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第12話 その直後に 俯瞰視点

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「「「…………なんということだ……」」」

 応接室に二つめの悲鳴が響き渡った、その14分後のことでした。室内では三人の男性が気絶した二人を見下ろし、たまらず揃って天を仰いでいました。
 彼らは、マーフェット家当主ヘンリー、ペトニッザ家当主アイザック、ザレルスルア家当主トミー。オリヴァーからの手紙で二人の企みと愚行を知り、その対応を行うため予定を早め戻ってきていたのです。

「……まさかイーサンが、ここまで愚かだったとは……。申し訳ない……」
「……それは、アヴリーヌにも言えることだ……。申し訳ない……」

 吐瀉物に囲まれ、ズボンを激しく濡らして倒れている息子。口の周りに大量の泡をつけ、バッタリと倒れている娘。

 それぞれが子どもに向けて盛大な呆れと忸怩を含んだため息を吐き、ヘンリーに深々とこうべを垂れました。

「言わずもがなあの件・・・に関しては賛成で、その上でそちらが望む形でわたしも責任を取らせていただく。ヘンリー、なんでも言ってくれ」
「こちらに関しても、右に同じだ。あの件にまったく異論はなく、わたし自身も罰を受ける所存だ。ヘンリー、なんでも言ってくれ」
「……アイザック、トミー。わたしは、お前達を責めるつもりはないよ。お前達には一切問題はなく、防ぎようがなかったのだからな」

 同じ環境で育ったオリヴァーとイーサンが正反対の性格を持っているように、教育ではどうにもならない部分がありました。頻繁に会い長年実の『息子』『娘』同然に接してきていたのに、ヘンリー自身も二人の暴走をまったく予想できませんでした。
 それに――

『ヘンリーおじさん、アイザックおじさん、父上。もう一つ二人への罰を考えておりまして、その実行の許可をいただきたく思います』

 ――オリヴァーが、自分の分までしっかりと怒ってくれていました。何より一番の被害者であるソフィアが、それによる3家の手打ちを望んでいました。
 そのためヘンリーは、すぐさま首を左右に振ったのでした。

「故にお前達は、商会への貢献という形で返してくれればいい。アイザック、頼んだぞ。トミー、そちらはライリーの件も含め、頼んだぞ」
「…………分かった。粉骨砕身で取り組ませていただく」
「…………承知した。全身全霊を以て行動し、今後は細心の注意を払わせていただく」

 ヘンリーが真っすぐ差し出した、手。二人はそれを順番に握り、こうして当主同士に関するものは終わりました。
 ですので次は、新たな罰に関するものが動き出して――


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