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「ただいま。今日のお土産は、ケーキだよ」
夜の8時過ぎ。何も知らない佐々木夏樹が、呑気に帰って来た。
この人は家計を支えるためにアルバイトをしていて、毎日必ず私――佐々木春香の好物を買ってきてくれるの。自分の欲を満たすために。
「お帰り、お兄ちゃん。晩ご飯、できてるよ」
「いつもありがとね、春香。今日はなんなのかな?」
「今夜は夏樹お兄ちゃんの大好きな天丼と、シジミのお味噌汁だよ。すぐ用意するね」
私はいつものように明るく振る舞い、テーブルに丼とお椀を置く。
お兄ちゃん。まずは、『佐々木春香』の手料理をたっぷり楽しんでね。楽しんでくれればくれるほど、そのあとの絶望が大きくなるから。
「うわぁ、美味しそう。僕の原動力の一つは、春香が作ってくれるご飯なんだよね」
「はいはい、聞いてる方が恥ずかしくなる台詞はそこまで。さあ食べよ」
私達は、いつものように揃っていただきます。
いつもように二人で他愛もない話をしながら食べて、いつものように終始笑顔で――。食事は、終わった。
「ごちそうさま。今日も美味しかったよ」
「お粗末様でした。……お兄ちゃん。今、幸せ、かな?」
「うん、とっても幸せだよ。春香、急にどうしたんだい?」
「ああ、うん、あのね。だったら、私はとっても嬉しいんだ。これから起きることが、よーく効くからね」
佐々木夏樹は冷蔵庫に入れていたケーキをテーブルに置き、お皿とフォークを取りに行っていた私は包丁を持ってくる。
さあお兄ちゃぁん。素敵な時間の始まりよぉ。
夜の8時過ぎ。何も知らない佐々木夏樹が、呑気に帰って来た。
この人は家計を支えるためにアルバイトをしていて、毎日必ず私――佐々木春香の好物を買ってきてくれるの。自分の欲を満たすために。
「お帰り、お兄ちゃん。晩ご飯、できてるよ」
「いつもありがとね、春香。今日はなんなのかな?」
「今夜は夏樹お兄ちゃんの大好きな天丼と、シジミのお味噌汁だよ。すぐ用意するね」
私はいつものように明るく振る舞い、テーブルに丼とお椀を置く。
お兄ちゃん。まずは、『佐々木春香』の手料理をたっぷり楽しんでね。楽しんでくれればくれるほど、そのあとの絶望が大きくなるから。
「うわぁ、美味しそう。僕の原動力の一つは、春香が作ってくれるご飯なんだよね」
「はいはい、聞いてる方が恥ずかしくなる台詞はそこまで。さあ食べよ」
私達は、いつものように揃っていただきます。
いつもように二人で他愛もない話をしながら食べて、いつものように終始笑顔で――。食事は、終わった。
「ごちそうさま。今日も美味しかったよ」
「お粗末様でした。……お兄ちゃん。今、幸せ、かな?」
「うん、とっても幸せだよ。春香、急にどうしたんだい?」
「ああ、うん、あのね。だったら、私はとっても嬉しいんだ。これから起きることが、よーく効くからね」
佐々木夏樹は冷蔵庫に入れていたケーキをテーブルに置き、お皿とフォークを取りに行っていた私は包丁を持ってくる。
さあお兄ちゃぁん。素敵な時間の始まりよぉ。
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