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第5話 焦りと、問題の発生 マーティン視点(1)

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「「この役立たずどもが!!」」

 我がリッダジア侯爵邸内にある一室――ステラに関する作戦会議室。そこでは俺と父上の怒声が響き渡っていた。
 なぜなら、あれから丸一日経っても打開策が見つからないから。高い金で雇っているブレイン3人と、俺達の腹心2人――合わせて5人もいるのに、次の日の昼になってもアイディアが何一つ出ない。そのため我々は、顔を真っ赤にしていたのだ。

「今のステラは音楽界、いや芸術界の宝っ。婚約や結婚をすれば、自らおよび家の価値を更に高める道具となっているんだぞっ! 誰もが欲しがる女なんだぞ!?」
「急がねば他の家に奪われてしまうのだぞ!? 早く妙案を出せ!!」
「俺と父上は出せないのは仕方がないが、お前達はそうじゃない!! 特にトムっ、ミゲイルっ、ザックス! 貴様らはそういう時のために雇っているんだろうが!!」

 コイツら3人は、頭を使ってリッダジア家を支える存在。それがこれだ! 給料泥棒じゃないか!!

「契約をしたのなら全うしろ!! 必ず捻り出せ! いいな!?」
「そ、そうする所存、ではございますが……。マーティン様……」
「今回もご要望は、無理難題でございます……」
「捏造の証拠として用意されていた、5点。こちらを覆すのは、やはりどう考えても不可能なのでございます……」

 あちらが揃えたものは、その全てが完璧。完全な否定はおろか、有耶無耶にすることさえもできない。3人は口々にそう言い始めた。

「どうやって取集したのか? それさえも想像できないほどに、手ごわい……。隙がないものなのです……」
「見れば見るほど、大きな……。伯爵家では到底、使える駒ではないほどの……。公爵、いや大公クラスでも、実行できないような動きなのです……」
「は? 公爵家と大公クラスでも不可能だと? ではどうやって、レンダユス伯爵家が揃えたというのだ?」
「ヤツらに大きなバックがない、それは婚約者だった俺がよく知っている。情けない言い訳をするな!」

 自分達の評価を下げないために相手を大きく見せようとする、なんて情けない者達なんだ。口にしていて恥ずかしいとは思えないのか?

「アダム様、マーティン様。こちらは事実でして――」
「言い訳を聞くつもりはない!! 余計なことを考える暇があったら解決策を考えろ!! いいな!?」

 俺は3人を一喝し、その後父上と共に一旦廊下へと出る。
 昨日からほぼ休まず思案をしていて、なんと4時間程度しか・・・・・・・・・・眠っていない。そこで仮眠をとるべく、それぞれの寝室に――

「旦那様坊ちゃま! 大変でございます!!」

 ――寝室に向かおうとしていたら、ダンゼル家令が血相を変えてやって来た。
 なんだ? どうしたんだ?

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