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第14話 その後のイーサンとアヴリーヌは 俯瞰視点(3)
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「おい! それは俺の木の実だぞ!! 返せ!!」
「誰がそう決めましたの!! これはわたくしの物ですわ!!」
あれから2日後。イーサンとアヴリーヌは5メートルほど離れた状態で、激しく怒鳴り合いながら木の実やキノコを探し歩いていました。
『もういい!! お前の顔なんて見たくない!! 一緒になんて居られない!! ひとりで生きていった方がマシだ!!』
『やってられませんわ!! 近くにいるだけで不快!! これからはひとりで生きていきますわ!!』
あの日テリトリーを決めて決別したはずの二人が、貶し合いながらも再び行動を共にしている理由。それは、単独では生きていけないと感じたから。
『ひっ!? なっ、なんだ今の音は!?』
『いっ、今後ろの人が居たような!? いっ、いない!? 嘘ですわ居ましたわ!!』
イーサンとアヴリーヌはこれまで、常に誰かが傍にいる状況で過ごしてきました。そのため日中はどうにかなったものの、陽が落ちてからはこの有様。どちらも恐怖によって一睡もできなくなり、このままでは身が持たないと感じてこうなっていたのでした。
「お前がこんなにも生意気な女だとは思わなかった!! いいから渡せ!!」
「わたくしだってね! 貴方がこんなにも使えない男だとは思わなかったわ!! 黙って従いなさいよ!!」
とはいえすっかり相手を忌み嫌っているので、当時のような関係には戻れない。あくまで『単独行動を一緒にする』という状況なため、このような喧嘩が発生していたのでした。
そして――
「先に見つけた方が手に入れる、それは常識ですわ。欲しかったら、わたくしより先に見つけ――」
「あった! 木の上に旨そうな果物が生ってる!! はっはっは! 嗤ってくれてありがとうなバカ女! おかげで先に見つけられたぜ!!」
「ぐ……! ぐ……!! いーさぁんんんんんんんんんんんんん!!」
「自分が言ったんだから、しょうがないよなぁ。あーっはっはっは!!」
「あら? あれはっ!」
「なっ、なんだ!? そこに何かあるのか!? くそっ、なにがあるんだ――」
「ふふっ、キノコを5つも見つけましたわっ! まぁ残念。そのまま前を見て進んでいたら、先に見つけられたのに」
「っ、騙しやがったな!? こっ、このクソ女がぁああああああああああああ!!」
「騙される方が悪いんですわよ。おーっほっほっほ!」
イーサンとアヴリーヌはこのように日中は『悔しがる』と『嗤う』を繰り返し、夜は後悔をして罵り合うという――。
あまりにも不毛な日常を、その寿命尽きるまで続けることになるのでした。
※ご質問を多数いただいたため構成を変更し、本編完結後に投稿予定だった補完編(イーサンとアヴリーヌに関するお話を)を先に投稿させていただきます。
「誰がそう決めましたの!! これはわたくしの物ですわ!!」
あれから2日後。イーサンとアヴリーヌは5メートルほど離れた状態で、激しく怒鳴り合いながら木の実やキノコを探し歩いていました。
『もういい!! お前の顔なんて見たくない!! 一緒になんて居られない!! ひとりで生きていった方がマシだ!!』
『やってられませんわ!! 近くにいるだけで不快!! これからはひとりで生きていきますわ!!』
あの日テリトリーを決めて決別したはずの二人が、貶し合いながらも再び行動を共にしている理由。それは、単独では生きていけないと感じたから。
『ひっ!? なっ、なんだ今の音は!?』
『いっ、今後ろの人が居たような!? いっ、いない!? 嘘ですわ居ましたわ!!』
イーサンとアヴリーヌはこれまで、常に誰かが傍にいる状況で過ごしてきました。そのため日中はどうにかなったものの、陽が落ちてからはこの有様。どちらも恐怖によって一睡もできなくなり、このままでは身が持たないと感じてこうなっていたのでした。
「お前がこんなにも生意気な女だとは思わなかった!! いいから渡せ!!」
「わたくしだってね! 貴方がこんなにも使えない男だとは思わなかったわ!! 黙って従いなさいよ!!」
とはいえすっかり相手を忌み嫌っているので、当時のような関係には戻れない。あくまで『単独行動を一緒にする』という状況なため、このような喧嘩が発生していたのでした。
そして――
「先に見つけた方が手に入れる、それは常識ですわ。欲しかったら、わたくしより先に見つけ――」
「あった! 木の上に旨そうな果物が生ってる!! はっはっは! 嗤ってくれてありがとうなバカ女! おかげで先に見つけられたぜ!!」
「ぐ……! ぐ……!! いーさぁんんんんんんんんんんんんん!!」
「自分が言ったんだから、しょうがないよなぁ。あーっはっはっは!!」
「あら? あれはっ!」
「なっ、なんだ!? そこに何かあるのか!? くそっ、なにがあるんだ――」
「ふふっ、キノコを5つも見つけましたわっ! まぁ残念。そのまま前を見て進んでいたら、先に見つけられたのに」
「っ、騙しやがったな!? こっ、このクソ女がぁああああああああああああ!!」
「騙される方が悪いんですわよ。おーっほっほっほ!」
イーサンとアヴリーヌはこのように日中は『悔しがる』と『嗤う』を繰り返し、夜は後悔をして罵り合うという――。
あまりにも不毛な日常を、その寿命尽きるまで続けることになるのでした。
※ご質問を多数いただいたため構成を変更し、本編完結後に投稿予定だった補完編(イーサンとアヴリーヌに関するお話を)を先に投稿させていただきます。
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