unison~元婚約者様へ。私は決して、復縁はいたしません~

柚木ゆず

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第12話 翌日~予期せぬインタビューと、ヴィクターの思い出~ ステラ視点(1)

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 今日のスケジュールは、インタビュー、演奏、インタビュー、演奏。そのため演奏会場に着くと、まずは一つ目のインタビューが始まったのですが――

「ステラ様、ヴィクター・ジュテレン様。本日はよろしくお願い致します」

 今回は昨日までのインタビューとは異なり、私の隣にはヴィクター様がいらっしゃります。
 どうしてこうなったのかというと、切っ掛けは会場入りした直後でした。

『ヴィクター・ジュテレイン様。よろしければジュテレン様も、本日のインタビューに参加してはいただけませんでしょうか?』

 今回のインタビューを担当される記者の男性は、『私達が3年間、所謂タッグを組んでいる』という部分に注目されていました。そのため傍にいらっしゃったヴィクター様に提案をされ、

『ステラ様のお役に立てるのでしたら、喜んで参加させていただきます』

 そんなヴィクター様は快諾してくださり、こうしてインタビューが始まったのです。

「まずは、ステラ様に伺います。専属調律師であるジュテレン様とは、どういった経緯で出会われたのでしょうか?」
「きっかけは、ピアノの恩師――バーデニック侯爵夫人、ルネ様の紹介です」

 前任の方が引退されるため、新しい方を探している際に紹介していただいたこと。その際に実力を見せていただいて、その腕と調律に対する姿勢に惚れ込んでお願いをしたこと。
 そちらをお伝えしました。

「なるほど……! では次は、ジュテレン様に伺いますね。ジュテレン様が調律師を志された切っ掛けを、教えていただけますでしょうか?」
「はい。……僕が調律師を目指す切っ掛けは、実はステラ様なのです。今から十年前に偶然、ステラ様の演奏を聴いたからなのですよ」
「なんと! ステラ様の演奏をですか……!!」
「あの時の僕は、乳母を――大切な人を亡くし、その上悪辣なことが起きてしまい、目の前が真っ暗になってしまいました。そのため絶望してしまい、僕は彼女のあとを追おうとしていたのです」

 そのため乗っていた馬車が停まった隙に走り出し、教会で――乳母様のもとにすぐ行けると感じた場所に向かい、自死しようとしていた。そうしてたどり着くと、併設されているた孤児院で私が演奏をしていた。
 そちらを穏やかな口調で紡がれ、お話は更に続きます。

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