26 / 51
第12話 翌日~予期せぬインタビューと、ヴィクターの思い出~ ステラ視点(1)
しおりを挟む
今日のスケジュールは、インタビュー、演奏、インタビュー、演奏。そのため演奏会場に着くと、まずは一つ目のインタビューが始まったのですが――
「ステラ様、ヴィクター・ジュテレン様。本日はよろしくお願い致します」
今回は昨日までのインタビューとは異なり、私の隣にはヴィクター様がいらっしゃります。
どうしてこうなったのかというと、切っ掛けは会場入りした直後でした。
『ヴィクター・ジュテレイン様。よろしければジュテレン様も、本日のインタビューに参加してはいただけませんでしょうか?』
今回のインタビューを担当される記者の男性は、『私達が3年間、所謂タッグを組んでいる』という部分に注目されていました。そのため傍にいらっしゃったヴィクター様に提案をされ、
『ステラ様のお役に立てるのでしたら、喜んで参加させていただきます』
そんなヴィクター様は快諾してくださり、こうしてインタビューが始まったのです。
「まずは、ステラ様に伺います。専属調律師であるジュテレン様とは、どういった経緯で出会われたのでしょうか?」
「きっかけは、ピアノの恩師――バーデニック侯爵夫人、ルネ様の紹介です」
前任の方が引退されるため、新しい方を探している際に紹介していただいたこと。その際に実力を見せていただいて、その腕と調律に対する姿勢に惚れ込んでお願いをしたこと。
そちらをお伝えしました。
「なるほど……! では次は、ジュテレン様に伺いますね。ジュテレン様が調律師を志された切っ掛けを、教えていただけますでしょうか?」
「はい。……僕が調律師を目指す切っ掛けは、実はステラ様なのです。今から十年前に偶然、ステラ様の演奏を聴いたからなのですよ」
「なんと! ステラ様の演奏をですか……!!」
「あの時の僕は、乳母を――大切な人を亡くし、その上悪辣なことが起きてしまい、目の前が真っ暗になってしまいました。そのため絶望してしまい、僕は彼女のあとを追おうとしていたのです」
そのため乗っていた馬車が停まった隙に走り出し、教会で――乳母様のもとにすぐ行けると感じた場所に向かい、自死しようとしていた。そうしてたどり着くと、併設されているた孤児院で私が演奏をしていた。
そちらを穏やかな口調で紡がれ、お話は更に続きます。
「ステラ様、ヴィクター・ジュテレン様。本日はよろしくお願い致します」
今回は昨日までのインタビューとは異なり、私の隣にはヴィクター様がいらっしゃります。
どうしてこうなったのかというと、切っ掛けは会場入りした直後でした。
『ヴィクター・ジュテレイン様。よろしければジュテレン様も、本日のインタビューに参加してはいただけませんでしょうか?』
今回のインタビューを担当される記者の男性は、『私達が3年間、所謂タッグを組んでいる』という部分に注目されていました。そのため傍にいらっしゃったヴィクター様に提案をされ、
『ステラ様のお役に立てるのでしたら、喜んで参加させていただきます』
そんなヴィクター様は快諾してくださり、こうしてインタビューが始まったのです。
「まずは、ステラ様に伺います。専属調律師であるジュテレン様とは、どういった経緯で出会われたのでしょうか?」
「きっかけは、ピアノの恩師――バーデニック侯爵夫人、ルネ様の紹介です」
前任の方が引退されるため、新しい方を探している際に紹介していただいたこと。その際に実力を見せていただいて、その腕と調律に対する姿勢に惚れ込んでお願いをしたこと。
そちらをお伝えしました。
「なるほど……! では次は、ジュテレン様に伺いますね。ジュテレン様が調律師を志された切っ掛けを、教えていただけますでしょうか?」
「はい。……僕が調律師を目指す切っ掛けは、実はステラ様なのです。今から十年前に偶然、ステラ様の演奏を聴いたからなのですよ」
「なんと! ステラ様の演奏をですか……!!」
「あの時の僕は、乳母を――大切な人を亡くし、その上悪辣なことが起きてしまい、目の前が真っ暗になってしまいました。そのため絶望してしまい、僕は彼女のあとを追おうとしていたのです」
そのため乗っていた馬車が停まった隙に走り出し、教会で――乳母様のもとにすぐ行けると感じた場所に向かい、自死しようとしていた。そうしてたどり着くと、併設されているた孤児院で私が演奏をしていた。
そちらを穏やかな口調で紡がれ、お話は更に続きます。
11
あなたにおすすめの小説
婚約破棄を申し入れたのは、父です ― 王子様、あなたの企みはお見通しです!
