婚約を解消してくれないと、毒を飲んで死ぬ? どうぞご自由に

柚木ゆず

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第14話 その後のイーサンとアヴリーヌは 俯瞰視点(1)

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「……………………」
「……………………」

 抵抗するも引き摺り下ろされ、茂みの前に放置されてから3日後。イーサンとアヴリーヌは、清々しい木漏れ日の下を屍のように歩いていました。

「……………………あった……」
「……………………こっちにも……。ありましたわ……」

 横並びになって力なくヨロヨロと歩き、不意に立ち止まって見覚えのある木の実やキノコを拾う。周辺にあるものを拾いつくしたら再び歩き出し、しばらくしてまた止まって拾えるものを拾う。
 二人はこうして食料を集め、何回か利用した経験のある小屋――と瓜二つな小屋・・・・・・に入り、今日収穫したものを床に並べます。

「1、2、3、4,5、6、7、8……。これが、アヴリーヌの分だ……」
「じゃあ……。こっちが、イーサンの分ですわね……」

 そして二人は力なく数を数え、等分。どちらも木の実はそのままで、キノコ類は火を起こして焼いて食べてゆきます。

「…………………………まずい……」
「…………………………固いですわ……」

 これまで貴族として生きてきた二人にとって、こんな木の実やキノコはゴミと同等。今すぐ吐き出したくなる味でしたが、そんなことをしてしまえば餓死してしまいます。
 なので我慢をして食べきり、食事が終わると――二人はそのまま真後ろに倒れ、床に大の字になります。

「…………………………つかれた……」
「…………………………限界、ですわ……」

 こんなことになる前まで二人は、必要最低限の運動しかしてこなかった。それによって体力はとっくに底を尽きていて、イーサンとアヴリーヌはそのまま目を閉じました。

「…………………………こんな固い床で、寝ないといけないなんて……」
「…………………………ブランケットすら、ないだなんて……」

 二人はいつものように意識が途絶えるまで嘆きの言葉を口にし、やがて夢の世界へと落ちて一日が終わりを告げます。

 そうして夜は更けてゆき、やがて日が昇ると起床。目を覚ましたイーサンとアヴリーヌはまた屍のようにトボトボと歩いて食料を調達し、日が暮れると小屋に戻って食事を摂って寝る。

 二人はいつまでも、これらを繰り返す――ことには、なりませんでした。
 それは、この日から4日後。ここでの第二の人生が始まって、1週間後のことで――

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