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第9話 2度目の大問題~今日は、怯えさせた者が怯える日~ マーティン視点(2)
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「「……………………」」
血相を変えて飛んできた、ライザ。ヤツが狼狽する理由を知った俺達は、たまらずその場にへたり込んでいた。
ここまで酷い状態になってしまうのは、当たり前だ。なぜなら、俺や父上がああして一喜一憂している間に――
筆頭公爵家・ミデザトル家の使者が訪れ、『明日の正午、当主が大事な話をしに来る』と伝え去っていったのだから。
「………………ま、マーティンよ」
「は、はい、父上。なん、でしょう……?」
「現当主の、オーバン様は……。お前と、親しかったよな……?」
「そ、そうですね……。そういった関係でした……」
学院時代に2年間オーバン様は生徒会長、俺は副会長を務めていて、それがご縁で懇意にしていただいている。卒業して3年が経った今でも定期的に食事などに誘っていただいていて、親しくさせていただいている……。
「だ、だから……。それは、たまたま、ではないのか……? 急にどうしてもお前に会いたくなったから、あのように使者を送られたのではないのか!? そうなのだろう!? そうだと言ってくれっっ!!」
「俺だってそう思いたいですよ!! でもこのタイミングなのですよ!? 前向きに捉えたくても捉えられませんよ!!」
卒業してからお誘いがかかるスパンは、半年に1回程度! 前回は4か月前に行われていてっ、2か月も早いんだ!
今まで早まったことは一度もなかったのだから、そんな都合の良いことがあるはずがないんだ……っ!!
そもそもソレはあっ! わざわざ『大事』と前置きをするものじゃない……‼
「そうだっ、絶対にそうなんだっ! ステラはオーバン様に被害を訴えたんだ!!」
オーバン様は音楽がお好きで、恐らく演奏会にも足を運ばれている……!! その際に接触をして…………同時にオーバン様は、正義感が非常にお強い御方だ……。
俺を激しく憎んでいて、自らの手で捌こうとされているに違いない……!!
「たいっ、大変だ……!! どうすればいい……!?」
「にっ、逃げるしかないだろう!! このままでは手酷い目に遭ってしまう!! 逃げるしかないだろう!?」
「どうやって逃げるのですか!! 無理ですよ!!」
筆頭公爵家の力は、あまりにも大きい。どこに隠れいても、いずれ見つかってしまう……。
「で、では! ではっ!! どうすればいいというのだ!?」
「…………逃走が不可能な以上、ここで応じるしかないでしょう……。どうにか穏便に済ませてもらえる、その可能性を信じて……。その時を待つしか、ありませんよ……」
あの御方に、小細工は逆効果だ。余計なことをせず、奇跡の発生を願うしかない。
2年のお付き合いに、賭けるしかない……。
「そ、そう、だな。……か、神様……!! 奇跡を、御起こしくださいませ……!!」
「神様……!! どうか、どうかっ! 俺達にご加護を……!!」
俺達に今でできることは、祈ることだけ。なので俺はその後不眠不休で祈りを捧げ続け――ついに、その時が訪れた。
翌日の正午、丁度。我が屋敷に、オーバン様がいらっしゃって――
血相を変えて飛んできた、ライザ。ヤツが狼狽する理由を知った俺達は、たまらずその場にへたり込んでいた。
ここまで酷い状態になってしまうのは、当たり前だ。なぜなら、俺や父上がああして一喜一憂している間に――
筆頭公爵家・ミデザトル家の使者が訪れ、『明日の正午、当主が大事な話をしに来る』と伝え去っていったのだから。
「………………ま、マーティンよ」
「は、はい、父上。なん、でしょう……?」
「現当主の、オーバン様は……。お前と、親しかったよな……?」
「そ、そうですね……。そういった関係でした……」
学院時代に2年間オーバン様は生徒会長、俺は副会長を務めていて、それがご縁で懇意にしていただいている。卒業して3年が経った今でも定期的に食事などに誘っていただいていて、親しくさせていただいている……。
「だ、だから……。それは、たまたま、ではないのか……? 急にどうしてもお前に会いたくなったから、あのように使者を送られたのではないのか!? そうなのだろう!? そうだと言ってくれっっ!!」
「俺だってそう思いたいですよ!! でもこのタイミングなのですよ!? 前向きに捉えたくても捉えられませんよ!!」
卒業してからお誘いがかかるスパンは、半年に1回程度! 前回は4か月前に行われていてっ、2か月も早いんだ!
今まで早まったことは一度もなかったのだから、そんな都合の良いことがあるはずがないんだ……っ!!
そもそもソレはあっ! わざわざ『大事』と前置きをするものじゃない……‼
「そうだっ、絶対にそうなんだっ! ステラはオーバン様に被害を訴えたんだ!!」
オーバン様は音楽がお好きで、恐らく演奏会にも足を運ばれている……!! その際に接触をして…………同時にオーバン様は、正義感が非常にお強い御方だ……。
俺を激しく憎んでいて、自らの手で捌こうとされているに違いない……!!
「たいっ、大変だ……!! どうすればいい……!?」
「にっ、逃げるしかないだろう!! このままでは手酷い目に遭ってしまう!! 逃げるしかないだろう!?」
「どうやって逃げるのですか!! 無理ですよ!!」
筆頭公爵家の力は、あまりにも大きい。どこに隠れいても、いずれ見つかってしまう……。
「で、では! ではっ!! どうすればいいというのだ!?」
「…………逃走が不可能な以上、ここで応じるしかないでしょう……。どうにか穏便に済ませてもらえる、その可能性を信じて……。その時を待つしか、ありませんよ……」
あの御方に、小細工は逆効果だ。余計なことをせず、奇跡の発生を願うしかない。
2年のお付き合いに、賭けるしかない……。
「そ、そう、だな。……か、神様……!! 奇跡を、御起こしくださいませ……!!」
「神様……!! どうか、どうかっ! 俺達にご加護を……!!」
俺達に今でできることは、祈ることだけ。なので俺はその後不眠不休で祈りを捧げ続け――ついに、その時が訪れた。
翌日の正午、丁度。我が屋敷に、オーバン様がいらっしゃって――
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