みかぼう。
恋愛
公爵令嬢クラリッサ・エインズワースは、王太子ルーファスの婚約者。
幼い日に「共に国を守ろう」と誓い合ったはずの彼は、
いま、別の令嬢マリアンヌに微笑んでいた。
そして――年末の舞踏会の夜。
「――この婚約、我らエインズワース家の名において、破棄させていただきます!」
エインズワース公爵が力強く宣言した瞬間、
王国の均衡は揺らぎ始める。
誇りを捨てず、誠実を貫く娘。
政の闇に挑む父。
陰謀を暴かんと手を伸ばす宰相の子。
そして――再び立ち上がる若き王女。
――沈黙は逃げではなく、力の証。
公爵令嬢の誇りが、王国の未来を変える。
――荘厳で静謐な政略ロマンス。
(本作品は小説家になろうにも掲載中です)
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
王妃様は死にました~今さら後悔しても遅いです~
由良
恋愛
クリスティーナは四歳の頃、王子だったラファエルと婚約を結んだ。
両親が事故に遭い亡くなったあとも、国王が大病を患い隠居したときも、ラファエルはクリスティーナだけが自分の妻になるのだと言って、彼女を守ってきた。
そんなラファエルをクリスティーナは愛し、生涯を共にすると誓った。
王妃となったあとも、ただラファエルのためだけに生きていた。
――彼が愛する女性を連れてくるまでは。
逆行転生、一度目の人生で婚姻を誓い合った王子は私を陥れた双子の妹を選んだので、二度目は最初から妹へ王子を譲りたいと思います。
みゅー
恋愛
アリエルは幼い頃に婚姻の約束をした王太子殿下に舞踏会で会えることを誰よりも待ち望んでいた。
ところが久しぶりに会った王太子殿下はなぜかアリエルを邪険に扱った挙げ句、双子の妹であるアラベルを選んだのだった。
失意のうちに過ごしているアリエルをさらに災難が襲う。思いもよらぬ人物に陥れられ国宝である『ティアドロップ・オブ・ザ・ムーン』の窃盗の罪を着せられアリエルは疑いを晴らすことができずに処刑されてしまうのだった。
ところが、気がつけば自分の部屋のベッドの上にいた。
こうして逆行転生したアリエルは、自身の処刑回避のため王太子殿下との婚約を避けることに決めたのだが、なぜか王太子殿下はアリエルに関心をよせ……。
二人が一度は失った信頼を取り戻し、心を近づけてゆく恋愛ストーリー。
断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる
葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。
アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。
アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。
市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。
平民の方が好きと言われた私は、あなたを愛することをやめました
天宮有
恋愛
公爵令嬢の私ルーナは、婚約者ラドン王子に「お前より平民の方が好きだ」と言われてしまう。
平民を新しい婚約者にするため、ラドン王子は私から婚約破棄を言い渡して欲しいようだ。
家族もラドン王子の酷さから納得して、言うとおり私の方から婚約を破棄した。
愛することをやめた結果、ラドン王子は後悔することとなる。
心の傷は癒えるもの?ええ。簡単に。
しゃーりん
恋愛
侯爵令嬢セラヴィは婚約者のトレッドから婚約を解消してほしいと言われた。
理由は他の女性を好きになってしまったから。
10年も婚約してきたのに、セラヴィよりもその女性を選ぶという。
意志の固いトレッドを見て、婚約解消を認めた。
ちょうど長期休暇に入ったことで学園でトレッドと顔を合わせずに済み、休暇明けまでに失恋の傷を癒しておくべきだと考えた友人ミンディーナが領地に誘ってくれた。
セラヴィと同じく婚約を解消した経験があるミンディーナの兄ライガーに話を聞いてもらっているうちに段々と心の傷は癒えていったというお話です。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる