調律師がいるの。会ってもらってもいいかしら?』
『はいっ。お願い致しますっ』
『こちらがその人、ヴィクター・ジュテレンさん。彼は調律師としては新米だけれど、その腕はすでに熟練調律師の域に到達しているの。わたくしはこの方を、専属調律師として推薦しますわ』
『初めて伺うお名前ですね。先生、ジュテレン様はどなたに師事をして――』
『訳あって過去やお家に関することなど、細かな情報を教えられないの。けれど身分や素性は、わたくしが――バーデニック侯爵家が保証します。まずは実力を見てもらえるかしら?』
今から3年前。そういった過程を経て、私はヴィクター様と契約をしました。
だからヴィクター様に関することは謎が多くて、お家やご家族に関することは勿論のこと、そもそもどこにお住まいなのかも知らない。なのでますます気になってしまったのですが、『素性に触れない』と先生と約束をしましたので。追及をするのは止めました。
(…………申し訳ございません、ステラ様。ですがきっと、近々――)
「ヴィクター様? 何か、仰られましたか?」
「すみません、また独り言です。……そのご様子ですと、もう大丈夫そうですね。お役に立てて何よりです」
「とても大きなエネルギーを、いただきました。きっと3日後には、最高の演奏を聴いていただけると思います」
事実を知って、邪念がなくなったこと――『マーティン様に褒めていただくために』そんな感情がなくなったこと。鳥さん達の歌声を聴いて、一緒に歌って、一体感の生み方を掴めたこと。ヴィクター様の優しさに触れたこと。
それらによって私は確信を持っていて、そんな私を待っていたのは想像以上の結果でした。
「最高金賞。演奏ナンバー14、ステラ・レンダユス」
なんと私はコンテストの最高位の賞をいただき、翌日には陛下より文化勲章を賜ったのでした。
私がこのような成績を収められたのは、いつも応援してくださるお父様とお母様、あの時の鳥さん達、そしてなにより――ヴィクター様の存在があったから。
……ヴィクター様、ありがとうございます。それと――
※すみません。ご報告になります。
次のお話では再び時間が移動し、プロローグの直後へと戻ります。
『は、はい。現在担当してくださっている方が、近々引退されることになりまして。その方にお弟子さんはいらっしゃらないので、現在様々な方にお会いしております』
『そう。それはよかった――こほん。なんでもありませんわ』
『? 先生?』
『ステラちゃん。次に貴方とお話しをする時に、紹介したい調律師がいるの。会ってもらってもいいかしら?』
『はいっ。お願い致しますっ』
『こちらがその人、ヴィクター・ジュテレンさん。彼は調律師としては新米だけれど、その腕はすでに熟練調律師の域に到達しているの。わたくしはこの方を、専属調律師として推薦しますわ』
『初めて伺うお名前ですね。先生、ジュテレン様はどなたに師事をして――』
『訳あって過去やお家に関することなど、細かな情報を教えられないの。けれど身分や素性は、わたくしが――バーデニック侯爵家が保証します。まずは実力を見てもらえるかしら?』
今から3年前。そういった過程を経て、私はヴィクター様と契約をしました。
だからヴィクター様に関することは謎が多くて、お家やご家族に関することは勿論のこと、そもそもどこにお住まいなのかも知らない。なのでますます気になってしまったのですが、『素性に触れない』と先生と約束をしましたので。追及をするのは止めました。
(…………申し訳ございません、ステラ様。ですがきっと、近々――)
「ヴィクター様? 何か、仰られましたか?」
「すみません、また独り言です。……そのご様子ですと、もう大丈夫そうですね。お役に立てて何よりです」
「とても大きなエネルギーを、いただきました。きっと3日後には、最高の演奏を聴いていただけると思います」
事実を知って、邪念がなくなったこと――『マーティン様に褒めていただくために』そんな感情がなくなったこと。鳥さん達の歌声を聴いて、一緒に歌って、一体感の生み方を掴めたこと。ヴィクター様の優しさに触れたこと。
それらによって私は確信を持っていて、そんな私を待っていたのは想像以上の結果でした。
「最高金賞。演奏ナンバー14、ステラ・レンダユス」
なんと私はコンテストの最高位の賞をいただき、翌日には陛下より文化勲章を賜ったのでした。
私がこのような成績を収められたのは、いつも応援してくださるお父様とお母様、あの時の鳥さん達、そしてなにより――ヴィクター様の存在があったから。
……ヴィクター様、ありがとうございます。それと――
※すみません。ご報告になります。
次のお話では再び時間が移動し、プロローグの直後へと戻ります。
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