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第9話 2度目の大問題~今日は、怯えさせた者が怯える日~ マーティン視点(1)

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「なんだって!? ステラが、婚約解消の件を告げ口をする――すでにしている可能性があるだと!?」
「だっ、ダンゼルよ!! どういうことだ!?」
「……ステラ様は文化勲章を授与され、今や様々な権力者と繋がりを持っております。ですので…………あの件の告発を行い…………坊ちゃまや旦那様に、何かしらの復讐を行う可能性があるのではと……。さっき使用人の一人メリッサがそう口にして、その選択肢があることに遅まきながら気が付いたのでございます……」

 …………俺も――俺も父上も、ミゲイル達もそうだ。復縁やオリーヴ、噂の対応に必死になっていて、そこが抜け落ちていた……。

「そうだ、そうだった……。今のステラ嬢なら公爵家、大公閣下、王族などなど……。我々より圧倒的に格上の存在にも、容易に接触できる……。口止めに従う必要なんて、なかったのだ……」
「まっ、まずいっ。不味すぎる! もしそうだとしたらっ、取り返しのつかないことになってしまう!!」

 俺が否定しているとはいえ、あちらには証拠を記した書類がある! それを持ち込まれたら、大問題に発展してしまう!
 今やステラは、国の宝だ。そんな人間にあんな真似をしていたとバレたら――

 潰される。

 俺と父上は、家ごと破滅させられてしまう……。

「大変だ! 大変だ!! アイツはすっかり俺を敵視するようになっていた――未練はなくなっていた! だから淡々と実行してしま――違う! 違うっ! 大丈夫だ! そんなことは起きていない!!」

 よくよく考えてみれば、一昨日のパーティー! アレはそうそうたるメンバーが集うもので、その際にはそういった雰囲気はなかった! オリーヴに関する疑いを向けられただけだった!
 もしもすでに打ち明けられていたら、これでは済んでいない! よって何も起きてはいないんだ!

「したがって問題ない!! これまでステラが動いていないのならっ、今後も動くはずはないっ! なぜなら動く気があれば即動くのだから!!」
「おおっ! そうだっ、そうだなマーティン!! 勲章授与から4日経っていても異変がないということはっ、そういうことだな!!」
「アイツは何かしらの理由で、告発するつもりがないんだっ! よかったっ、よかったっっ! 命拾いをしたぞ――」
「旦那様! 坊ちゃま! たっ、大変でございます!!」

 父上と共に胸を撫で下ろしていたら、次は家政婦長ライザが血相を変えて飛んできた。
 な、なんだ、この慌てようは……。今度は、何が起きたんだ……!?

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